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「パーティーすごかったね〜」
「ほんと!豪華だったな」
「セドに貰ったやつ、いいね」
「うん」
セドにもらったミニチュアは窓際のテーブルに飾った。日が差すと噴水がキラキラ光ってきれいなのだ。
「あ、話をすればってやつだ」
「ん?あ、セド、アラン」
2人はちょうどよかった、と言ってお菓子を持ってきてくれた。
「実はフィリップについて話しときたかったんだ」
「あ、あの怜にまとわりついてたやつ!」
「そうだ。あいつはかなり上級の風魔法が使える。怜はまだ耐えた方だったが、大抵のやつはあいつの言いなりになる」
「え…なにそれ…」
「あいつは風にのせて自分の声を相手の耳に操作して届ける。あいつといる時は風が通る場所だったろう?なんというか音色というか声色を変えて直接耳に届けるから、一種の催眠みたいなものなんだ。」
「もちろんそれだけでは相手の心をどうこうするのは難しいが、あいつは相手の弱みや悩みにつけこんでくる。怜もあの夜まだ悩んでただろう?」
「うん…」
内容を理解してきてすごく怖くなった。たしかに部屋にいるときは窓を閉めようとした俺を止めてたな。それにあのなんでも話せてしまいそうな雰囲気は魔法からきてたのか…
「それに春との喧嘩もあいつが一枚噛ん出るかもしれない。この城の中くらいならあいつは他人の話を聞けるし、他人の声を風にのせて伝えることができる。」
「うそでしょ!?」
「それくらい上級の魔法なんだ。さらに怜が悩むように仕向けて自分に依存させたかったんだと思う。あいつはそうやって何人も自分に依存させ、飽きたら捨てるを繰り返してきたからな。」
背筋が凍るような思いだった。アランに守ってもらって、春に元気づけられて、セドに励まされなかったらどうなってただろう。
「本当はあいつがいるときにこうして話したかったが、何せあいつがこの城にいる間はここの話が聞こえるだろうし、王族の魔法についてバラすのはご法度なんだ。いろんな諍いの火種になったりするからな」
「じゃあそんなこと、僕たちに話して大丈夫だったの?」
「ああ、今回は当事者でもあるし、あいつは執着がすごい奴だからまた怜のところに来るかもしれないしな」
美しい薔薇には棘があるってほんとなんだなと思った今日このごろだった。
「そういえばどうしてアランはフィリップの魔法のこと知ってるんだ?まさか王族同士で共有する訳じゃないだろ?」
「あ、あ〜、まぁイレドとは昔から縁があったからな。幼少期に彼が教えてくれたんだ」
「ふーん」
そういえばアランとセドの魔法は見たことないな。アランは無理かも知れないけどセドなら見せてくれるかも!今度聞いてみよ〜
「そうだ、お前たちにもう一度泉へ行ってもらいたい。」
「いいけど…なにすればいいの?」
「今度は国の方針というか…何か予言があれば聞いてきてほしい。特に外交あたりを」
「了解!」
「やった!久しぶりにスレンに会えるね!」
「そうだな」
るんるんしてる春に対してやきもちを焼いているアランがこそっとスレンと仲良くさせるなよ、と釘をさしてきた。スレンと春の組み合わせかわいいのになぁと思いながら、いつものことなのではいはいと軽く流しておいた。




