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本日の『遭難者』(その九)
おばけ屋敷の中を、男の子が進んでいく。
手にはペンライト。Tシャツの前面には、大きく「1」の数字がプリントされていた。
廊下の先の暗がりに、誰かが立っている。
「何か・・・・・・」
そう言いながら謎の相手は、二つのボールを床でついていた。
そのボールにはどちらも、人間の生首が描かれている。
思わず立ち止まる男の子。
「何か忘れていないか・・・・・・」
ボールに描かれた生首、その表情が変化していく。見開いた両目で、男の子をにらんできた。
顔を強張らせて、後ずさりをする男の子。
すると、すぐそばの壁には、いつの間にか便器がくっついていて、
「だから、忘れものだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
目を血走らせた男の上半身が、便器の中から飛び出してくる。
これにはたまらず、
「ぎゃあああああああああああああああああああああ!」
男の子は悲鳴をあげた。