第10話「“白の古都”の記憶」
第10話
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3か月が経ち、古代都市遺跡見学の日がいよいよきた。
私は、密かに心待ちにしていた。
この日が待ち遠しかった。
260年前、そこは“白の古都”と呼ばれ、数千年にわたって美しさを誇った古代都市だった。
目を閉じると、その時の記憶が鮮明に蘇る。
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白い大理石で統一された壮麗な街並みが広がり、都市の中心には壮大な神殿がそびえ立つ。
美しい彫刻や繊細な装飾に彩られた神殿は、訪れる者を圧倒し、魅了する。
広場では市民たちが集まり活発な議論が繰り広げられ、周囲には様々な商店や市場が立ち並び、多種多様な珍しい商品で溢れている。
街全体が常に活気に満ちており、訪れる者を楽しませる。
劇場では演劇が上演され、哲学者や学者たちが集まる学び舎では知識の交換と探求が行われている。
美しい庭園や公園が点在し、市民たちは自然と共に過ごす時間を大切にし、散策や休息の場として利用している。
街全体は白い輝きに包まれ、陽光を浴びるとまるで一つの白い宝石のように輝き始める。
そして、あの方の笑顔・・・
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馬車が止まり、私は目を覚ました。
どうやら、昔の夢を見ていたようだ。
涙が少しだけこぼれてしまったようで、前に座っているクラスメイトが不思議そうにこちらを見ている。
私は微笑みながら何事もなかったかのように馬車を降りた。
崩れた凱旋門の先に石畳の道が広がり、ところどころに苔が生えている。
かつての繁栄を思わせる遺構が、静かに佇んでいる。
私は地図を取り出した。
そこには、かつての白の古都の詳細な図面が描かれている。
思わず指を這わせ、昔の街並みを頭の中で再現する。
カンベルトゥス:「トシード君」
私は、はっとして、顔を上げると、すごく近くにカンベルトゥス先生の顔があった。
先生は地図の上を這う私の指先を見ていたようだ。
カンベルトゥス:「何かこの遺跡に思い入れがあるのかのぉ?」
トシード:「い、いえ」
私が姿勢を正し答えると、カンベルトゥス先生は笑顔でじっと私のことを見てくる。
カンベルトゥス:「・・・260年前、ここにはとびっきりの美人が住んでおったのじゃ。そして、彼女は大魔導士キヨフレッドの婚約者じゃった」
トシード:「・・・」
カンベルトゥス:「ほれ、おぬしが今、指差しておるその場所が、彼女が住んでいた宮殿跡じゃ」
私は大きく目を見開き、咄嗟に地図から指を外す。
カンベルトゥス:「ふぉっ、ふぉっ、ふぉっ、なにを焦っておるのかのぉ~」
トシード:「い、いえ。なにも・・・」
私の背中にいっきに汗が噴き出した。
カンベルトゥス:「まあよい、よい。それよりも覚えておるかな。遺跡巡りは3人一組じゃ。後ろで、かわいい子が2人待っておるぞ~。」
私は後ろを振り向く。
カンベルトゥス:「ランクDの小型の魔物が出るから気をつけるのじゃぞ。ふぉっ、ふぉっ、ふぉっ」
カンベルトゥス先生はそう言うと、別の生徒の見回りに行ってしまわれた。
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