じゃじゃ馬と僕
僕、三神 直生(22歳)がバイトから帰ると、僕の一人暮らしの家に電気が点いていた。おかしい...絶対におかしい。だって僕は、確かに電気を消してバイトに行った。てか、電気代がもったいないので電気を点けなかった。なのに、何故?電気が点いているんだ?最初は空き巣に入られたかと思ったが、まさか電気を付けて、堂々と他人の家に盗みに入る間抜けな泥棒は居ないだろう。(多分)じゃあ何故?僕の家の電気は点いている?答えは考えても出てこない。「よしっ」僕は意を決して、自分の家に入ることにした。普通自分の家に入るのに、こんな勇気は要らないだろう。でも今だけは違った。もしも、もしもだが中に人が、てか泥棒が居た時の為に、ドアノブをゆっくりと回す。...これ傍から見たら僕が泥棒じゃないか?という無駄な考えを、頭を振って意識の外へやる。例え傍から見て泥棒っぽくても、実際は違うんだそれに、中にいる凶悪な犯罪者に勘づかれるよりマシだ。いや、まぁ、中に凶悪な犯罪者はきっと居ないだろうが...てか頼む居ないでくれ。そう願いながら家の中に入っていく。そういえば、アニメの見過ぎで「家に犯罪者がいる」なんて、考えになったが、もしかしたら実家の母が家に来たのかもしれない!しかし、そんな甘い考えは直ぐに打ち消された。玄関に母の靴はない。どれも、僕の靴ばかりだ。じゃあやっぱり、犯罪者が...いや、まさか、そんなわけ...思考が一気に停止した。そもそも、今までよく停止して居なかったものだ。普通自分の家に知らない人が居ると思った時に、冷静な考えなんて浮かばないだろう。しかし、もう家の中には入ってしまったのだ。今から出ようにも、先ほどのように無音で出て行けるとは限らない。「もうどうにでもなれ!」っというのを思うが先か、リビングに突っ走って居た。そしてそこには...「は?」思わず漏れたその声、そこには超絶可愛い女性がいた。それは、隠れオタクの僕のコレクションして居たフィギュアの、一番の推しキャラ、要するに嫁キャラそっくりの女性だった。薄い桃色の髪の毛、ライトトーンの緑の瞳、一様戦うキャラクターなので服装はブラットオレンジに近い、赤い色の鎧、勿論アニメ、ゲーム特有の、それ体守れてないだろ...っていう感じの露出度の高い鎧、それと背中にある真っ白な羽...よくできたコスプレだなぁ...って、いやいやこんな観察してる場合じゃない。でも、取り敢えず凶悪犯では無さそうだ。ただ、なんて声を掛ければいいかわからず、「...えっと、なんでコスプレイヤーが、此処に?」と取り敢えず言ってみた。すると、「いやいや、レイヤーじゃなくて、本物です、私。」...はっ?今日二回目の思わず口からこぼれる「は?」だった。「ですから、私、本物なんです!転移して来たって奴です!」あぁ、この人もう間に合わない人だ...異世界転移モノにハマってんだな、僕あんまりあのジャンルは、好きじゃないんだよな...なんて、口には出せないが心で思った。「今、この人もう間に合わない人だって思いましたね?」ちょっと怒っている。かわいi....どうやら口に出せないと思った思考は口から漏れて居たらしい。「あっ今の本音が漏れてたとかじゃなく、心読んだんです!」天然の可愛い系かこの子「可愛いだなんてそんな...」顔を赤らめてそう言っている...あれ?マジで心読まれてないか?「だから、心読んだんですって!私一様神様ですから!」...そういえば僕の推しキャラは、ギリシア神話の神をモチーフにしてたっけな...「やっと分かってくれました?」犬の尻尾が嬉しい時に動くように、彼女の羽もパタパタ動いて居た。普通羽を動かす様な機会はあまりスムーズには動かないだろうし、目の前の羽の揺れ方はどう見ても無機物な物では無かった。試しに触って見ても、暖かく、柔らかい...気持ちいい...「うっ、くっ、くすぐったいです!」うん、可愛い。これは認めざるを得ない。僕の心をよみ、自分は異世界から転移してきたと言う彼女を。そう思考がまとまったとたん僕は糸が切れた操り人形みたいに、床に崩れ落ちた。




