こうして人類は進化する プロット
異世界モノになるんだろうか?微妙。
プロット
突如、東京から千人が消えた。外にいた者、家にいた者、通勤中だった者、朝食をとっていた者、場所や状態は関係なく人々は消えた。男女の区別もないが、年齢は15~30歳程に限られていた。
消えた人々は消滅したのではなく別の世界へ飛ばされていた。服装はそのままだが、荷物は無い。
千人は気付くと大きな広場にいた。ゲームのような中世風な建物が立ち並ぶそこであたふたとしていると全員の脳に直接声が送り込まれた。
『お前たちをここへ拉致したのは私だ。訳あって姿は現せない。
お前たちにはここで強くなってもらう。地球に降りかかる災難のために。この世界ではお前たちに限界はない。どこまでも強くなれる。この拠点を出れば魔物が蔓延るフィールドだ。魔物を倒して強くなれ。そして、この世界の魔王を倒せ。
何人死のうが魔王を倒せば全員元の世界へと還してやろう。だが、全員死ねば、元の世界には戻れない。
話は以上だ。健闘を祈る』
それだけだった。以降声が聞こえることはなく、放置された。
怒り狂う人、泣き喚く人、これは夢か何かだと受け入れらない人、ゲームのようだと興奮する人などさまざまな人が多種多様に騒ぐ。
広場は最初の拠点の一部。拠点には武器屋、宿屋、飯屋など多種の施設があり、それらを利用するには金銭が必要なのだが現実世界での貨幣は使用できない。あらかじめこの世界の通貨はなぜか持っていたが(恐らくあの声の主によるもの)、微々たるものですぐに尽きることは予想できた。ならどこから調達するか。それは魔物だった。魔物を倒すと倒した人間に金が入るのだ。つまり生きていくためには戦わなければならない。戦うことを強要されているのだ。
武器屋には武器、防具、回復アイテムが売られていた。購入したアイテムは光の粒になって消滅した。最初は皆戸惑ったが、軽く念じただけでアイテムが手元に出現することが判明し、その利便性に誰もが感嘆した。同じ要領で収納も可能である。また、金銭も同じく出し入れできる。
宿屋に泊まるとどんなに重症であっても怪我はもちろん疲労までも回復する。しかし、7時間は動けない。部屋は全て個室で誰かが入っている間は利用客の許可無く第三者が立ち入ることはできない。壁や扉をどれだけ痛め付けようが侵入は不可能である。
飯屋は現実世界と大きく変わるところは無い。強いて言うなら量が多めなことくらいだ。
拠点を出ると草原が広がっていた。辺り一面、見渡す限りの草原。ここがフィールドなのだろうとだれもが予想できた。そこに生息するのは見たこともない生物たち。ぶよぶよとしたもの、コウモリに扮したもの、岩の化け物、多種多様な魔物が散開している。彼奴らは拠点に入ることはない。しかし、フィールドにいる間は視界に入ると容赦なく襲いかかってくる。
魔物を倒す度に人々は強くなっていった。この世界での成長は人間の範疇を越える。身体能力も漫画やゲームのように異常。異常な身体能力ゆえに消費するエネルギーが増え、食べる量も増えた。飯屋で出される量が多いのはそのためだった。
さらにより強い魔物を倒すとさらに強くなっていった。弱いものから徐々に強いものへ。慎重に余裕で倒せる相手だけを狩る、無茶をするものは少なかった。
無論、少数だが無謀にもいきなり強敵に立ち向かうものもいた。彼らは無惨にも敗北し、死んだ。その行為は、嘘のような世界でありながら死ぬという現実を人々に知らしめた。生き返るかもしれないということは、死んでもいいということにはならない。そんなことで生存本能は変わらない。死にたくない。その思いを人々はより強くした。
そのせいか、停滞するものたちが現れた。生き延びられればそれでいい、と拠点の近くで弱い魔物を狩って、生活できるだけの金銭を稼いであとは拠点に籠るのだ。誰かがやってくれる、自分がやらなくたっていい、そういった甘えを持っているのだ。
それを見て一人、また一人と籠る数は増えていった。甘い砂糖に群がる蟻のように。
そんな中でも戦い続ける者たちはいた。還るためにという者もいれば、ゲーム感覚で戦う者もいた。そんな彼らを、魔王討伐に進む者、某RPGにちなんで「勇者」と呼ぶようになった。
勇者たちは魔法が使えるようになった。炎とか雷とか回復とか。それぞれ消費する魔力量で威力が変化。魔力はスタミナ的なもの。武器とか道具も魔法で収納、取り出しする。魔物を倒すほど強くなる。魔法は誰に教わったわけでもなく突然使えるようになる。まるで生まれた時から使えたかのように自然に。腕や足を動かすように。
