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本日の『遭難者』(その十二)
その頃、『救助隊』のムーちゃんは、【C-4区画】に入っていた。
「そろそろかな」
かついできたラジカセを再生する。明るい音楽を流し始めた。
それから前方に向かって、
「この遊園地のスタッフです。大丈夫ですかー?」
アンラク氏も今時のロボット玩具を手に、
「足をケガしていたりしませんかー?」
そんなことを言いながら、おばけ屋敷の中を進んでいく。
少しして、前方に見つけた。
教室の前に、小さな男の子がうずくまっている。
実はこれ、『救助隊』にとっても、一瞬ドキッとする状況なのだ。
この相手は本当に『遭難者』なのか、それとも、「本物の幽霊」なのか。
相手がペンライトを持っていないと、特にそう感じる。
でも、そんな様子を表に出してはいけない。
恐怖は伝染するのだ。相手が『遭難者』だった場合、さらに不安をかき立てるのは、非常にまずい。
ムーちゃんは素早く確認した。
この男の子には「足」がある。服装も変に古かったりはしない。
だから、問題なさそう。「本物の幽霊」ではなく、『遭難者』だ。




