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「なっ!」
王様が同様した隙にフィリップはアランとセドに加勢して王様を追い詰めていった。
「こうなったら…!」
王様は3人を吹き飛ばしアイサを口にした。すると王様の肉体が進化し、より強大な力を感じた。
「なんてことだ!」
「うおーー!」
そう叫んで全方位にに攻撃をしてきた王様に今度こそやられると思って構えた。すると目の前が明るく光り、王様の力を弾いた。
「これは…!」
「アラン!セド!」
2人の放った能力が合わさって光り、王様の攻撃を弾いたようだった。
「そうか!上手く力を融合させれば…!」
アラン、セドの融合攻撃に加えフィリップの攻撃があり、春は王様からアイサを取り除き、俺は攻撃指示を出す。そうやって攻撃を重ねた結果、王様は床に倒れて動かなくなった。
「やったー!」
「やっと、終わった!」
俺と春が手を合わせて喜びあっていると、その横は不穏な空気に包まれていた。
「貴方は何のつもりですか?色々仕掛けてきていたのは貴方ですよね?」
アランはフィリップを壁際に追い詰めて問いただしていた。
「春を連れ去ろうとしたのは確かに私だ。アランが力をつけてきたと知って人質をとろうとしたんだ。だが役立たずのせいで怜をさらってしまった…怖い思いをさせてすまなかったね、怜」
フィリップの仕業だったのか…!やっぱり春はこいつにも狙われてたんだ!
「そして私が始め春に声を掛けたのはアランの想い人だったからだ。だが、怜と話しているうちに怜に惹かれていった。この気持ちに嘘はない!だから怜を傷つけようとする王を許せなかった!怜は俺ものだ!!」
「いや、俺は」
「怜はお前のものじゃない!そもそもものではないが…一方的に気持ちを押し付けているだけだろ!」
「セド…」
「ふっ…それは君だって同じじゃないのか?君だって怜のことが好きで図書館の護衛を代わってもらって付き纏ったりしてたんだろう?」
「それは…」
え!あれってセドが自主的にやってくれてたんだ…!てっきり命令されていてくれてるもんだと思ってたから申し訳ないなって思ってたけど違ったんだ…
「怜、ここを出て一緒に暮らそう。一生大切にすると誓うよ」
「お前は風を使って俺の気持ちを操ってたんだろ?そんな卑怯な手を使うやつは信じられない!それに、セドはお前とは違う!俺が悩んでる時には慰めて元気づけてくれたし、街に出られなくて落ち込んでたときもセドなりに考えて贈り物をして励ましてくれた。」
「怜…!」
「そんな人だから、俺は…好きになったんだ!」
「怜!俺もだよ。初めて会った時は無愛想な子かと思っていたら、街を通る時にあれは?これは?と聞く姿はとても可愛いらしかったし、馬が怖くて俺の腕をを握っていたり、連れ去られて震えていたりしていた怜を見て、守ってやりたいと思った。戦いの時にも随分と助けられた。俺には怜が必要なんだ。」
「セド!」
そんな風に思ってくれていたなんて…!たまらずセドのもとへ駆け寄り抱きつくと、セドも俺の背中に手を回してきつく抱きしめてくれた。
「ということだ。諦めな」
「怜…そんな…」
がくっと項垂れたフィリップも目に入らないほど2人はお互いしか見えていなかった。
「アラン!」
「わっ、春!」
「もう終わったしいいよね?」
ちゅっとリップ音がして、アランは春に口づけされたことに気づいた。
「僕もアランのこと好きだよ!大好き!」
「春…!嬉しい!俺も愛してる」
「あ!ずるい!僕だって愛してるからね!」
「分かってるよ」
相変わらずラブラブすぎるだろ…って感じの2人が横目に見えてこっちが恥ずかしくなってくる。
「怜」
「なに?」
顔を上げるとセドの顔がドアップで写ってあの日の続きをされた。唇から火がついたように顔に熱が伝わっていった。恥ずかしくて目を晒してしまったけど、もう一度セドの顔を見ると、セドも真っ赤になっているのがおかしくてふたりで笑ってしまった。幸せってこういうときに使う言葉なんだなって、そう思った。




