第11話「Cランクモンスターとの遭遇」
第11話
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センナ:「トシードさん。カンベルトゥス先生とのお話は終わりましたか?」
エドザー王家 第3王女 センナ・フォン・エドザーは、ニコッと微笑みを私に向けた。
ドキッとした。
その微笑みはまずい、可愛すぎるから。
しかも、首をかしげながらの微笑みである。
やばすぎる。
まわりの男子たちからの視線が痛い。
トシード:「は、はい///。お待たせし、申し訳ありませんでした」
そういいながら、視線をセンナからムネルダに移す。
ムネルダ:「どこかご覧になりたい場所があるのですか?」
キーバッハ公爵家 次女 ムネルダ・フォン・キーバッハは、くりくりとした目で私の地図を覗き込む。
物理的距離が近すぎるからー!
それにそんな天使の上目遣いで私を見ないでくれー!
やばすぎる。
まわりの男子たちからの視線がさらに痛い。
トシード:「は、はは、はははー・・・、では行きましょうか」
もはや苦笑するしかない。
私たちは崩れた凱旋門をくぐり、石畳の道をゆっくりと歩いていく。
ムネルダ:「トシードさん。ここはキーバッハ領ですので、詳しい私がご案内いたしますね!」
すごいドヤ顔でアピールしてくる。
私は頷き、先頭をムネルダに譲ることにした。
キーバッハ家は王家の分家であり、広大な領地を持つ。
古代都市遺跡“白の古都キシュレアン”は、キーバッハ公爵領内にあり、ムネルダは何度か訪れたことがあるのだろう。
ムネルダ:「白の古都キシュレアンには、大聖女様がいらしたの。あの大魔導士様の婚約者なのよ。ふふん」
センナ:「もう、ムネルダさんったら、ふふふ」
上品に右手で口元を隠しながら笑う。
ムネルダは大聖女と大魔導士の大恋愛譚を話し始める。
・・・・・・・・・・
260年前。
第1王女であり、大聖女であり、私こと大魔導士キヨフレッドの婚約者であるサリア・フォン・キシュレアンがこの古都キシュレアンに住んでいた。
ヒーゴ魔法王国とキシュレアン魔法王国は、領地も近かったし、どちらの国も魔法の研究をしていたから、深い交流があった。
サリアは私よりも2歳年上だった。
幼いころ、一緒に遊んでもらった。
お転婆なサリアといると、いつも楽しかったが、怪我も絶えなかった。
でも、怪我はきれいにサリアが治してくれた。
・・・・・・・・・・
それにしても、ムネルダの話は、どれもこれも結果は間違ってはいないが、過程が正確ではない・・・
女子が喜ぶように話の流れが脚色されすぎている。
話は確かに聞いていて面白いが、粉飾を加えすぎている。
登場人物のひとりである私としては、そんなことはしていないといいたい。
恥ずかしすぎるだろう、それが事実だとしたら・・・
でも、ムネルダやセンナのうっとりとした顔をみていると、なにも言えない。
その二人の関係はどちらかといえば、姉と弟ですから。
お姫様と王子様ではないですからね・・・やれやれ。
苦笑しかない。
突然、茂みから何かが飛び出してきた。
ムネルダ:「キャッ!」
私はとっさに一歩前に出て、剣を抜き構えた。
飛び出してきたのは、魔物だった。
中型で鋭い牙。
ブラウン・ファング・ドッグだ。
ムネルダ:「な、なんで、Cランクモンスターがでるのよ?!」
センナ:「トシードさん!気をつけてください!」
トシード:「わかりました。大丈夫です」
私は一瞬ふたりに振り返り、笑顔を向けた。
ムネルダ:「ちょ、ちょっとぉぉぉーーー、ちゃんと」
センナ: 「も、もうーーーーーーーー、しっかりと」
ムネルダ:「前を見てよーーーーーー」
センナ: 「前を見てくださいーーー」
私は、フッと笑い、前を向く。
ブラウン・ファング・ドッグがもう目の前に迫っている。
でも、私の敵ではない。
私が睨みつけると、ブラウン・ファング・ドッグが怯む。
鋭い牙を剣で弾くと、ブラウン・ファング・ドッグは一歩下がり、そのまま逃げていった。
私が振り向くとふたりは、ぽかんとした顔をしている。
トシード:(・・・・・そ、そうか、しまった)
トシード:「い、いやー、恐かったですー。でも、よかったですね。行ってしまいました。なにか他に用事でもあるんですかね」
センナ:「そんなことあるの???」
ムネルダ:「そんなわけないでしょーーー」
トシード:「あ、はは、、、モンスターの気持ちはわからないですが、とりあえず助かりましたね、ははは・・・」
ふたりが納得できない目で私を見ている・・・。
視線が私に突き刺さるが、ふたりはそれ以上は何も言わなかった。
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