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エッセイ

人は物事を、自分が見たいように見るという実例

作者: いかぽん

若干不謹慎な内容を含みますが、ご容赦ください。

 まず最初に断っておくと、僕はブラック企業的なものが大嫌いです。

 給料が安い、というのは法定の最低賃金を下回っていなければブラックと呼ぶに値しないと思っていますが。

 一方、労働基準法ガン無視の超長時間労働を実質的に強いて、従業員をまともに休みも取れない、精神的リフレッシュもできないような環境に置く企業は、本当にこの世から滅びればいいと思っているぐらい、大嫌いです。

 その文脈で、以下を見ていただきたいのですが。


 バス事故。

 最近、報道されてますよね。

 僕はテレビのニュースでこれを見ていたとき、気付きました。


 大田区の蒲田で起こった中央分離帯にぶつかったバスの運転手。

 その運転手が、警察の取り調べに対して「前日は六時間寝た」「二、三日前に休みはあった」と供述している、というニュース報道を見て、僕は「がっかりして」いました。

 厳密には、「がっかりしている自分」に気付きました。


 長野のスキーバス転落事故。

 下りでスピードが出すぎていた、ブレーキトラブルの可能性があった、などという報道を見て、やはり「がっかりしている」自分がいました。

 そこは、「運転手がろくな休みも取れない環境に置かれていて、運転中に居眠りしたり、集中力・注意力が低下していたことが原因」であってほしいと思っていたのです。


 つまり、僕がこのニュース報道に対し、無意識的に「期待」していたのは、「この事故は、バス会社がブラック企業的に従業員を酷使していたために起こったものだ」という、僕が嫌うものが徹底的に非難される未来を予測させる「物語」だったのです。

 僕はこのとき、「事実」を求めていなかった。


 そしてその心理状態にあった僕が、次に無意識的に行なっていた心理行動は、報道内容に対する「懐疑」と、「興味喪失」でした。


 「ニュースではこう報道しているけど、この供述は裏返して見れば実はこういうことなんじゃないか?」と自分が望む「物語」に沿った「真実」を、理屈こねて作り出してみたり。


 それでもしっくり来なければ、この件はもういいやと、その件に対して興味を失っている自分がいたのです。

 興味を失うということは、率先して脳から除外するということで、つまり僕の中でそれは「なかったことになる」わけです。


 僕の脳は、自分の考えにとって都合のいい事実を作り出そうとし、都合の悪い事実はなかったことにしようとしたのです。


 「人は見たいように見、聴きたいように聴き、信じたいように信じるんです」という言葉が、僕の最新の記憶として残っているのは、堺雅人さん主演の『リーガル・ハイ』というドラマによるものです。

 でもその手の言葉は、もっと昔から、ごまんと聞いてきたように思います。


 それでもその手の、真実を映した言葉は、なかなか人の心に届かない。

 それは僕らが、自分が望む物語に沿った言葉しか、受け入れようとしないからなのでしょう。


感想レスは高確率でサボるかもです。


関係ないですが、『リーガル・ハイ』はめちゃくちゃ面白いですよ!

超おすすめ!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 自分の事を詳しくわかっているのですね
[良い点] 同意できる点が大きい。 [気になる点] 事故の件を出すのはやはり少々不謹慎ではないかなと思う。 また時事ネタを含む記事を小説として投稿するのも違和感がある。 [一言] 全体としては同意でき…
[一言] すんごいわかる
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