王子様の選択
昔々ある国がありました。決して大きくはありませんが、小さくもなく、国は豊かで平和でした。優しい王様の治世で、どこにも陰りはありませんでした。
しかし王様には1つだけ悩みがありました。
それは3人の王子達の事です。
1番上の王子様は武に長けており、国一番の騎士と言われてました。
2番目の王子様は智に長けており、国内最高の賢者と言われてました。
末の王子は誰からも愛される性格をしており、様々な人脈を持っておりました。
どの王子も優秀で民に慕われており「誰が次の国王になっても国は安泰だ」と重臣達も民も口々に褒めそやします。しかしそれは逆に見れば「甲乙つけがたく決められない」という事でもありました。おかげで未だに王太子の座は空席でした。
王様は王子達に様々な課題を与えて、誰が次の国王に向いているか試しましたが、優秀な王子達はどれもクリアしてしまいました。「なりたい者はいるか」と直接聞いてみた事もありますが、王子達は進んで王位につく気はなく、どちらでも良いような返事でした。
ある日王様が3人の息子を呼びだしました。
呼ばれたのは謁見室でも、執務室でもない城の一室でした。
不思議に思いながらも出向くと、そこには王様と3人の女性がいました。
1人はとても美しい令嬢でした。
もう1人は素顔が全く分からない程の厚化粧の女性でした。
最後の1人は仮面で顔を隠してました。
ますます首をかしげる3人に王様が言いました。
「お前達に婚約者と領地を用意した。この3人の中から次の王妃にふさわしいと思う者を選んで連れて行きなさい。1番上手く領地を治められた者が次の王だ。3人で話し合っても構わないし、今すぐ決められないというなら3日待とう。ただし選んだ相手が気に入らなかったからと拒否したり、他の兄弟が選んだ相手を求めてもいけない。やる時は継承権を放棄するつもりでいなさい」
そう言われて王子達は「次の王を決める為のいつもの試練だな」と悟りました。
さて王子達の選択は―――?