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9 今後の方針 ニート使い魔

翌日、明は5時に目を覚ました。

昨日死にかけたのだから昼過ぎまで爆睡してもおかしくないのに、と思ったが、起きてしまったのだから仕方ない。


体が動かないとかいうこともなく、大けがを負った左手も違和感なく動く。

というか、傷そのものが消えている。

メイが何かやってくれたのだろう。


部屋を見回しても人の姿はない。

観葉植物の上にトカゲがいるのを見つけた。動かないので眠っているのだろう。


明はのっそりと起き上がり、食事の準備を始めた。とにかく空腹である。カップラーメンの準備をしていると、メイが起きたようだった。


「おはようございます」

「おはよう」


食事をしながら、明とメイは今後の方針について話合った。

メイは女児モードである。エネルギー消費を抑え、発声にも負荷がかからない形態だ。

トカゲモードでの発声は大変らしい。

昨日の方針は、明がおとりになって敵が近づいてきたらメイが迎撃する、というものであった。

方針を決めた当日に敵が襲ってくるとは思わなかったが、これはこれで話の展開が早くていい。


「あれだけの力を残していたのを斃したのですから、今日からは安全だと思います」


とメイからのお墨付きもいただいた。

100%安全とは言い切れないが、危険の可能性はかなり低下したとのこと。


いざというときはまたメイに守ってもらいたいところである。


「ある程度でしたら私だけで対処可能ですが、敵が強い場合など、篠田さんの力を借りることもあると思います」

「でも、昨日みたいなことをやりたくても、やり方が分からないしなぁ・・・」


昨日の戦利品であるキーホルダーをちらりと見る。

この神具にたいしてはコマンドが見える。だが、能力付与方法は相変わらず分からない。


今後大怪我するようなことはゴメンだが、こればっかりはどうしようもない。

昨日と同じような状況になることを想定すると、メイが明から力を借りて戦闘力を強化する必要がある。

明が外付けハードディスク兼バッテリー、メイがシンクライアント端末として機能すれば何とかなるだろう。そのための条件を探す必要があるが、そこまで急がなくてもいいだろう。


「で、これからどうするの?」


「今の私には特に目的はありません。本来私はこの世界では異物です。時間経過とともに消滅するはずでした。ですが、昨日篠田さんの能力の対象になり、その時点でこちらの世界での存在が確立しました。わかりやすく言うと、寿命が延びたのです。」

「寿命が延びたと」

「なので、今後ともよろしくお願いしたいのですが・・・」


女児に上目遣いでお願いされて、断るという選択肢はなかった。どうせ普段はトカゲモードだし、寂しいときに話し相手もできる不思議なペットだと思えば悪くない。


「構わないよ。改めて今後ともよろしく」

「宜しくお願いします!」


こうして、正式に同居人が増えた。




といった話をしてから3日間、明はGWを部屋で過ごしていた。

あの後、手持無沙汰になったメイに対して古くなったPCを渡したところ、最初はなれない手つきで操作していたメイだったが、そのうち自由に使うようになった。

最初に言っていた通り、この世界に来て人間の姿をコピーすると同時に基礎知識は得ていたらしい。


「といっても、コピー対象の持っていた一般知識だけですけどね」

というのがメイの言葉である。


ともあれ、ネットサーフィンの中で動画サイトにたどり着いたので、明のオススメを視聴し始めた。


そのとき明が勧めたのが、戦車に乗る女子高生たちのアニメである。

明もハマって、TV版、OVA版、劇場版アニメだけでなく、舞台となった町へ行ったこともある。


「ずるいです!」


メイはこういった娯楽の概念がなかったらしく、一般常識をコピーしたときに得た娯楽の快楽にはまってしまった。この数日睡眠時間を削ってアニメを鑑賞している。


「私も聖地巡礼したいです」

「いつの間にそんな単語覚えたの・・・?」


明もびっくりのハマりスピードである。


「何かしたいことはないの?」

「大洗に行きたいです」

「まぁ・・いいけど・・・」


同じ県内である。愛車を使えは数時間で行ける場所ではあるが、せっかくメイが希望する場所に行くのであれば、ある程度のもの(TV、劇場、スピンアウト含む)を鑑賞してからの方がいいだろう。

ということで、明は別のものを勧めることにした。


「まずは‘打ち上げ花火を、下から見るのか、横から見るのか’にしたらどう?

これの聖地はこの町にもあるし」

「本当ですか?では、今からそちらを見ましょう。ただし、面白くないとダメですからね。」

「はいはい」


今のメイの合格ラインは極めて低い。大丈夫だろう。

PCを操作してDVDを見始めたメイを見つつ、明はため息をつくのであった。

ということで、第一部完です。

次話に軽いサブストーリーを挟みます。

その後、聖地巡礼が始まります。

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