半年で半分の五百人が消えた。
この世界での死は特別だ。致命傷を負い息絶えると体がスゥーっと透明になっていき、消える。消えた体はあの広場の声の主のもとで管理されているのだろうか。それは誰にもわからない。
魔王は最終フィールドの奥にある山の頂上にいる。そこは不思議な場所で一人ずつしか入れない。英雄を夢見た人、悪く言えば周りにちやほやされたい人間が数多く挑み、この世界から消えた。それ以外の人間は序盤の拠点を中心に危険を犯さず細々と暮らしているか、最終拠点を目指して進んでいるか、魔王討伐に向けて最終拠点で力を蓄えているかだ。
主人公は最終拠点にいる。現在一番強いのではないかといわれるほどの実力。見かけた人々を助けまくり、割りと人気。「目の前で死なれるのは困る」とのこと。何か事情があることは結構バレてる。そんな主人公を気に入っている兄貴分的な人がいて、なにかと気にかけている。
魔王になかなか挑まず、「きっとまだ足りない。俺ぐらい強い奴はいたけど今はもう消えてしまった」と言い鍛え続けている。臆病者だ、本当は大したことない、と言って彼に挑んだ者は返り討ちにあう。
ヒロインは芸能人。多分モデル。街でスカウトされた。人気が出てきたところでこの騒ぎ。序盤のフィールドで主人公に助けられてから頑張って最終拠点まで来る。主人公に何かあると知り、聞き出そうとする。助けられたから助けなきゃ的な。母子家庭。スカウトされた時は母親に楽させてあげられると喜んだ。父親は既に他界。警察官だった。
主人公は子供の頃強盗の人質になったことがある。その時抵抗して逃げるが犯人が発砲。一人の警察官が主人公を庇って死ぬ。それがヒロインの父親。そしてヒロインの母親に「お前のせいだ」と責められる。そしてその数週間後、今度は彼の父親が信号無視の車から彼を庇って死んだ。目の前で二度も人が死んだ。学校では疫病神と呼ばれ、いじめられるようになった。逃げるように主人公とその母と妹は祖父母の家へ移った。そこでの暮らしは何事もなく平和だった。
追記
父親に、妹を守れ、母さんを守れ、人を守れ、と死際に言われた。
このまま平和が続くと思いきやこの世界に連れてこられる。最初のフィールドにて目の前で人が魔物に殺される。死に際の言葉は「必ず俺を生き返らせてくれ」。目の前でまた人が死んだ。もう見たくないってことで殺されそうな人を見かけたら片端から助けまくる。
ヒロインが「自分のことを話すからその代わりにあなたの話を聞かせて」と半ば強引に話を聞こうとする。で父親の話のところで主人公は察する。
「お前にだけは絶対に話せない」と言って結局ヒロインには話さなかった。
主人公の昔の同級生が登場。おい、疫病神!とかいってペラペラ全部しゃべる。主人公はヒロインを避けまくる。ヒロインは主人公を取っ捕まえて、許す。そもそも主人公に対しての怒りとか恨みとかない。逆に母親を許して欲しいと主人公に言う。主人公は泣きじゃくりながら「ありがとう」。父親の代わりに君を守るとか言っちゃう。
昔の同級生はその光景を見ていて気に入らねぇなとかぼやく。
人を殺す集団がいる。「どうせ生き返るからいいだろ」「俺たちが生き返らせてやるからよ」が謳い文句。人を殺しても強くなるらしく、結構強い集団。武器とか奪う。この世界をゲームのように楽しんでいる。
さらにこの集団は魔王戦のステージの前で待ち伏せして魔王に挑戦する猛者たちを狩っていた。今までの挑戦者の大半は魔王ではなくこの集団にやられていた。
待ち伏せしていることがバレた人殺し集団はもう獲物は来ないと読んで、最終拠点に襲いかかる。自分たちが逃げたら他の拠点のやつらにも被害が及ぶからと抵抗する拠点の人々。モンスター用の拘束具(ロープとか網)でどんどん捕まえていく。もしくは檻とかにぶちこむ。が、そう簡単にはいかず、何人か死ぬ。それでも拠点の人間の方が強く、優勢。敵が引いていき、油断していると潜んでいた敵の一人、というか昔の同級生がヒロインを銃で射つ。そんですぐさま逃げる。なんか捨て台詞とか吐きそう。主人公は魔法で治そうとするが手遅れ。既にヒロインの体は薄くなり始めていた。「私たちを生き返らせてね。そしてまた・・・」
