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ダスタルは北に位置してるだけあって少し肌寒かった。いつもはアラビアンな感じの衣装で肩とか出てることもあるんだけど、今回は身軽であったかい機能的な服を着せてもらった。


「セド様、よくおいでくださいました。」

「どのような状態だ?」

調査に行くのは表向きセドが代表で、隊員数人ということになっていて、アランは隊員として、俺と春は学者としてやってきた。

「ここ最近何やら気の抜けた状態になってしまう人が増えているのです。共通点は無く、未だに原因は分かっておりません。」

「イレドの者が関わっているというのは本当か?」

「確証はありません。しかしイレドからの商人が増えてからこのような状態になっているので何かあると考えております。」

「そうか。一度そのような症状がでた者と会わせてくれ」

「分かりました。少しはずれた所に行けば多くが道に転がっています」


転がってるって…と思ってたけど本当に転がってた。最初は酔っ払って寝転がってるのかと思うくらいだったが、明らかに生気がなく死人のようだった。

「エリィか、お前!そうなんだろう!」

「ひっ」

「貴様離れろ!」

「エリィ!帰って来たんだな!話があるんだ!離せ!」

急に春にエリィエリィと呟きながら近づいてきたおじいさんは兵に連れて行かれた。

「今の人もか?」

「はい、以前まではあんなではありませんでした。ああやって誰でもエリィと間違えるようになったのは最近のことです。あ、エリィは彼の元妻のことです。」

「そうか…幻覚症状がでている者は他にも?」

「はい、数人ほど」

ここ数日で数も増えているらしく、状況は悪くなっているらしかった。


「明日はまだ症状の軽い者に話を聞こう」

「その症状の人が集まってる病院に行って僕の能力試してみてもいいかな?」

「最近は人にも使えるようになったんだっけ?」

「そう!ただ外傷にしかしたことないから幻覚とかに効くのかは分かんないけど…」

「試してみるといい。怜は…」

「俺は話を聞く方についていっていいか?春のとこいても役に立たないだろうから原因探る方に協力したい」

「分かった。じゃあまた明日な」

「おやすみ」

「おやすみなさい」

ここでは春と同室になっているのでアランはじいっと見ながら部屋を出ていった。春との関係性の変化がなく俺は春の友達だって何回言っても自分のものにならない限り安心できないらしい。


「水…」

場所が変わると寝られないのか、夜中に目が覚めたのでそのついでに水をもらいに行った。厨房は電気がついていて廊下に光がさしていた。

「セド、どうしたの?」

「怜か、眠れなくてな。怜は?」

「俺も。水もらっても?」

「ああ。」

セドは少し酒を飲んでいたようで、水を取りに来たらしかった。

「水垂れてるぞ」

「んっ。ありがと…う…」

セドが口から溢れた水を親指で拭ってくれたのだが、頬に添えた手が頬をさすってくるからくすぐったい。というか顔が近い。近くで見ると改めて顔立ちが整ってるなとすごく思う。愛おしいものに触れるようにそっと触り、優しい眼で見つめてくるセドの顔が近づいてきて、そっと目を閉じた。

「あっ」

声がしてぱっとそちらを見ると春がいた。

「ご、ごめん。起きたら怜がいなくて…失礼しました!!」

それだけ言うとダダダダと駆け去っていった。

俺、今春が来なかったら…!

「怜、そろそろ部屋に戻った方がいい。明日も早いからな。」

「そ、そうだね。おやすみ」

「おやすみ」

あまりに態度が変わらないセドにちょっと傷つきながら部屋に戻った。俺以外にもたくさん経験してるから冷静なんだろうか。セドはかっこいいし近衛隊長やってるくらい強いんだからモテるんだろうな…

結局朝までほとんど眠れなかった。

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