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使い魔による尋問 次の巡礼地

土曜日の夜、大洗から戻った明は着替えるとそのまま布団にもぐりこんだ。大洗を出発したときは大丈夫だと思ったのだが、明も疲れていたらしい。

部屋に入り、メイとランを寝床に運ぶと眠気に襲われ、眠ってしまった。


翌朝メイが目を覚ます。時間は8時。隣にはランがいて、現状は観葉植物の上にトカゲと綿毛が乗っている状態だ。普段朝早い明も今日は起きておらず、布団の中で眠っていた。

今日は休日だし、マスターは気が済むまで寝かせてあげよう、ということで先に準備をすることにした。


トカゲが鼻先で綿毛をつんつんすると、綿毛がゆっくりと空中に浮かびあがる。

ランを起こしたメイは女児モードになり、ランにシロ(仮)を出すように言った。

ランが控えめに光を放つと、そこには白蛇が現れた。

白蛇は全長15センチ程度。ちょっと大きいミミズ程度の大きさしかない。


「また会いましたね」

「・・・」


白蛇は答えない。


「返事は?」

「ぐっ・・・はい・・・」


白蛇が苦しそうに声をだす。

従魔の白蛇は使い魔であるランに逆らえない。黙秘しようとしたところでメイから追加で強制力のある質問がきたため、返事をすることになった。


「さて、マスターが起きる前にやっておくことがあります」

「・・・」


「一つ、マスターや使い魔である私たちに危害を加える、加えるかもしれない行動をとってはいけない。この危害というのは直接的、間接的かは一切関係なし。二つ、許可がない限りこの部屋から出てはいけない。外部へ連絡をとることをしてはいけない。三つ、マスターや私たちに嘘はつけない。知っていることを黙秘できない」


メイはシロ(仮)に対して条件順守を強要した。


「復唱しなさい」

「ぐ・・・私は・・・・・・」


シロ(仮)が復唱を終え、メイは一息ついた。復唱することによって、このルールは白蛇に刻み込まれた。あとは煮るなり焼くなり想いのままだ。


さて次はどうするか、と考えていたところで、明が目を覚ました。


「おはよう・・・って、え?」


女児モードのメイが白蛇を前にしているのに驚き、一瞬で目が覚めたようだった。


「すいません。起こしちゃいましたね」

「いや、それはいいんだけど、その蛇ってもしかして」

「昨日捕まえたものです。今しがた、条件付けを行っていました」

「条件?」

「そうです。ええと・・・」


メイが先ほど復唱させた内容を説明する。

布団の上に座った明は、納得したようだった。


「で、次にどうするの?」

「そうですね・・・。先に名前を決めますか?シロでもいいですが」

「いや、さすがにシロはないだろ」

「マスター、シロは嫌」


「普通に話できるんだ」

「はい。マスター」


トカゲがしゃべれるのだから蛇がしゃべっても不思議ではないか、という感想の明だった。


「すぐに名前が浮かばないから、それは聞きたいことを聞いてからでいいかな、メイ」


明がメイに促す。メイは改めて白蛇に向き直り、尋問を始めた。


「まずは・・・あなたたちはどうやってここに来たの?」

「世界を超えるゲートを通ってきた。多分あなたと同じ」

「あなたはあの告死天使?」

「そう。私たちが告死天使」


私たち、という口ぶりだと、あれば複数体があつまったものだったのか。


「私たち、って言ったけど、何匹が集まっているの?」

「自分でもよく分からない。とにかく多い」


回答で嘘がつけない状態なのだから、これは誤魔化しではなく、本当に分からないのだろう。


「この世界には何匹がきたの?」

「8人」


数えきれないほど多くいたのにこの世界にたどり着いたのは8匹だけだったということか。

これまで斃したのが4匹、目の前に1匹いるので、残りは3匹だ。


「あなたたちは自分たちで数を増やす、自己増殖はできる?」

「この世界ではできない」

「8匹の意思決定は誰がしていたの?リーダーはいた?」

「その神具を持っていたのがリーダーだった」


白蛇はキーホルダー化にして明が持ち歩いている神具を見て答える。ということは、最初にリーダーを斃したのか。


「リーダーを失ってからあなたたちはどうしてたの」

「分散して各自がこの地の力を利用して回復することにした」


‘想い’を使うことにしたのだろう。


「で、大洗に2匹でいた。どうして2匹だったの?」

「特に理由はない。たまたま一緒にいただけ」

「仲が良かったのではないの?」

「別によくない。あの人は私よりも強くて私を見下していたから好きじゃなかった。あの場所が魅力的だったからあそこにいた。それだけ」


白蛇の間にも上下関係があるのか・・・


「残りの3匹の場所を知ってる?」

「・・・知ってる」

「3匹は別々にいるの?」

「同じ場所にいる」

「どこ?どっち?」

「町の名前は知らない。彼方の方角にいるのは分かる」


PCでマップを表示して確認する。今いる場所から南東方向。房総半島の先の方か。想いの集まる聖地、かつ3匹がいるとなるとそれなりに有名なはず。となると・・・


「鴨川か」


‘ラグランジェ’の舞台となった町。大洗とは少し違う意味で有名な聖地巡礼場所だ。


「明さん、知っているんですか?」

「ああ。有名な町だよ。ただ、俺はアニメの方見たことないんだよな・・・」

「あにめ・・・?」


白蛇が不思議そうにつぶやく。アニメを知らないで、劇中人物を再現していたのか?


「ふふふ、アニメを知らないとは、人生損してますね」


なぜかメイが上から目線でコメントする。ランも上下に動いていた。


「では、次の目的地は鴨川ですね。今日は休息日として、来週行きましょう」


来週までに全話見れるとは思わないが、そちらはメイたちに任せればいいか。それよりも敵がまだ3匹いるのを早めに対処する方が先決だ。

敵がいると分かっている場所に乗り込む、明がは気を引き締めたところで、空腹感を覚える。


まずは朝ごはん食べよう。


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