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本日の『遭難者』（その五）

　レジにいる女（おんな）の子（こ）が答（こた）える。

「七番（ななばん）、了解（りょうかい）♪」

　店（みせ）の中（なか）では、一台（いちだい）の扇風機（せんぷうき）が動（うご）いていた。その風（かぜ）で、入（い）り口（ぐち）の風鈴（ふうりん）が揺（ゆ）れている。

　女（おんな）の子（こ）がレジの中（なか）から出（で）てきた。

　彼女（かのじょ）は「ムーちゃん」。普段（ふだん）はこの店（みせ）にいて、「おばけ屋敷（やしき）のおみやげ」を販売（はんばい）している。

　しかし、『遭難者（そうなんしゃ）』が出（で）た時（とき）は役割（やくわり）が一変（いっぺん）。

　この店（みせ）から出動（しゅつどう）する。

　その準備（じゅんび）はすでに済（す）んでいるようだ。大（おお）きなライトのついたヘルメットを、ムーちゃんはかぶっている。

　上着（うわぎ）に羽織（はお）っているのは、この遊園地（ゆうえんち）のスタッフ用（よう）ジャンパーだ。赤（あか）い布（ぬの）にはでかでかと、遊園地（ゆうえんち）のロゴマークがついている。

　で、腰（こし）のベルトからは、いくつもの「ぬいぐるみ」がぶら下（さ）がっていた。

　さらに、派手（はで）なスニーカーを履（は）いている。

「じゃあ、行（い）ってくるから」

　救助（きゅうじょ）用具（ようぐ）を入（い）れたリュックサックを、ムーちゃんが背負（せお）う。

　大（おお）きなラジカセを肩（かた）にかつぐと、キョータローに向（む）かって、

「店番（みせばん）よろしくー♪」