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「とっても美味しいです!」
「それはよかった!口に合うか不安だったのよ」
レノが作った料理は、たしかに食べたことのない独特の味がしたが、とても美味しかった。
「思ったんだけど、食文化の違う夫婦とかどうしてるんですか?味合わせられるんですか?」
「それは…愛の力ってやつよ〜!」
「はぁ…」
「やぁね、冗談よ。そういう家庭もあるけど、アイサっていう便利なものがあってね…」
まとめると、アイサというのは味を緩和して独特の味もマイルドになる液体調味料らしい。なんかの果物からできてるやつで、この街発祥のため安価で出回ってるらしい。
「そういえば隣の彼の家も別の村同士だったから使ってたはずよ」
「そうですか…」
それから夕方までずるずると居座ってしまい、夕方になってレノの息子も帰ってきたタイミングでそろそろ…とお暇した。
「今日はどうだった?」
「うん、やっぱり何回もかけることで回復できたよ。ただ数が多くて」
「そうだよな、薬とか作れるといいんだが…」
「そういえば症状なんだけど、体の痛みや幻覚とか以外にももうひとつ、一つのことに執着してる人が多い気がするんだ。」
「執着?」
「うん、昨日言ってて気付かなかったけど、鏡みてる自分に夢中な人、ぬいぐるみ離さない人、豚好きな人も前はそうじゃなかったって」
そう言えば最初に出会った人もきっとエリィって元奥さんに執着してたんだな。
「じゃあそういう症状が出た人には病院を受診してもらうよう言っておこう」
「ありがとう」
「こっちはイレドの商人の販売リストを挙げてみたんだが…これといって変なものは…」
イレドの文化的工芸品や特産品などがリストにはずらっと並んでいた。ふと今日耳にしたものを見つけた。
「アイサ…」
「何かあったか?」
「え、いや、たまたま今日聞いたのがあったから。アイサってイレドでも作られてるんだね」
「アイサ?聞いたことないな」
「この街発祥って言ってたからこの辺りにしか出回ってないのかも」
「ふぅん、それをイレドが…気になるな」
地元の人に聞いてみると最近になってイレドからも仕入れるようになったという。なんでもアイサのもとになる果実をイレドでも作りはじめたためイレドでも作れるようになったそうだ。調べてみるとアイサを使ってる家庭の者しかおらず、イレドからのアイサからは魔力が感知された。
「なんかあっという間だったねぇ」
「だな。」
原因がアイサ一本に絞られてからはとんとん拍子にことが進み即刻イレドからのアイサ輸入が止められたことで一気に収束していった。アイサには高度な一種の毒魔法がかけられていて、実行している首謀者は確認できたが…
「どうやら敵はもっと上のものらしい」




