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スレンは相変わらずで、やっほー!と言いながら迎えてくれた。今日のおやつは果物盛り合わせで見たことない果物も色々あったけどどれも美味しかった。そして例の如く土地神様の長話を聞いてヘロヘロになって帰ってきた。
「もー、土地神様はお客様きてても気にしないからさー、ごめんねー」
「いいよ、こっちが頼んでるんだし」
「そう?じゃあ土地神様からの予言なんだけど、北西の街で奇怪な事件が起こるから対処した方がいいよってのと………くらいかな」
「案外あるんだな」
「紙いっぱいになっちゃった」
スレンは10個くらい教えてくれたので紙に書き記しておいたが、政治や経済に至るまで様々なことをアドバイスしてくれていた。
「いろいろ分かっちゃうからね!で、1番大事なこと言うからね!王子様たちが今進めようとしてるものだけど、偵察と情報収集を早くして出来るだけはやく行動しなきゃだめ!先手必勝だよ!」
「先手必勝だよっと。王子様たちってことはアラン?それとも第一王子のことかな?」
「んー、分からないけど、これが君たちが気にしてた外交についてだったと思うよ」
「そうなのか。じゃあアランたちが何か計画してるんだな」
「それと、君たちもお手伝いした方がいいらしいよ」
「お手伝い?」
「特に具体的に何とは分からないけど」
「そうなんだ。僕たちにできることあるなら聞いてみなくちゃね」
「そうだな」
「てことで!どんな計画してるの?僕たち何かできる?」
「いや、これは危ないからだめだ。お前たちを巻き込むつもりはない。」
「でも、土地神様は僕たちが手伝った方がいいって言ってたよ!」
「手伝った方がいいというのは手伝わなくても支障はないということだ。」
「ん〜!僕だってアランの力になりたいの!ちょっとでもいいから何かさせてよ」
「……っ…だめだ…」
健気な春のうるうるの目に握られた手、近づく顔にも負けずアランはそう言い放った。
「じゃあ内容を教えてくれよ。そんなに危ないのか?」
「そうだよ!アランは過保護なんだから!」
「いや…内容は…今この場では言えない」
「じゃあセドは?セドも知ってるんでしょ?」
アランと共に入ってきて壁際で何人かの兵と共に立っていたセドに話をふると
「アラン様が何も話せないと言うなら話せない」
「もー!なんでもダメダメって!けち!頑固者!そんなに僕が信用できないの!」
「そういうことじゃない、春」
「セド、ちょっとくらい話してくれてもいいじゃんか。俺だってセドを助けたいんだ!」
「んっ……だめだ。これは俺たちが解決しなくちゃいけないんだ」
春がアランを攻めて俺がセドを攻める、の形になっていたが、セドのガードは固そうだったので標的をアランに絞ることにした。
「フィリップが言ってたけどお前俺たちに何か隠し事してるんだろ?それと関係あるのか?」
「あいつ…!それは…」
「ひどい!あんなやつはアランの秘密知ってるのに僕には教えてくれないの?僕はアランのこと信用してたのに…!」
「アランさいてー」
涙を流しながら言う春に便乗して極め付けに睨んでやった。
「ちが、それはしょうがなくて!ああ、もう分かったから!少しは話すから!そんなこと言わないでくれ」
「アラン…!」
「やったー!言ったからね!」
先程とは打って変わってにこやかに笑う春はこっちに来て小悪魔度がすごく上がった気がする。
肩を落としながら人払いをするアランは王子様感が1ミリもなかった。




