第21話「ヒーゴ魔法王国の魔法陣辞典」
第21話
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魔法が廃れた現代では、魔法の代わりに魔法属性を持つ魔石でつくった魔道具を使う。
例えば、ストーブは火属性の魔石とレベル1の火魔法陣を使って作ることができる。
では、遠くにいても話せる魔道具とはどんなものか。
魔法でいうところの音声転送や画像転送の転送系の魔法に相当すると思うが、どのように魔道具で実現すればいいのだろうか。
いつも何となくやっていたが、転送するときの手順を細かく紙に書き出していく。
センナの要望は、ある特定の相手と音声を転送し合うことである。
その場合は、えーっと、そう、まずは、相手のことを正しく思い浮かべる。
これがかなり重要。
そして、闇魔法で小さなテレポートホールを自分の口元と相手の耳元に発生させる。
あとは、話すだけ。
ということは、黒の闇属性魔石を使って、対になった小さなテレポートホールを作ればいいのか。
なるほど、簡単だな。
私は早速、魔法陣辞典の“T”のところを何度も探すが、テレポートホールの魔法陣が載っていない・・・。
うーん、これはまずいな。
そもそも、この現代の魔法陣辞典はページ数も少ないが、内容も薄い。
魔法が廃れるとはこういうことなのかと思う。
現世では20年ほど前に、三賢のモジャー・モーリンが魔道具というものを創り始めたばかりだ。
魔法陣の解析は三賢モジャー・モーリンとその弟子たちが日々がんばっているところなのだ。
そして、完全に検証できたものだけが、この魔法陣辞典に載っているらしい。
三賢モジャー・モーリンとその弟子たちにはもっと頑張ってもらわないといけないなぁ。
このままじゃ、私が魔道具を使っている振りをして、自由に魔法が使えないじゃないか・・・。
さて、本題に戻るとして、私はテレポートホールの魔法陣を知っているが、辞典に載っていないとなると、なぜ知っているんだとなる。
というよりも、新しい魔法陣を発明したとなってしまうかも・・・
それはもっとまずい。
明らかに、目立つ・・・。
そうだ、イネザベス先生に相談しよう、そうしよう。
・・・・・・・・・・
トシード:「先生。音声転送の魔道具を作りたいのですが、どんな魔法陣が必要なのかわからないのです。魔法陣辞典にもそれらしきものは見当たらないのですが・・・」
イネザベス先生の目がキッラーンと光ったように見えた。
イネザベス:「ふむふむ、なるほど、テレポートホールがつくりたいとな。あの部屋に行ってみましょうか。ウキウキ」
イネザベス先生のウキウキ感が、声として漏れ出ている。
・・・・・・・・・・
私は、王立学園の図書館の一番奥にある、誰も好き好んで立ち入らない、書庫にいる。
ここにある書籍はすべて難解な言語で書かれている。
教会教育で学ぶ古典語ならまだしも、もっと古い世代の旧古典語や外国語で書かれた書籍がぎっしりと並んでいる。
イネザベス先生が、早口で独り言をつぶやきながら一生懸命に何かを探している。
えーっと、あーっと、あれどこだったかなー
あれと、それと、そうそうこれも必要だわー
顔が隠れるほどに書籍を抱えたイネザベス先生がヨロヨロしながら机に向かう。
そして、ドサッと勢いよくそれら書籍を机に置く。
イネザベス:「ふぅー、やれやれだわ。ついついあれもこれもって思っちゃうわね」
トシード:(・・・)
イネザベス:「さて、説明するわね」
トシード:「は、はい。お願いします」
イネザベス:「これらの書籍は、なんと、あの、有名な、ヒーゴ魔法王国の魔法陣辞典でーーーす。どうだ!嬉しいだろう!」
トシード:(・・・)
イネザベス:「なんだ?驚きすぎて声も出ないか~」
トシード:「は、はい。びっくりしています(違う意味で)」
イネザベス:「ただ、ヒーゴ魔法王国特有の古典語で書かれているので、翻訳に一苦労するのよね。ヒーゴ魔法王国特有の古典語を教会で使われる古典語に訳すための言語辞書がこれね。そして、教会で使われる古典語を現エドザー語に訳すための言語辞書は、教会教育で使っているこれね」
トシード:「・・・はぁ、はい、そうですね、大変そうです」
イネザベス:「大変だけど、まあ、頑張ってね。きっと、見つかるわよ。テレポートホールの魔法陣」
トシード:「はい、頑張ってみます」
まさか、ヒーゴ魔法王国の魔法陣辞典が出てくるとは、びっくりしたなぁ~、もう。
私の正体がバレているのかとおもったぞ、まったく。
まあ、しかし、私はヒーゴ魔法王国特有の古典語を理解できるし、
そもそもこのヒーゴ魔法王国の魔法陣辞典は、私が幼いころに魔法を学んでいた教科書だ。
どのページにテレポートホールの魔法陣が載っているか知っている。
となると・・・、どれぐらいの時間をかけて、探し出すのが妥当なのか・・・
そこがもっとも困難な問題だ。
とりあえず、それを考えるためにも、今後の魔石教育の時間はしばらく図書館に籠ることに決めた。
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