第19話「荒くれ冒険者たちに絡まれる」
第19話
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センナ、ムネルダ、クキリナの3人と一緒に道を歩くと、道行く男性たちが皆振り返るのがわかる。
3人はまったく気にしていないようだが、男性たちからの痛い視線が最後に私に突き刺さる。
(何者だ、お前は)と思われているのだろうな・・・。
センナはその優雅で品のある美しさが際立つ。
背が高く、しなやかなスタイルに、長い金髪が風に揺れる。
彼女の歩く姿勢や表情からは、自信と知性が感じられ、男性たちは瞬く間にその美しさに魅了される。
ムネルダは大きなくりくりした目と明るい笑顔が特徴的で、その愛らしい姿は誰の心も温かくする。
小柄で、ふんわりとした金髪が彼女の可愛らしさを一層引き立てている。
ムネルダが楽しそうに歩く姿に、男性たちはその純粋な魅力に目を奪われずにはいられない。
クキリナは静かで上品な美しさを持っている。
その控えめな振る舞いと微笑みは、まるで絵画の中から出てきたかのようだ。
彼女は長いまっすぐな青色の髪を持ち、落ち着いたファッションがその美しさを際立たせている。
クキリナが歩く姿を見た男性たちは、その静かな魅力に心を奪われ、振り返らずにはいられない。
3人が一緒に歩くと、その美しさと魅力が周りに広がる。
こればかりは、防ぎようがない。
私はできるだけ大人しく後ろをついていくことにする。
でも、何かといえば、3人は私に振り返ってくれる。
トシード:(気を使っていただかなくていいですから・・・。そっとしておいてください)
ギュゥー、センナが急に私の袖を強く握ってくる。
クキリナは私の後ろに隠れてくる。
ムネルダ:「なによ、あなたたち!」
荒くれ冒険者A:「げへへへぇー、そんな言い方はないだろうー、お嬢ちゃん」
荒くれ冒険者B:「俺たちが一緒にスイーツ巡りしてやるっていってるんじゃないか」
荒くれ冒険者C:「そんなヒョロヒョロ小僧なんかより、俺たちの方が断然楽しいコトできるよ~」
ああー、やっぱりそうなるか~
この街は治安悪い要素いっぱいあるからね~
でも、私はこんな公衆の面前で目立ちたくないのです・・・。
私はちらっと建物の影に目をやる。
やれやれといった雰囲気の長身の男性が頭をかきながらこちらに歩いてくる。
ハジメルド団長、本日のセンナ王女の護衛の登場だ。
私たちと荒くれ冒険者6名の間に、ずいっと割り込んできた。
荒くれ冒険者D:「な、なんだ、てめーは!」
ハジメルド:「なんだと言われてもなぁ~。余計な仕事増やしやがって、まったくよ~」
荒くれ冒険者A:「やっちまえ、野郎どもー!」
荒くれ冒険者たちがハジメルド団長に斬りかかる。
その直後、荒くれ冒険者6名はハジメルド団長の手刀を受けて地面に転がっていた。
一瞬だった。
シーーーンとした後、集まっていた観客たちから大きな拍手が巻き起こった。
ハジメルド団長もまんざらではないようで、観客に向かって軽く手をあげて応えている。
トシード:「ハジメルド団長、ありがとうございました」
ハジメルド団長は、私のことを3秒見つめてから
ハジメルド:「ああ。お前がやってもよかったんだぞ」
とニヤッと笑った。
センナ、ムネルダ、クキリナもハジメルド団長に感謝を伝えている。
そして、どうしてこうなったのか、2件目からはハジメルド団長も加わり、5人でスイーツ巡りをすることになった。
ハジメルド団長は、甘いモノには目がないようで、
「しかたねーなー」
とか言いながらも、嬉しそうだ。
長身、オールバックの黒髪、異国の湾曲した片刃の長剣を持った強面で厳しい教官のイメージが崩れた瞬間だった。
結局、4日間の街散策はこの5人で回った。
なお、ハジメルド団長のここだけの話では、初級ダンジョンの調査は暗礁に乗り上げているそうだ。
再開の目途はまったく立っていないとのこと。
まあ、それはそうだろうなと思う。
調査団の想像の域を超えているから、正しい答えにはたどり着けないと思う。
私たちも、調査団からヒヤリングを受けたが、サイクロプスを見た直後から気を失っていて何もわからないと言うだけだし。
ヒュー副団長もサイクロプスの一撃を受けてから、記憶が飛んでいるといっているそうだ。
ダンジョンで倒された魔物はダンジョンに吸収されて消えてしまう。
残っているのは魔物が残したドロップアイテムのみだ。
倒されたことだけはわかるが、どうやって倒されたのかまではわからない。
・10階層のボス部屋でサイクロプスが現れ、ヒュー副団長が倒したはず
・なぜAランクの魔物サイクロプスが現れたのか
・どうやってサイクロプスを倒したのか
これ以上の調査は無理だろう。
私はクキリナに、こっそりと、ありがとうの視線をおくる。
クキリナは、ドキッと頬を赤く染め、ふうっとため息をつきながら、うつむいた。
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