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乙女と戦車編5 茨城県大洗町 大洗駅 商店街

マリンタワーを出た明たちは、大洗のフェリー乗り場近くの波止場にやってきた。

目の前にはさんふらわぁが停泊している。


「ここに学園艦が停泊する設定なんですよね?」

「そう、劇場版では一回ここで学園艦から降りたよね。大洗学園艦の甲板の高さが、さっき上ったマリンタワーの展望室より高い設定だから・・・大洗学園艦の倍以上の大きさの他の有力校の学園艦の大きさは推して知るべし」

「現実はさんふらわぁの時点で既に大きいのに、この数十倍って設定・・・。スケールが大きいですね」


太平洋に面した大型艦が停泊できる港町。大洗はモチーフとしてうってつけの土地だったんだな。そんな感想を抱きながら、海から離れる方向に歩き出す。


「次はこの道をまっすぐ。すると目の前に現れるのが・・・」

「大洗駅ですね」


メイが明の言葉を継ぐ。


「ちょっと遠い気もしますけど、歩いていけない距離ではないですね」

「アンコウ祭のとき、電車で来る人たちはマリンタワーまで歩くからね。途中に商店街もあるし、実際に歩いているとそんなに距離は感じないよ」

「では、行きましょう」


15分ほど歩くと、目の前に小さな駅舎が見えてきた。


「鹿島臨海鉄道、大洗駅に到着です」

「この駅舎、見たことあります。駅前のイルカのオブジェもかわいいですね」

「エキシビションマッチにも出てたよね。この駅で見るべきは、入ってすぐ左手のスペース」


そこは大洗インフォメーション。だが、実質‘乙女と戦車’のコーナーだった。グッズや色紙が一面に並んでいる。


「ちなみに、キャラクターの誕生日毎に、そのキャラクターを祝うような展示に入れ替わるんだ。徹底してるよ」

「ちなみに、明さんは誰推しですか?」

「お姉ちゃんと迷うけど・・・やっぱりゼクシィさんだね」

「分かります。かわいいですね」

「・・・(上下に動いている)」


絶妙なポンコツさがメイに似ている、というのは言わないほうがいいだろう。


「将来この駅の向かいに観光案内所ができるらしいんだけど、そうなるとここのスペースはなくなるらしい」

「そうなんですか?」

「ああ、だから、ここの展示物も一部返還とかしてるらしいよ。せっかくなら、どこか別の場所に飾ってほしいけどね」

「残念ですね・・・」


ちょうど列車がやってきたので入場券を買ってホームに出る。

都合よく‘乙女と戦車’ラッピング車両だった。早速写真を撮る。


「そういえば」

「はい」

「この鹿島臨海鉄道、神栖市まで線路がのびてるんだよ」

「私たちのアパートの近くまでですか」

「そう。ただ、人が乗れるのは鹿嶋市の鹿島神宮駅まで。サッカーの試合があるときは、スタジアム前の普段止まらない駅にも止まって観客を輸送してくれる、」


「鹿島のホームスタジアムがありますからね」

「鹿島から先は、コンビナートの製品を輸送するための完全な貨物線だよ。株主になれば株主優待として割引乗車券がもらえるけど、鹿島、神栖在住だと正直使う機会がない。水戸に住んでいる鹿島ファンとかなら有効利用できるかも」

「ふむふむ」

「まあ、水戸は水戸でサッカーチームがあるし、そのチームが‘乙女と戦車’とコラボしてるんだけどね」


そんな話をしている間にランが想いを解析し終えたので、次の目的地、商店街へと向かう。

今回は大通りから東側を回る。


「個人商店さんばっかりです。店頭にはポップが置いてありますね」

「それぞれのお店が一人ずつキャラクターを担当してるらしいよ。店主さんたちが、うちの娘、とか表現してる」

「お店の数が多いですけど、‘乙女と戦車’は登場人物も多いですから。いまのとこ余裕で間に合ってますね」

「最近登場したサメさんチームのポップも既にあるよ」


そんなことを話ながら商店街を歩く。団子を食べて、ドリンクを飲んで、二人は曲がり角までやってきた。


「商店街で一番有名なお店はたぶんここ。2回も戦車が突っ込んだからね」

「ご主人まで劇中に出てますもんね」

「担当はダー様。ちなみに、毎年アンコウ祭で卓上カレンダーを売ってるから、俺も買ってる」

「確かに、家にありました」


近くの本屋、服屋、酒蔵を順番にのぞく。どこも関連するグッズがたくさん売られている。


「こういう本屋さんや服屋さんで巡礼者が商品を買っていく。聖地巡礼って経済回してると思うよ」

「聖地になりたがってる町っていっぱいあるんでしょうか?」

「どうかなー。メリットもあればデメリットもあるだろうから町の人たちの意見もまちまちだろうね。それに、有名になるにはファンとの連携とか、既存の聖地に割り込んでいく覚悟と努力・・・色々大変そう」


商店街を抜けると人が並んでいる店があった。明とメイはそこに並ぶ。


「ここで食べるのは鉄板ナポリタンですけど、このメニュー、マリンタワーの喫茶店でもありましたよね」

「そうだけど、どうせならここで食べたかったんだよ」


いつも混んでいるので避けていたが、今日は二人だ。ランが想いを解析する時間も必要だし、休憩することにした。


「劇中には食事風景も多いし、そのメニューにも元ネタがあったり、逆輸入で劇中のメニューを出す店があったりする。ここは逆輸入だったと思う」

「イタリアの・・・ですよね」

「そうそう」


まわりの客も思い思いにグループで食事を楽しんでいる。食事後、名刺をもらってから店を出た。


「名刺、交換でもらえるんですね」

「最初来たときは、このルール知らなかったから、職場の名刺だしちゃったよ」

「個人情報な気が・・・」

「だから、次からは専門の名刺モドキを準備してる」


大洗町役場はすぐ近くにある。


「劇場版で砲撃戦が繰り広げられた場所ですね」

「コミカライズ版を読むと、奇跡が起きてる場所だよ」


写真を撮り終えて、そのまま駐車場まで戻ってきた。車の中、3人で話をする。


「いいペースで想いを解析できてます。このままいけば大丈夫でしょう」

「敵はいる?」

「・・・」

「みたいです。場所は・・・神社の可能性大です。想定通りですね」

「分かった。水族館に行くときに前を通るから、そこで確認だね」

「ええ」

「頼んだぞ、ラン」

「・・・」


いよいよ目的に近づいてきたみたいだ。明は車を発進させた。


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