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16. 計六体
「ところでアマビエちゃん、今どこにいるの?」
暇そうにしていた風太が尋ねた。
「あ、まだ言ってなかったか?」
源さんは言い忘れていたようだ。
「実は、あのメノウの中におる」
「えっ——!!」
これには三人が同時に声を上げた。
「あの中に妖怪が五体残されていたが、彼らを救いにアマビエが入っていった。だから、合計六体いるわけじゃ」
「……帰って来てないんだね?」
俺の疑問を源さんは手のひらで、やさしく制した。
「いやいや、正確に言うと、散り散りになった妖怪たちを、アマビエは一つの場所に集める目的で入ったんじゃ」
「なるほどね。」
俺は納得した。
「一か所にまとめてくれてるのなら、探す手間が省けるってことだね」
「まあ成功していればな。そうであることを願いたいが、保証はない」
源さんも、もどかしいのだろうが、不明な点ばかりだから仕方がない。
心配しなくても、明日からの旅で、すべて解明されるさ。