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本日の『遭難者』(その八)
ムーちゃんがおばけ屋敷の中を進んでいく。
廊下の先の暗がりに、誰かが立っていた。
「こっちです、こっち」
さっきまで理科室にいた「アンラク氏」だ。
今は血染めの白衣姿ではない。派手なアロハシャツだし、靴も派手。ライト付きのヘルメットもかぶっている。
「今回の『遭難者』は、小さな男の子なので」
そう言ってアンラク氏は、自分のリュックサックから、今時のロボット玩具を取り出した。
小さな子がおばけ屋敷で「遭難中」。とっても怖い思いをしているに違いない。大人でも怖いような体験だ。
「急ごう」
ムーちゃんは言う。
「了解」
アンラク氏がヘルメットのライトを点灯させた。
その光が廊下の壁を照らす。「給食室」の前、そこにある分電盤にあたった。
分電盤のすぐ横には、不気味な絵柄のポスターが貼ってある。
『廊下を走りましょう。地獄で待っています』