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王様に謁見したら、なんかよくいるフォッフォッフォッって笑うような優しそうなおじ様だった。うーん、この穏やかそうな王様からあの俺様王子様が生まれるとは…
アラン、セド、ルカが同席し、アランが事のあらましを王様に話してくれた。俺と春も転移前に起こったことをかいつまんで説明した。
「なるほどのう。わしは異世界なるものの話は聞いたことがないが、ルカなら何かわかるのじゃろう?」
「いくつか気になる文献はございますが、本当に彼らが異世界なるものから来たのか、ならばどうやって来たのかということは調べてみないことには…」
んんん、やっぱりルカには信用されてないみたいだ。ルカは城に行く道中も俺たちとはほとんど口を聞かなかったし。まぁどこから来た何者かも分からないやつをほいほいと信用するってのも難しい話だとは思うけどな。
「そうか…本来ならば素性の知れないものを城に置いとくわけにはいかないのだが…」
「父上!」
「分かっておる。アランが気に入っておる者もおるようだし、」
お、お父上のウインクかっこよすぎる…!!アランは顔を赤くして春の方見てるけど春は王様ガン見してる。きっと王様も春の妄想の餌食になってるんだろうな…
「調べがつくまではアランの客人として城におくことにする」
「ありがとうございます!」
俺たちは城の中を自由に歩くことはできないが、自分の部屋と庭に出ることは許された。俺と春の部屋は隣同士になっていて、行き来が楽だ。
「本当は俺の部屋の隣にするつもりだったのだが…」
「じゃあ僕が遊びに行ってあげるよ!」
落ち込むアランを励ます春に、アランは頰をそめているが悲しいかな。春はアランとセド、またはルカとのいちゃつきを見に行きたいらしい…
どんまいアラン!お前みたいなイケメンでも春の前では無力だな!と憐みの目を向けてやったが春の本性を知らないアランは得意げにこっちを見てドヤ顔をしてきた。
2、3日してだんだんお城の暮らしにも慣れてきたが、お城暮らし楽すぎる…!ベットはふかふかだしご飯は美味しいし!最高〜!
春は毎日俺の部屋に来て一緒に過ごしている。アランは第二王子のくせに毎日春の部屋を訪ねるが、基本俺の部屋にいるので、こっちにやってくる。王子様って暇なのか?
「春、今日は何をしてたんだ?」
「今日はねー、庭でお花見ながら散歩したよ!」
これは城の中の兵士たちのBL模様を観察する目的もあったけどな。
「そうか、今はどの花もとても綺麗に咲いているからな。それに花を愛でているお前は美しいだろうな。今度は同行させてくれ」
この会話を俺の部屋のソファでお菓子を食べさせ合いっこしながらしてるんだからたまらない。それに春はパーソナルスペースが狭い。いちゃいちゃするなら2人でやってくれ…
ただ春のパーソナルスペースが狭いおかげでアランの機嫌はすこぶるいい。はじめの頃は春が俺の部屋に入り浸ることにやきもちを焼いているからか、やたらと睨みをきかしてきたアランだが、このいちゃいちゃタイムが設けられることで多少ましになった。でも春にとってはフツーのことなのでなんとも思ってないんだろうな…
「春、口についてるぞ」
「え、うそ〜。どう?とれた?」
「いや、こっちだ」
「〜〜〜っっ!!アラン!!」
アランが春の口についてたクッキーのかけらをとってペロッとなめたもんだからさすがの春も真っ赤になってアランをポカポカたたいている。
春が自分の恋に目覚める時は近いかもしれない。