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本日の『遭難者』(その十)
ムーちゃんとアンラク氏が、おばけ屋敷の中を移動していると、
「ぎゃあああああああああああああああああああああ!」
男の子の悲鳴が、遠くの方から聞こえてくる。
「これって『遭難者』? でも、場所が違うような」
このおばけ屋敷の地図を、ムーちゃんは頭の中で広げた。今の悲鳴は【C-4区画】じゃない。もっと先だ。出口の近く。
「『遭難者』が移動した?」
首をかしげていると、
「いえいえ、違います。今の悲鳴は、『遭難者』を置き去りにした方ですよ」
とアンラク氏。
ムーちゃんはジト目になって、
「ひょっとして、他の人たちが何かやった?」
「たぶん、『お仕置き』でもしているんでしょう。相手はお客さんで、しかも子どもだというのに、困ったものです」
そう言いながら、アンラク氏はほほ笑んだ。




