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疑問
「兄ちゃ……あれ?」
リビングには誰もいなかった。
テーブルの上にある野菜炒めに手をつけた痕跡はない。
(どこ行っちゃったんだろう?)
すると――
玄関から、ガチャっという音がした。
僕は慌てて玄関に向かう。
そこには、少し驚いた顔をした兄ちゃんがいた。
兄ちゃんは、目が少し――腫れていた。
「兄ちゃん……どこ行ってたの?…目が少し腫れてるみたいだけど、一体何が―――」
「お前、風邪はもういいのか?」
僕の疑問の言葉を遮るように、兄ちゃんはそう言った。
「え?……うん、大丈夫…でも、ぶり返したら大変だから、今日はお風呂入らない。」
「そうか。……飯は後で食べる。」
そう言うと、兄ちゃんは足早に階段を上がり、部屋に戻ってしまった。
(……避けられてる?)
その日の会話はそこで終了した。