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超能力者だけど頭のおかしいゴスロリ美少女に脅されて人助けしてる  作者: 日暮キルハ


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この部にしてこの顧問あり

 全国の学生の一番嫌いな曜日は何曜日か。

 たぶん、アンケートとったら満場一致で月曜日と返ってくると思う。


 あいつマジでなんなの?なんで求められてもないのに毎週毎週来ちゃうの?

 金曜日はいいんだよ。次の日休みだから。なんかもう、ちょっとくらい嫌なことあってもまぁ許せるじゃん。

 でも、月曜日はダメ。次の日火曜日だし。学校だし。そもそも、なんで一週間は七日しかないのにそのうち五日も学校あんのさ。おかしいじゃん。誰だよこの仕組み考えた奴。神様でも一週間の内一日は休んだとかいうのだから、人間風情は逆に六日くらい休むべきじゃないの?人類、ちょっと自分のこと過大評価しすぎでは?


 大体あれだ。百歩どころか千歩譲って仮に週五日の登校を認めたとしてもさ、初日が月曜日ってどうよ?だって、あいつ月曜日から金曜日のなかで最強じゃん?次の日もその次の日も平日なわけだし。ファンタジーものでいう魔王と四天王の計五人のなかで魔王ポジションなわけじゃん?普通さ、四天王のなかでも一番弱い奴から順番に倒していって最終的に魔王を倒すって流れになるよね?


 それがお前、なんで真っ先に来てんの。

 始まりの村でいきなり魔王出てくるとかありえないじゃん。魔王は大人しく魔王城で椅子に座ってろよ。自分から前線に赴く魔王とかもうそんなん魔王じゃねえよ。


 しかも月曜日の奴、本来安寧の日であるはずの日曜日にまで侵略してくるからね。夕方くらいから凄い憂鬱なんだよ。お前、俺がどんな気持ちでサザエさん見てるか知ってんの?許せねぇよほんと。


 ダメだよ月曜日は。

 もう存在がダメ。許されない。こんな日に嫌なことあったら立ち直れないもん。金曜日だったら許せることでも月曜日だと許せないとか絶対あるもん。たぶん統計とったら月曜日が平日で一番刃傷沙汰の事件起こってるよ。


「そんなわけで、勘弁して貰えませんか」


「ん~、よく分かんないですけどぉ……プリント、職員室までお願いしますね!」


 どさりと。

 必死の月曜日ディスと弁解も虚しく腕の中には紙の束。

 MondayとMonkeyの綴りが若干似てるせいで最近はちょっと猿が嫌いになってきた話もするべきだったか。なんとか状況をひっくり返せないか。

 どれだけ頭を回してみても、目の前にあるのはふわふわぽわぽわとした穏やかな冬月先生の笑顔のみ。


「では、プリントお願いしますね!」


「……はい」


 にこにこと穏やかで人懐っこく、けれどどうにも抗い難い圧を感じる笑顔を顔に張り付けて念押しする冬月先生。

 結局根負けして任されてしまったプリントを持って職員室へ向かう道すがら、そういや今日は早く部室に来いとか安心院が言ってたことを思い出す。


 ……まぁ、ほら、今日のは冬月先生が悪いから。


 冬月(ふゆつき)美雪(みゆき)

 俺の所属する二年一組の担任教師にして、担当教科は主に現国。うちのクラスは古典やら漢文やらも冬月先生に教えて貰っている。


 この先生、生徒からの評判はかなりいい。


 まず、顔がいい。若い女の先生ってだけである程度の補正はかかりそうなものだが、この先生に関してはそういうの関係なしに美人。緩くウェーブのかけられた少し色の薄い髪と平均よりも少し低めの身長、いつもどこかとろんとした朧気な瞳に穏やかかつ清楚な所作。たぶん、男子生徒にアンケートを採ったらあの人が得票率100%で一番綺麗な先生に選ばれる。

 そして、ふわふわと音の浮くような甘ったるい話し方からは想像もつかないほどに分かりやすい授業も先生が生徒に好かれる要因の一つだと思う。時々、アホみたいな天然っぷりを晒すこともあるが、それすら魅力の一つ扱いだ。


 容姿がよくて、物腰穏やかで、天然で、とても分かりやすい授業をしてくれる先生。

 そりゃあ、人気が出るのも頷ける。あの先生を嫌っているのなんて一部の嫉妬に燃える女子生徒くらいのもの。


 ……そして、そんな人間が現実にいるわけがないというのは改めて言うまでもないこと。


 だから、できるだけ急いで向かった部室の扉を開けた先に、机に足をのせてだらしない体勢でソファに身を預けながらソシャゲに興じている冬月先生を見てもそこまでの驚きはなかった。

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