第二章 決 戦 1. 賽は投げられた
翌日、日が暮れてから、俺たちは準備に取り掛かった。
俺と源さんは、戦闘機のパイロットのような服装。
茜と風太は、忍者のような身なりだった。
茜はバンダナを巻いていた。
全員が駐車場に入っていく。
車三台を囲むように、丸い大きな輪、三角や菱形の図形、幾何学的な模様がアスファルトに浮き出ている。
その中心にメノウが置いてあった。
「この模様は?」
風太が不思議そうに源さんに尋ねた。
「妖気円じゃよ」
踏んでいた俺が、慌てて飛び退いた。
「大丈夫じゃ、消えたりしないから」
源さんはそう言ってから、持っていた小型のアッタシュケースを開けた。
水晶のような球が六個入っている。鶏卵くらいの大きさだった。
「このカプセルを見せれば、妖怪たちは自然に入ってくれる。ゼウスに乗せておくので、よろしく頼む」
源さんが何かを暗示するかのように、俺たちに頭を下げた。
それぞれが車に乗り込もうとしたとき、またしても、源さんの声が聞こえた。
「万が一に備えて、車に入ったらすぐに、酸素マスクを装着するように」
それぞれの車に乗ってから、酸素マスクと遮光用ゴーグルを装着する。
到着するまで、念のため、目を保護するようにとも言われていた。
「さあ、いいぞ」
準備が整ったことを源さんが告げると、座敷童子と砂かけ婆が現れた。
座敷童子の右手には、水晶のポイント石がしっかりと握られていた。六角柱で先端が尖っている。
メノウに近づいた座敷童子が振り向く。源さんが合図を送る。
座敷童子がメノウの穴に、水晶ポイントを差し込むや、みんなに向って敬礼をした。
隣で砂かけ婆が、頭を下げた。