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意気込んだはいいが、手足の縄がぜんっぜん切れない。結び目を解くのは固すぎたために早々に諦め、ベッドの角で縄を削っているのだが…このままではいつまでやっても切れそうにない。
しょうがない、奴らが帰ってくる可能性はあるけど隣の部屋で刃物か何か探そう。どっちにしろこの部屋には窓とかないから隣の部屋に行くしかないけど。てか床這うの木が肌に擦れて痛い。今着てる服はノースリーブで肩が出てるから結構痛い。しかも下はダボっとしたパンツだからもさもさして動きにくいし。
ガチャ、バタン
よし、なんとか後ろ手で扉を開けられた。おっ、こっちの部屋には台所がある。あそこまで行けば…!にしても窓は高いところにあって椅子を使っても手が届かなそうだから扉から出るしかないのか…
「〜〜〜じゃないか」
まずい、奴らが帰ってきた!どうしよう、隠れなきゃ!
ガチャ、バタン
「うまく清算できてよかったな」
「ああ、これであの人にも報告できるな」
とりあえず空いていた台所下の収納ぽいところに隠れたが…俺がいないことに気づいたらまずい、どうしよう
「ま、その前にお姫様にも話を聞いてみないとな」
ガチャ
「ん?おい、あいつがいないぞ!くそ、逃げられた!」
「落ち着けよ、ここの玄関の扉は鍵がかかったままだったし、あの部屋には窓がない。それにこの部屋の窓は高いところにある。ということは、だ。お姫様はまだこの家の何処かにいるんだよ」
「フッハッハッそういうことか!おーい、お姫様!隠れてないで出てこいよ」
っっ!まずい!てゆーか誰がお姫様だよ!!
「ここかなー?それともここかー?」
本当にまずい。奴らがいろんな棚とかの扉を開ける音が聞こえる。
「あとはー、台所あたりか?」
やばいやばいやばい!どくんどくんと心臓の音が早まっていくのがわかる。
バタン、バタン、バタン
「ここかー?出ておいでー?」
バタン
「ひっ」
「ッハハ、お姫様みぃーつけた」
あきらかに人相の悪そうな顔の男がにやにや笑って立っていた。
「は、離せ!」
「おら、こっちこい!暴れるな!くそっ、動けよ!」
髪の毛を強引に引っ張られて外に出される。嫌だ、怖い、誰か助けて…!
「くそっ、抵抗するな!」
「あ!おい殴るな!」
そんな声が遠く聞こえて、振り下ろされた男の手がスローモーションに見え、思わず目をつむった。