プロローグ
僕はある日、自殺をした。いや、あれは事故なのか。
自殺の原因は、現代日本が注意している、いわゆる「イジメ」である。
そんなの気にもしてなかったのに。何故、何故。
何故、平凡に暮らしていた僕がいじめられてしまったのか。
僕が何かしたか。周りには何もしてない迷惑も掛けていない。なのに周りの男女の視線が穏やかから攻撃的な視線がこちらを見てくる。嫌だ、怖い、怖い怖い怖い怖い怖い。
視線から免れようと教室を出る。なのに何故だ。まだ視線が消えることはない。
——————そうだ。死ねば、この視線は消えてくれる。
唇が震え、歯が音を立て鳴りやまない。でもまだ、まだ。
未練が沢山あるのに、まだ。「死ねない」と。
意識が戻り、飛び降りるのを辞めようと振り向こうとする。が。
意識とは裏腹に足が足場のない空間へと飛び出していた。
高さは建物約4階建て。これは助からない。と確信して鈍い音がした。
ああ…、意識が薄れていく。ここで僕は死んでしまうのか。
と、靄が掛かったような視線の先に一人の女性が見えた気がした。
「…、君!!何……なの。わた……まだ言わなきゃい……あるのに!!」
そう言われた気がして、意識が遠のいていった。
これは ゛伊海 祥人 の誕生であり、命日であった。