白い家
初投稿です。
男の名前はサジカンダ、彼は少々特殊な趣味を持っていた。そう、彼は無類の白好きだった。彼の家は白に支配されており。それは額縁や、絨毯、棚や花瓶まで白であり、とにかく白にまみれていた。
だが、そんな常人には理解できないような家も、一部の人々の間では名が知れており、時々訪問者が訪れていた。
今日の訪問者はリベルトという男であった。黒いコートを羽織り、異様な雰囲気を醸し出していた。
「ようこそ、さぁ早く中にお入りなさい。外は寒いでしょう」
「あぁ、そうさせてもらうよ」
リベルトは土足で、白い、白い家に入った。
「ほう、やはり噂の通りの家だな。こんな家は長年旅をしていても見たことがない」
「えぇ、えぇそうでしょう。これは私が苦心して集めた代物、これら集めるためには何も厭いませんでした」
サジカンダは得意げに言った。それもそうだ。この界隈でもこの規模のものは滅多にないのだから。
「だろうな、こんな上等なものは見たことがない。ところで、これはどこで手に入れたんだ。」
リベルトは白い椅子に指を向けていった。
「これはですね。13世紀から続く名家から盗んできた一級品です。私たちの界隈でオークションにかけたら、一億はくだらないような一品であり、ここに来る皆さんは必ずと言っていいほど興味を持たれます。中にはこれを買おうとした人まで…」
自慢げに言うサジカンダを横目に、リベルトは頷きながら言った。
「あぁこの白は素晴らしい。何も色が混ざっておらず、美しい白そのままだ」
「ところで、これはなんだ?」
リベルトは真っ白な杯を指さした。
「おぉ、それに気づきましたか。これはですね、私のコレクションの中でも一番の物なのです。これはあるホームレスから奪ったもので、もともとそこまでかと思ってはいませんでしたが。良く見ればとても上質なもので、海老で鯛を釣るというのはこのことかと思いましたね」
サジカンダは先ほどよりも、より自慢げにいった。
「あぁ、確かにこれは相当なものだ。どれ、これで一杯飲むのは駄目かな」
「えぇ、よろしいですよ。皆さんここに来ると必ずそういわれます」
そういってサジカンダは骨のカーペットの上で、骸骨の杯に血のワインを注ぎ、それを殺し屋に手渡した。