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 春は案外すぐ見つかった。部屋にいないから探してみると庭を散歩してた。あまり部屋にいると運動不足で怒られるからな。


「怜…」

「春、ごめん俺ひどいこと言っちゃって…なんかイライラしてて当たっちゃったんだ」

「ううん、怜が謝ることないよ。調子に乗って押し付けちゃってごめん」

「いいよ、俺のために言ってくれたんだろ」

こうまでして強引に言わないと俺が逃げることを知っているのだろう。長年の付き合いって恐ろしい。

「まぁ…それはそうなんだけど」

「じゃあこの話はこれで終わり!せっかくパーティーあるんだから楽しもうよ!」

「…そうだね!」


パーティーといっても今日は一日中みんながみんな挨拶まわりのようなことをするらしい。夜は昨日みたいに食事や芸を楽しむ時間があるみたいだけど。だから俺と春は夜まですっごい暇だし、フィリップやアランは俺の部屋とかに来てて大丈夫なのか?って思ってた。


「にしても騒がしいな」

「そうだね、さっきから衛兵の人たちがバタバタしてる」

こういう大物が集まるパーティーにはトラブルが付き物なんだろうな〜

「ひっ」

「え、なんだ!?」

他人事と思ってのんびり見てると春が急に小さく悲鳴を上げた。

「あ、あそこ、なんかいる!」

「え?どこ?」

「ほら、そこ!」

たしかにがさごそ動く茂みがある。虫か…動物か…

「「うわっむぐぐぐ」」

春と共に悲鳴をあげそうになったところを目の前の人物に口を塞がれた。

「しーっ!虫が逃げちゃうだろ!」

「す、すみません」

これまた顔が整っている御仁だが、いかんせん茂みでごそごそやっていたせいか顔も服も土まみれだ。

「うひひひ、ようやく捕まえたぞ!」

気味の悪い笑い声を出しながら目当てらしい虫を捕まえてご満悦のようだ。その姿は、大の大人なのに子供のように純真で愛らしささえ感じられるが…怪しい!怪しすぎる!

俺たちの存在は意にも介さずまた熱心に草花をかき分けてどんどん遠くへ行ってしまう男に対し、春と目を合わせてどうするのか悩んでいたところセドが通りかかった。

「怜、春。散歩か?」

「そうだよ。セドは…忙しそうだね?」

「ああ。本来なら挨拶する場に立って警護してるだけで良いはずなんだか、第一王子のアーノルド様が逃げ出してしまってな」

「に、逃げだしたの?」

「それってやばいんじゃ…」

「そうなんだ。あの方はこういった公務には一切関心を向けずになにやら草や虫を使って実験や研究をする方に力を注いでおられてな。よくいなくなってしまうんだ」

「え、それって!」

「さっきの?」

「見かけたのか!?」

「見かけたって言うかさっきまでそこにいたんだ!」

「ほんとか!ありがとう、助かった」

「いえ、頑張ってね!」

セドは近くにいた何人かの衛兵と共に庭を捜索し、アーノルド王子は引きずられるようにして連れて行かれた。

「王子様も色んな人がいるんだね…」

「うん、これはアランの公務が忙しい訳だなぁ」


次に王子を見たのはその夜のことで、昼間の人と同一人物とは思えないほどキラキラ輝いた王子様をしていて、多くの女性から声をかけられていた。


「踊っていただけますか?」

春は薄いベールでは隠しきれない可愛いオーラで色んな人からダンスを誘われていたから、気の良さそうな人を見て、行ってこい、と背中を押してきた。アランの反応が見ものである。

なんと物好きにも俺に声をかけてくれる人もいたがダンスはできないので丁重にお断りした。が、じゃあ一杯だけでもと言われて断れず、しばらく飲まないぞ!と決めていたお酒を早々に解禁してしまった。しばらく付き合い、まだ理性のあるうちにと思って酔いを覚ますからとその場を離れてテラスへ向かった。


「ふーっ」

夜風が気持ちいいが、ちょっとだけと思って飲んだお酒が結構きてるようだ。お酒が回ってるのを感じる。


足音がして誰かが近づいてくるのが分かった。振り返ると…王子様がいた。あ、ごめん王子様じゃなくてセドね、セドがいた。いやだってセドがパーティー用の正装してるからさぁ〜


でもこちらに歩いてくる様子は本当に王子様みたいだったんだ。

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