第1話「転生」
この作品に目を止めていただきありがとうございます。
2作目になります。
私は自分の死を悟っていた。
音が遠のいていく。
もう治療は間に合わないだろう・・・
私はそう思うと目を閉じた。
・・・・・・・・・・
キラキラとした朝陽が差し込む明るい部屋のベッドで、私は目覚めた。
立ち上がると何かが変だ。
いろいろなものが大きく感じる。
手も足も小さい。
まわりを見渡すと、壁に掛けられた鏡の中にいる少年と目が合った。
じっと、どれぐらい、見つめ合っただろうか。
ドアをノックする音がする。
私はドアの方を向く。
鏡の中の少年もドアの方を向く。
メイド服を着た女性:「トシード様、おはようございます。お着換えのお手伝いをします」
私:「ああ、いつもありがとう、ジーン」
侍女ジーンは目を見開き、一瞬の驚きの後、すぐにいつもの平静を装った。
私は彼女の名前を知っている。
というよりも、私には2つの記憶がある。
キヨフレッド・フォン・ヒーゴとして生きた25年間の記憶
そして、トシード・フォン・エチゼルトとして生きている7年間の記憶
そう、今、この鏡に映る少年は私ことトシード・フォン・エチゼルトだ。
それは間違いない。
しかし、このあまりにも鮮明でリアルなキヨフレッド・フォン・ヒーゴの25年間の記憶は何なのだろうか。
考え込んでいると、侍女ジーンの姿が目に入る。
トシード:「どうしたのですか?ジーン」
侍女ジーン:「・・・いっ、いえ。なんでもありません・・・」
そう言うと、私は侍女ジーンに手伝ってもらい着替えを済ませた。
・・・・・・・・・・
いま、父と長兄は王都の別邸に住んでいるため、食事は母、次兄、妹と私の4人だ。
私は食事をしながら、侍女ジーンの反応について考えていた。
何を驚いていたのか。
侍女ジーンが食事をとり分けてくれたので、
トシード:「ありがとう、ジーン」
というと、彼女はビクッとし、表情から驚いているのがわかる。
母と次兄は、私をちらっと見たが、何も言わずに食事を続けている。
妹は口をあんぐりと開けたまま、私をじっと見つめている。
ものごとを分析し、真因を導き出し、早急に対処することがキヨフレッド・フォン・ヒーゴであったときの私であった。
どうやら、いまの私はキヨフレッド・フォン・ヒーゴの方が強く出ているようだ。
トシード・フォン・エチゼルトとして生きてきた7年間の記憶をたどっていく。
トシード:(なるほど、そういうことか。私も気が動転していたということか。こんなことにも気づけなかったとは、ふふふ)
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