1 プロローグ
処女作です。
よろしくお願いします。
城の上空に現れた巨大な魔方陣。そこから現れたのは漆黒のドラゴンだった。
大きさは50メートル強、閉じていた目を開き、深紅の瞳で周囲を睥睨する。
「守護竜様、どうか我が国をお守りください」
文字通り、召喚士の命を削って呼びだされたドラゴンは無数の魔物に囲まれていた。空にはハーピー、ガーゴイル、ワイバーン、地上にはゴブリンやオークの大群、中にはオーガやトロルの姿もあり、城の陥落は時間の問題のような状況だ。
ほどなく、ドラゴンは行動を開始した。周囲には無数の小さな魔方陣が浮かびあがり、そこから熱線が放たれる。縦横無尽に空を駆ける熱線に触れたものは、例外なく炭と化した。鋭い爪や牙による攻撃、放たれるファイアーブレス。気づくと空にはドラゴンの行く手を阻むものはいなくなっていた。
次は地上、とドラゴンが顔を下に向けようとした瞬間、遥か前方に光が生まれた。小さな光は急激に輝きを増し、誰もがまぶしさに目を閉じる。
その後輝きが収まるとそこには1体の天使が立っていた。大きさは100メートル近い。鎧兜を身にまとい、背には8枚の翼、手が6本あり、それぞれが剣、杖、盾といった武具防具を持っている。
「あれが告死天使か」
城にいる兵士がつぶやいた。震える声からは恐れを隠しきれていないことが分かる。
人類に審判を下すという、伝説にうたわれる存在。
対するは、こちらも伝承に残る人類の守護竜。
熱線が天使へ向かって放たれるも、身に着ける防具によって防がれる。
完全に無効化しているようで、天使がダメージを受けた様子は見られない。
数秒後、天使が剣を振るい不可視の斬撃が放たれる。
ドラゴンはブレスによって防ごうとするも、防ぎきれず体には浅く傷が入った。
これまでの魔物とは明らかにレベルが異なる敵、自分と同等以上の力を持った存在の出現に、ドラゴンはうなり声を一声あげると、急加速して向かっていく。
そして、死闘が始まった。
戦いは以外にもドラゴンの勝利で決着した。
ドラゴンの攻撃は天使に有効打を与えられないのに対して、天使の攻撃はわずかではあるがドラゴンにダメージを与える。RPGのボス戦のように、じわじわと天使がダメージを与えて削り切るような戦いが長期間に及ぶと思われたが、ある時からドラゴンが戦い方を変えたのだ。
熱線やブレスに加え、氷結、衝撃、毒、闇、神聖攻撃。さらにはバフとデバフといった補助魔法。熱線に対して無敵とも思われた天使の防具は複数属性による波状攻撃によって破損し、天使の各攻撃は様々な属性を付与した防壁でダメージを抑えられる。
天使本体は以外にも神聖系魔法が弱点だった。
最後の力を振り絞った天使の自爆攻撃も種々の防壁の力で防ぎ切ったドラゴンは、
存在を削られ、消滅していく天使を見つつ、勝利の雄たけびを上げた。
城には人々の喚起の叫びが響き上がる。
「やったぞ!」
「守護竜様、バンザーイ!」
ドラゴンの負ったダメージは決して小さくないが、残った地上の魔物を全滅させるには十分だった。熱線で魔物を一掃した後、役目は果たしたとばかりに天を仰ぐと、再び巨大な魔魔法陣が現れた。そこから差し込む光のなか、ドラゴンは姿を消した。