世の中知らないことだらけだけど、誰かと一緒なら何とかなる。
「うわああぁぁっ」
「随分と元気のいい目覚めね」
どうやら過去の英雄たちの記憶を体験している途中に気を失ってしまっていたらしい。しかし、気を失う前は俺の部屋にいたはずだ。なのに今、俺は青空の下にいる。これはあれか気を失っている間に異世界に連れてこられたというやつか。もうさっきの走馬灯を見たからこんなことでは驚かんぞ。
「気づいてると思うがここはもう君がいた世界とは別の世界よ。」
「本当に異世界に来ちまったんだなぁ、、、」
空は晴天だし、あたり一面草原だし、空気はおいしいし、空にはワイバーンもいるし、ほんとアニメの世界みたいだなぁ。めっちゃリアルだけど。ってワイバーン?!?!
「おいっ!魔女!あのワイバーンどうすんだ!絶対俺たち狙ってるだろ!!!」
「落ち着きなさい、さっき過去の英雄たちの戦いぶりを体験して会得しただろう。それでちゃちゃっと倒して頂戴。魔法技や格闘技を使う英雄もいたでしょ?」
「無茶いうなよ!記憶を垣間見ただけで戦えるわけないだろ!!」
口論している間にも、ワイバーンはこちらに向かって急降下してくる。これ、死んだな。お母さんごめんね。
「君、そんなにすぐに命をあきらめるんじゃない。ほら、パンチしてみなさい。」
「無理だって!人を殴ったことすらないんだぞ!」
「ごちゃごちゃ言ってないで!。ほら、パンチパンチ。」
「くそっ!」
思い出せ。大樹。さっき死ぬほどの激痛で垣間見た走馬灯のパンチを使う英雄の動きを真似するんだ。大樹はできる子。あの母ちゃんが生んでくれた大樹なんだから。
「てぇりゃぁぁあっ!!」
ズゴオォォンッ!!
『ギィヤアアアアァァァァッ』
こぶしから腕に鈍い感触が伝わる。何かを全力で殴るってこんな感覚なんだな。結構痛い。
「君!やるじゃない!一撃で撃破よ!ワンパン●ンじゃないっ!」
「何とかなったな。てかワンパン●ンはやめろ!いろんな方面から苦情が来る!」
「苦情なんて気にしてたら今の世の中生きていけないわよ!やったもの勝ちのような世界なんだから。」
この魔女、2話目にしてこの作品を打ち切りにするつもりかっ。
「はぁ~...それで魔女さん。これからどうするんだ?」
「ん~そうねぇ....」
そういうと魔女はカバンから双眼鏡のようなものを取り出し辺りを見渡した。
「取りあえずふもとの村まで行きましょうか。このワイバーンを持っていけば少しはこの世界のお金も手に入るわよね。何事もお金は大事だから。」
本当にその通りだと思う。お金がないとまともに生活をすることすらできないのだから。
「あと、私のことは夕でいいわよ。これから一緒に旅をするわけだし。私もあなたのことは大樹って呼ぶわ。」
「えっ。」
いくら難ありな魔女とはいえ、こんな美女にファーストネームで呼ばれるなんて照れるな。
「お、おう。わかった。取りあえず死なないように頑張るからこれからよろしくな。」
「えぇ、こちらこそよろしく。」
「で、このワイバーンどうやって運ぶんだ?」
「大樹が一人で引っ張っていくにきまってるじゃない。」
「ですよね....」
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ズザザザザッ、ズザザザザッ
「あの~、夕さん。このワイバーンだいぶ重いんですけど。」
「頑張ってね。新たな英雄さん。」
「少しくらい手伝っては.....」
「あげないわ。」
「ですよね......」
そうこうしているうちにふもとの村に到着した。
「おい、あれ!」「ワイバーンじゃないか!二人で討伐したのか?」「ハンターなのかしら?」
この世界に来て早々ワイバーンを見たからこっちの人は見なれてるもんだと思ったら意外と引かれてしまっている。こうあからさまに怖がられると傷つくもんだな。
「ってあれ?夕は?」
村についた途端いつの間にかそばにいた夕が消えていた。
「ほ、本当に二人でワイバーンを討伐されたのですか?!」
「えぇ、そうよ。討伐依頼書が出ていると伺がったものだから。」
横にいるおじいさん誰?そして討伐依頼書なんて俺聞いてないよ??