会おうね、まで言えなかった。私『たち』と言ったのは彼女が優しいから。主人公の目の前でまた人が死んだ。
主人公は怒りに身を任せ敵のアジトを壊滅。皆殺し。仕返しとばかりに「安心しろ、俺がお前らを生き返らせてやるよ」と言い放つ。駆けつけた人たち(味方)に「なぜ殺した!?」とか言われる。「誰かがこうするしかなかった。捕まえようとすれば隙が生まれて必ず少なくない犠牲が出る。それに魔王までたどり着けない」と返答し、去ろうとする。てめぇこのやろうみたいなことを拠点の人間に言われるが、それを遮るように主人公は殺した感触、罪悪感に耐えきれなくなり吐く。よろよろと数歩歩いて倒れる。主人公を慕う兄貴分が許してやれ、とか言って主人公を拠点まで運んでくれる。
追記
被害を広げないため、こうするのが最善だった。そんな言い訳で憎しみと怒りを正当化しようとした。
目が覚めた主人公は魔王討伐を決意。彼女を自分の手で生き返らせなきゃいけない。それと殺した人たちに対するせめてもの償い。
魔王は人型。角が二本。翼あり。悪魔っぽい。速く強い。フィールドの最奥にあるなんかワープゲートみたいなやつを潜ると開けた荒野に移動する。主人公は防戦一方。だがある程度時間がたつと魔王は中央に移動し動かなくなった。様子を窺っているとなにやら黒紫のオーラを帯び始めた。今度は空高く舞い上がり、そのオーラを撃ち放った。避けられないほどの広範囲攻撃。マジチート。死ぬ寸前まで追い込まれる。通常攻撃を凌ぐとまたもやチャージタイムに入った。とりあえず魔法で回復して滅多切りにする。魔法で攻撃しないのは回復のための温存。そしてまたチート。今度は盾で防御してみる。さっきより結構マシになったが盾が数回しか持ちそうにない。盾はいくつも持ってるが、どこまで行けるかわからない。そこから凌ぐ、回復、攻撃、防御の繰り返し。
チャージタイムが段々と短くなっていく。かなり消耗した主人公は一か八かでチャージタイムが終わる瞬間に全力の魔法を浴びせた。が、死なない。が、諦めない。空高く舞い上がる魔王に武器を片っ端から投げてゆく。魔王に次々と刺さっていくがまだ死なない。主人公が最後に取り出したのはヒロインの槍だった。その槍で魔王に止めを指した。
千人は救われた。
主人公は真っ暗な空間に飛ばされていた。そこで最初の声の主と出会う。名前はアフラ・マズダ。善の神。ゾロアスター教。対となる悪の神アーリマンが本来神々の間で禁止されているはずの人間界への大きな干渉を行おうとしていた。わずかな干渉は許されている。魔が差すのはだいたいアーリマンのせい。事前に察知して他の神々と協力して押さえつけたが、自らの分身を放ち、人間界に呪いをかけた。まず、隕石と共に分身が地球を襲う。そしてその分身を倒すと魔物が涌き出てくるようになる。アフラ・マズダが用意した魔物はそれを仮想したもの。魔物に対する恐怖を和らげるためというのが魔物を倒すと強くなる世界にした理由。ざっくり言えば慣れさせるため。実際に出てくるのも似た奴が出てくると思っていい。魔物の世界なのでこの世界を魔界と呼ぶ。
人を殺しても強くなるのはなぜかと主人公は問う。それがなければヒロインが死ぬこともなかったから。理由はただの設計ミス。バグ的なもの。だがそれでも問題ないとアフラ・マズダは判断していた。人を殺すなんて悪逆非道な行いはアーリマンが人間を唆したからこそ起こるもの、というのがアフラの見解だった。しかし人は思ってたよりも欲深い生き物だったと失望される。そして今度はそれを逆手にとることにした。人を殺したことのある人間からもとの世界に戻る際にここで備わった力を剥奪する。主人公も剥奪されるかと思いきや人を殺したことのある人間を殺した場合はセーフ。善悪の判断が難しいから。ちなみに魔王は悪の心を持つものには倒せないようになっている。チャージタイムが最初から無しとかいうムリゲーにしてあるとか。
説明が終わり、いよいよ帰ることに。その際アフラから力を貰う。分身を倒す際に使えとのこと。主人公の体が光り始め、意識が薄れていく。
「地球を頼んだぞ」
気が付くと家の前。服装は登校時の制服だった。だが、魔界同様瞬時に装備の着せ替えが可能だった。
既に日が傾いている。もう母や妹は家についてる頃だろうか。
インターホンを鳴らすと、はーい、と明るく高い声が聞こえた。妹だ。
「はい、どちら様で・・・・」
「ただいま」
感動の再会。妹が主人公を抱き締め、親も出てきて抱きつく。
