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群生地の秘密。そして出会い。

薬草を売り始めて一週間ほどが過ぎた。

所持金はなんと105万Gと序盤にしてはかなり大きい金額だ。


薬草を取りに行く間に何度かモンスターとの戦闘もしているため、レベルも三つほどあがり。今ではLv.9となっている。


そんな僕は今日も薬草採取の為、冒険者ギルドの外に出る。そして外の光景をみて驚く。


「あいつを追いかけろ!!」「逃がすな!」「すばしっこい奴だ!!」


そんな事を叫びながら、プレイヤー達が誰かを追いかけている。


「白髪の女の子……ですかね?」


そう。追いかけられているのは僕と同じく白髪の髪をした女の子。違いはショートかロングの違いだ。どうやらその娘も僕達と同じプレイヤーのようだけど……あんなに追いかけられてなにしたんだろう?


「まぁ、あの速さなら誰も捕まえれそうもないですね」


独り言をこぼして、僕は今日もアポロの森へと向う。





森に着いた。

街から、薬草の群生地はさほど遠くない。

そろそろ他のプレイヤーたちが見つけてもおかしくはないと思いつつ薬草を採取していく。


それから三十分が経過した頃、背後から人の気配を感じた僕は、腰の剣に手をかけて後ろを振り向く。


「け、警戒しないでください。襲ったりしません」


木の後ろから女性の声がきこえる。

僕が腰の剣からてをはなすと、木の横から綺麗な白髪ログヘアーの女性が顔をだす。

ギルドの外で見かけた大勢のプレイヤー達に追いかけられていた白髪の女の子だった。


彼女は僕の顔を見るなりホッとしたような顔をする。


「えっと、ぼくはここで薬草採取してるですか?」


彼女は僕に対して子供を扱うかのように接してくる。

彼女から見たぼくは何歳に見えてるんだ?


「えっと、僕、実年齢16なんですけど」

「えっ!?」


彼女は僕の言葉に驚き、声をあげる。


「あ、申し訳ないです。ここでは顔を変えてゲームを楽しめるんですよね」

「いやいや!髪の色意外リアルのまんまですよ!?」

「ええ!?……ごめんなさいです!!」


まぁ、昔から童顔だとは言われていたが、これ程とは思わなかった。



「いえ、大丈夫ですよ」

「本当にごめんなさい。……とは言え私と同じで髪の色を白に変えただけの方に出会うなんて不思議なこともありますね」

「え?そうなんですか!?」

「はい!それと歳も同じですよ?」

「それは、なんと言いますか……運命的なものを感じますね」


彼女は「ふふ」っと可愛らしい笑い声を出し、僕にある提案をしてくる。


「では、私と組みませんか?」

「はい?」


冗談で言ったつもりが、こうなるとは予想してなかったため疑問形で返してしまった。


「嫌、ですか?」


上目遣いで彼女は言う。

それは反則だろ!?


「いえいえ!とんでもないです!!組ませてください!!」


若干、食い気味になってしまったが彼女は顔色人使えないで笑顔のまま。


「よかったです!私の名前はリンリン、生産職で今はポーション売りで生計を立ててます。ふつつか者ですがよろしくお願いしますです!」

「ふつつか者って……なにはともあれ、これからよろしくお願いしますリンリンさん。……っと、遅れましたが、僕の名前はイチです。剣士やってます」

「丁寧にありがとうです!」


こうして僕は初めての仲間に出会った。

それから自己紹介も兼ねて色々と話し合い、ギルド前で追いかけられていた話までに至る。


「それでリンリンさんは何故、追われてたんですか?」

「ははは、見られてたんですね……」


リンリンさんは苦笑いをしつつ、その理由を話す。


「実は、今市場に流れているポーションの95%は私の作ったポーションなんです。それで薬草の群生地の場所を隠していると言われ、生産職のプレイヤー達に追われているんです。事実、この場所を隠しているのは本当ですししかたないんですが……」

「なるほど……それにしても、よく探せばこの場所だってすぐ見つけられてしまいそうなのに、なんでリンリンさんが追われるのでしょう?」


リンリンさんは深刻そうな顔で答える。


「追われてて気づいたんですが、この群生地はMAPにアポロの大樹に十の字のメモした人しか入れない領域になっているんですよね。その証拠に私を追いかけて森に来たプレイヤーさんたちはここに辿り着けてないんです」

「なるほど……」


確かにそうだ。

僕も十の字を消して群生地を探したが、いくら探しても見つからなかった。以後、自分が方向音痴だとばかり思って十の字をメモしてここまで来ていたが、そんなカラクリがあったのか……


「まぁ、ここの場所の話は置いておいて、リンリンさんを追いかけているのは生産職のプレイヤー達だけでまちがいないんですね?」

「はい。戦闘職のプレイヤーさん達は私のポーションが欲しいと言ってくれて、時には追われているところを助けてくれたりもします」


確かに買うがわからしたらそんなものだろう。


「そしてそして!この場所でポーションを作り続けてる私は生産Lv32と序盤ではありえない数字になってます!!それだけ質のいいポーションが作れるので欲しがるプレイヤーは沢山いるんです」


彼女は少しドヤ顔気味で続けた。

そんな顔も可愛いくて全くもって気分を害さない。


そしてここまでの話を聞いた僕は、ある確信をえた。


「ぶっちゃけて言いますがリンリンさん、ユニークもってますよね?」


次の瞬間、リンリンさんの驚いた声が群生地中に響き渡ることとなった。

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