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 遥か長く続くと思われた泉への道は、急に開けて目の前に大きな神殿が現れた。まさに荘厳なザ・神殿って感じで、入り口までは泉のなかに飛び石が敷かれていた。


「こんにちは」

「ひっっ!」

「び、びっくりした!君は誰?」

急に背後から声がして後ろを振り向くと7,8歳くらいの男の子が立っていた。

「僕に誰か聞くより君たちが誰か聞きたいよ!僕はこの森にもう何万年と住んでるんだよ〜!」

「な、何万年?」

どう見ても子供なのに…

「そう、もういつからいるか忘れちゃったよ…で、君たちは?」

「あ、俺は怜でこっちが」

「春だよ!僕たち異世界から来たんだ!」

さっきまで暗かった春が生き生きしてきたのは気のせいではないだろう。真っ白な髪に透き通るような瞳、儚そうにみえてコロコロと変わる表情が可愛らしいこの子を春は気に入ったらしい。春ウサギとかリスとかのかわいいもの好きだからな…


「異世界か〜!そういえば前にもおにーさんが来たことあったなぁ…!僕はスレンだよ!神殿の中入ってよ!お茶でもどう?」

「ありがとう!行く行く!」

神殿の中はそれっぽく像が置かれていたり、綺麗な花がいけてあったりした。


 スレンは丸テーブルにアフタヌーンティーのようなものを用意してくれた。ハーブティーのようなあったかい飲み物はスレンのお手製らしい。

「スレンは何者なの?」

「んー、土地神様の伝令役?みたいな?」

「土地神様って?」

「このあたりの国を見守ってくれてる神様!でも人間が神様にわるーいことしちゃったからこうして伝令役の僕も隠れてるの」

「悪いことってどんな?」

「例えば森を伐採したり、争い事をして動物たちを巻き込んだりとか、いろいろだよ」

悲しそうに言うスレンの儚げな様子は、こう、なんというか、庇護欲を掻き立てられる何かがある。


「そっか…」

やっぱりこっちの世界でもそういったことはあるんだな…

「でも異世界からきたお兄さんとか、僕や怜は入ってもいいんだね。異世界人だから?」

「うーん、僕はよく知らない。全部土地神様が決めてるから。僕は土地神様の言葉を君たちに伝えるだけ」

「そうなのか〜。で、土地神様は僕たちのことなんか言ってた?」

「聞いてないかな〜。僕もしばらく土地神様のお声聞いてないし」

「ずっと聞こえるわけじゃないんだね」

「そりゃそうだよ〜、最近可愛い子見つけたって言ってたから遊んでるんじゃないかな〜」

「え」

土地神様ってそういう感じ?いや、まあ、神様もそんな時あるよね!

「けっこうゆるい感じの神様なんだね」

「仕事してる時はしてるんだけどねー。前のおにーさんにはけっこうアドバイスしてあげたし。でもそれ以外がなー」

アドバイスやっぱりしてたんだ!でもこの子が何も知らないんじゃ異世界人やその能力については神様に聞くしかないのか…神様に伝言とか頼めるのかな…?

「ねぇ、スレン、神様に伝言って…」

そう言いかけたとき部屋にぶわっと風が舞い込んできた。

「ぴぇ!まずい!ちょっと行ってくるね!ゆっくりしてて!」

「え!?スレン!」

途端スレンは駆け出してどこかへ行ってしまって、呼びかけた声は無意味に響いていった。

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