「確かに討伐以来はわが村で出しておりました。あの草原には村の特産品である野イチゴがたくさん生息しておりましたが、ワイバーンが住み着いてしまい収穫ができない状況でしたので助かりました。満足していただける金額かわかりませんが報酬をお支払いします。村の寄合所まで来ていただけますか?」
「は、はぁ」
なんだかよくわからないけどお金がもらえる話になってるぞ。さすがいろんな世界を救おうとしてる魔女だ。
「感謝してね。私が文字読めたから報酬がもらえるんだからね。」
「あぁ、俺は多分読めなかっただろうから助かるよ。」
寄合所に入ると受付の女性から書類のようなものを渡された。なんて書いてあるか全くわからないぞ。こんな文字夕は読めるのか。
「こちらが討伐金受け取りの書類になります。こちらにお二方のサインを記入していただけますか?」
「サ、サインですか.....」
この世界の文字が読めないのにサインをかけだなんて、日本語でもいいのかな?
旅のもので通るだろうか?
「彼、戦えても頭があれなので私が二人分の名前を記入してもいいですか?」
「結構ですよ。」
誰が頭があれな男だ。確かにこの世界では読み書きできないけどさ。元の世界ではちゃんと読み書きできてたし。
「はい。これでいいかしら?」
「ありがとうございます。ええと、ユウ様にダメオ様ですね。確かにサインいただきました。」
「誰がダメ男じゃっ!!!俺はダイキだっ!!!」
「あらごめんなさい。書き間違えちゃった。」
こいつ絶対わざとだ。わざとダメ男って書きやがった。まぁダメな人間なのはひていしないけどさ。
「ダイキ様でよろしいですか?」
「はい。ダイキでお願いします。」
「かしこまりました。では報酬金をお持ちしますのでおかけになってお待ちください。」
しかし本当にゲームやアニメみたいだな。周りの人たちみんな中世ヨーロッパ風の服装だし。町もレンガ造りの建物ばっかだったしなぁ。ほんとに異世界なんだよなぁ。そのうち慣れていくんだろうか。この世界に。
「お待たせしました。こちらが報酬金になります。」
そういって渡された袋の中には金貨が10枚ほどはいていた。
「こんなにいただいていいのかしら?失礼かもしれませんがそこまで裕福な村にも見えないけれど。」
「ワイバーンは上級ハンターのパーティーなどでなければ倒すことは難しいモンスターですから。金貨10枚でも安いほうなんです。これだけしかお渡しすることができなくて申し訳ありません。」
「そんな、かなりの大金よ。私たちもお金に困っていたから助かるわ。」
「なぁ夕。金貨10枚ってどれくらいすごいんだ?」
「そうねぇ、この村で金貨10枚持ってたら3年は生きていける金額よ。」
「だいぶすごいな。それ。」
ワイバーンってそんなに強いモンスターだったのか。ワンパンで倒しちゃったけど。
「お金も手に入ったことだし。取りあえず寝るところを探しましょ」
「そうだな。すみません。この辺ですぐに泊まれそうな宿ってないですか?」
「それでしたら、ここを出て左にますぐ行ったところにある<とまりぎ>って宿がいいですよ。ご飯もおいしいしお部屋もきれいでカップルにはおすすめですっ。」
いや、俺たちカップルじゃないんだけどな。でも今までこんな勘違いされたことないからなんかむず痒いな。
「そ、そそ、そうですか♪ありがとうございますっ。」
「あら、ニヤついちゃって。カップルと間違えられたのがそんなにうれしいの?可愛いじゃない。」
「ち、ちげぇしっ。ほら、行くぞ」
こうして二人は受付のお姉さんに勧められた宿<とまりぎ>に向かった。
人生あきらめてるの?それなら私と旅をしないか?2話目をお読みいただきありがとうございます。
黒雲ココナッツです。
最近暑かったり寒かったりよくわからん気候ですね。皆さんは体調管理大丈夫ですか?ココナッツは絶賛風邪をひいておりのどがガラガラです。天竜源一郎さんみたいな声ですよ。
皆さんも体調管理はしっかりしてくださいね。うがい手洗いなめてちゃだめですっ
毎日欠かさずしてくださいね♪
以上黒雲ココナッツでした。
次回3話目も頑張って執筆しますので是非お読みくださいね。 ではでは♪