テレビから巨大隕石襲来のニュースが流れる。突如出現したとかなんとか。東京駅辺りに落ちるらしい。
主人公は家族から離れて
「ちょっと世界救ってくる」
一瞬で着替えて東京駅へ向かう。
逃げる人たちには目もくれず駅の上に上る。
隕石とそれに乗るアーリマンの分身を視界にとらえる。アフラ・マズダからもらった力を発動させるため魔力を高める。分身は邪魔をするように攻撃を放つ。そこで仲間たち登場。時間稼ぎをかってでる。
仲間が防ぎきれなかった一発が主人公目掛けて飛ぶ。
仲間「しまった!」
それを防ぐのがヒロイン。思わず主人公はヒロインに意識が行ってしまうが
ヒロイン「集中して!」
の一言で魔力を高める。
魔力が高まりきると主人公は桜色のオーラを身に纏う。
「神殺し《キル・アーリマン》」
桜色のエネルギーの塊が主人公の手の平から打ち出される。隕石と分身は跡形もなく消し去った。
出しきってヘロヘロになった主人公をヒロインが支える。
「ありがとう」
隕石から守ってくれて、私たちを生き返らせてくれて。いろんな意味のありがとう。
「守れなくてごめん」
父親の代わりに守るって約束したのに死なせてしまった。そのことを悔いていた。
「また会えてうれしいよ」
気にしないで。という意味を込めてそう言い、キスをした。しちゃった。多くの目撃者。後に問題に発展するかも。ヒロインのファンが荒れるとか。
これ以降、魔物が都内に定期的に現れるようになる。また、帰還者が魔法とか使って好き勝手やるのを主人公はそれを阻止するために奔走。帰還者は危険だ、監視すべきという世論が飛び交ったりする。
主人公は自分を雇うように政府に打診。その他の帰還者の何人かも政府に雇われる。もちろんヒロインも。条件として監視の許可とか。
そんなとき主人公が人を殺したことが世間にバレてしまい、世論が更に傾く。主人公の家に大勢が押し寄せ、誹謗中傷、中には石を家に投げる人まで。そこに外で魔物と戦っていた主人公が帰ってくる。主人公を見て人々は「ぶっ殺せ!」などと息巻く。
その時、主人公は殺気を放つ。
あまりの迫力に人々は行動を停止し、汗をかき、膝を震わせる。
主人公はその憎しみと怒りを抑えて抑えて抑えて、土下座して人々に頼んだ。
「頼む、もうやめてくれ」
その姿に人々は呆然としながら、恐れを抱きながら去っていった。とりあえず落着。
その後は捨て身で人々救いながら多少は信頼されていく。でも化け物扱いはされ続ける。
帰還者が皆死んだ後、誰が魔物と戦うのだろうか。
魔界で妊娠した女性がいた。夫はあの兄貴分。現実世界に戻ってから産まれたその子どもは生まれながらに魔法が使えた。炎を出した(別に何でもいいけど能力は一つだけ)。ひょっとして遺伝子レベルで自分たちは強くなったではないか。自分たちが死んだ後でも子孫がこの世界を守っていくのではないか。(若い人だけが拉致されたのは子孫を残しやすい年齢だから)
(魔界で人殺し集団に殺されるのがヒロインではなくこの夫婦という案もあり。おなかの中の子供は生き返れるのか、という不安。妻を人質に取られ「お前が死ねば女は見逃してやる」と提案され承諾し、殺される。相手がそれを守るはずなく妻も殺される。それで主人公が同じくぶち切れて壊滅させる。ヒロインはそれを慰める役目。あ、なんかこっちの方がいい気がしてきた)
(後に人々は何らかの特異体質を持つのが当たり前になる。「ヒーロー」なんて職業が出てきたり。後のワンパ◯マンとかヒロ◯カである。嘘である。でも実は、これらの作品っていきなり超人っていうか超能力者が現れてて、どうして生まれたのかわかってないよなーってとこから想像が始まってるから、嘘とは言い切れないかもしれない)
やがて人類の大半が強靱な肉体と特殊能力を持つようになる。
こうして人類は進化した。
余談
主人公とヒロインのくっつき方
主人公とその妹が一緒に出掛けているところをヒロインが目撃。ヒロインが勘違いしてその場を逃走。妹に言われて主人公が追いかける。
「おい、なんで逃げるんだ」
「ごめん。なんでもないの。ちょっと心の整理がつかなくて…。さっきの女の子はどうしたの?彼女さんなんでしょ?」
「は?」
「隠さなくたっていいよ。お互い好き合ってるって感じがしたもん」
「俺が好きなのはお前なんだけど」
「……え?」
みたいな。ちゃっかり妹紹介してその流れで母親にも会わせたりとかね。