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 祭壇がある場所は教会みたいなつくりになっていて、たくさんの椅子を通り過ぎた後に花や食べ物がお供えされたテーブルがあった。


「1人ずつ祭壇に手を合わせてね」

「じゃあ僕やってもいい?」

「うん、いいよ」

春が一歩前に出、手を合わせると、お茶してた時にスレンが出ていく前にあったときのように、何処からか部屋に風が舞い込んできた。それはくるくると遊ぶように春の周りを回り、ふわっと春を浮かせていた。その姿は陽の光や祭壇の様子と相まってまるで天使のような神聖さだった。


『清き心を持つ優しき子よ。人々の悲しみを和らげ、憎しみを拭い、彼らが心豊かに過ごせるように努めなさい』


心地よく響くその音はまるで魔法にかけられたかのようにすぅっと頭の中に入ってきた。瞬間に風は去り、春が地に戻ってきた。


「春、春、大丈夫か?」

「あ、うん」

風が去ってからもぼーっと立ったままその場を動かない春の様子が不安になって声をかけたが、まだぼうっとしているようだ。

「なんか変な感じするか?大丈夫?」

「うん、なんともないよ。なんかあったかくて、ほわほわ〜っとしてすごく幸せだった…」

「そっか、よかった。スレン、春大丈夫だよな?」

「うん、土地神様のお力を感じたからこんな感じになってるだけ。すぐ戻るよ」

「じゃあ次俺行くな」


一歩前に足を踏み出し、春と同じように手を合わせてから、目を瞑った。するとたしかに高揚感を感じ、なんだかふわふわする、お日様を浴びているようなあたたかい気持ちになった。


『誠実な心を持つ賢き子よ。人々を統べ、あなたが道を開き、彼らが正しい道へ進めるよう導きなさい』


なんて心地よい響きなんだろう。心の傷も全て癒し、汚れも全て洗い流すような癒しの音であった。そんな多幸感に浸っていた。


「れい、れーい!」

「あ、はる…」

「終わったみたいだよ」

「…だな。」

「2人とも無事終わったみたいだね!よかった!そろそろ暗くなってくる頃だから帰った方がいいと思うよ」

「あれ、そういえば結構長くいる気がするけど外明るいね」

「ああ、ここはいつもこうだから。外にいる人たちは心配してると思うよ」

「それは大変!帰らなきゃね、怜」

「そうだな、ありがとうスレン。また来るな」

春とスレンが話してる間にふわふわした高揚感は落ち着いてきた。結構長く居てしまったからアランとか今ごろやきもきしながら待ってるだろうな…

「ありがとうスレン!またね!」

「絶対だからねー!バイバイ!」

そう言ってスレンと別れた後、また森を歩いて…いつのまにか外に出ていた。


「春!無事でよかった!何回迎えに行こうとしたことか!」

「アランは心配しすぎだよ〜!」

外に出ると案の定馬車の中で待っていたアランが駆けつけてきてその存在を確かめるかのように春をぎゅうぎゅう抱きしめていた。

「アラン様を馬車の中に引きとめておくのは大変でした…」

俺の隣に来たルカがぼそっとそう呟いた。俺に愚痴るなんて相当アランは困らせたに違いない…


「おつかれ」

この先も被害を被るであろう宰相様にはそれしか言えなかった。

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