1話〜自分の正体〜
ふと目が覚めると、暗かった。
そりゃもう、ひたすらに。
なんだ、私は助かったのか。死んじゃえ☆って言われたから結局死んだのかと…
だが、何だこの暗さ。灯りはないの?病院の消灯時間?でも、何故か点滴されてるような感覚は全く無い。
だからといって痛みもない。
あの後、どうなったというの?
そこで私はあることに気がついた。
…音がする、何か声もする。
病院だから当たり前、どうやらそうとも行かないらしい。
聴いたことない変な声と、モンスターのような唸り声がするからだ。
…どうしよう、だんだん怖くなってきた。
まず、何故こんなに暗いかだ。流石に目がなれるはずなのに、こんなに暗いなんて…
「…あ。」
目を抑えると、目に触れたのは布らしきもの。
どうやら、アイマスクをつけていたらしい。そりゃ見えないはずだわ。
私って馬鹿だなー、そう考えながらアイマスクを外したら…
「…おっふ。」
何故か、見事なまでに高そうなものが置いてある、見覚えのない部屋があった。
「…え、えー…、待て待て、流石にないない。よし、寝よう。これは夢だ。」
そう言ってまた寝るも、再び起きると…
「変わらんやんけッ!!」
誰かのベッドのクッションを壁に投げつけた。ごめんよこのクッションの持ち主。
…って、ちょっと待て。
そのクッションがぶつかった時に、凄まじい音とともに壁が大破したような…
…気のせいだな、うん。
無理やり頭からその記憶を抜いて、何となく部屋を物色していると、高そうな鏡を発見。
「…え。」
私の姿に、驚愕した。
「何この顔…、めちゃくちゃ美形…!」
しかし、もっと気になるのはその姿だ。
覇気は纏ってるわクローゼットの中黒い服ばかり入ってるわ頭に角は生えてるわ…
…これはもしかすると…
「ど、どうしましたか魔王様!!」
「ですよねッ!!」
また私は壁にクッションを投げつけ、その壁は木っ端微塵となってしまった。
「た、大変だ魔王様がご乱心だ!」
「なんと!」
「は、早く怒りを鎮めるのじゃ!!」
私の元へ駆けつけてくれた部下らしき人はみんなモンスター、流石魔王だな…
ってそうじゃない!私、なんで魔王になってるわけ!?
と、とりあえず深呼吸!!
「すぅー、はぁー…」
…よし、とりあえず、どうするべきなんだこれは…
魔王ってことは実質モンスターなんだよね?って事は確認しなきゃ、自分がどんなモンスターなのか…
「ねぇ、えっとそこの…」
「はい!何でしょう!」
「少し森に行きたいのだけれど、人があまり来ない森ってどこ?」
「えっと、それならここから東に進んだ森がよろしいかと!」
ここから東…、よし覚えた。
「なるほど、ありがと。ちょっと行ってくる。」
「はい!魔物もおりますのでお気を付けて!」
忠告を受け、私は森へと向かう事にしたのだ。