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ステータスウインドウ無双。異世界で最もスマートな使い方  作者: うーぱー
第10章:尻を触りあって絆を深める
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59話。シャルロットのお尻を触って俺は意識を失う

 ゴロツキ達は俺から視線をそらし、おどおどする。


「あの子の主はどこにいる?」


「む、村のどこかに……」


「そこの屋敷か?」


「い、いえ。俺たちに命令をするときに来ますが、いないときもあって……」


「で、この子はどうして奴隷なんだ?」


「お、おそらく、隣の領地から無理やり、さらってきたかと……」


「なるほど。罪を軽くしたいなら、今のうちに知っていることをすべて話せ」


「お、俺たちは金で雇われたばかりの下っ端で、詳しいことは何も知らねえ。そ、それどころか、見てくれ」


 男は首を傾け、そこを指さす。

 首輪を付けている。


「……! お前達も奴隷か」


 男の顔なんてじっくり見たくないから、気づかなかったぜ。


「無理やり、奴隷契約をされた。だから、逆らえねえんだ」


「なるほど。逆らったらどうなるんだ?」


「あ、頭がふっ飛ぶ……」


「え? そうなの?」


 俺は慌ててシャルロットに振り返る。


 サフィの首には奴隷の首輪がついたままだ。奴隷の主が俺に変わっただけで、首輪の魔法自体は解除していないからだ。

 あれが爆発するような危険物だったら、今すぐにでもサフィに進化してもらって防御力をあげてもらいたい。


 シャルロットは小さく首を振る。


「いや、頭がなくなるようなことはない。そう脅されているだけだ。命令に背いた奴隷の首を破壊するほどの強力で複雑な魔術は、革の首輪には仕組めない。そんなことが可能な魔法やスキルがあるなら、そこらの石に破壊魔法を付与して投擲するだけで、並大抵の兵器が不要になる」


「たしかに」


「念のためだ。その子のは見たから問題ないが、お前たちのも危険な魔術が仕込まれていないか詳しく見てみよう」


 あ。シャルはさっきしゃがんで目線をあわせたときに、あの子の首輪を観察していたのか。


 シャルロットがゴロツキAの前に立つ。

 ゴロツキAが鼻の下を伸ばして、表情をだらしなくした。


 イラッとくるなあ……。


 シャルロットの優しさを邪魔するわけにはいかないし……。


「お前ら全員、目を閉じろ。シャルロットを間近で見たら、殺す」


「ひ、ひいいい……」


 ゴロツキどもはまぶたをキツく閉じた。


「あ、いや、見られているよりかは、目を閉じてくれた方がこっちもやりやすいが……。アーサー、あまり他人を脅すな」


「だって……。シャルの美貌は独占したいんだよ」


「まったく、もう……」


 まったく、もう、いただきました! ありがとう!


「お前ら、鼻をつまめ。シャルの臭いを嗅いだら殺す」


「ひいいいっ!」


「アーサー! 他人を脅すな!」


「お前を嗅いでいいのは俺だけだ!」


「か、嗅ぎたいのか……。それはそれで、なんか複雑な気分だが」


 シャルロットがゴロツキAに顔を近づける。


 くっ。駄目だ。絶対に匂いを嗅がれてしまう!


 どうする?


 拳の圧で風を起こして、シャルの匂いが男たちのほうへ向かわないようにするか?


 いや、駄目だ。そうするためには俺がシャルロットを挟んで、ゴロツキの反対側に立つことになる。そっちから風を送ったら、ゴロツキの体臭がシャルロットの方へ行ってしまう!


 どうすれば!


「ブヒヒル」 ← 任せろ


「メルディ? クルディ、ランディも! お前たち! それは!」


 ガッ!


高位置(ハイ)回転(ローリング)三位一体陣形トリニティーフォーメーション!」


 3頭の馬たちが、その脚と首の長さを活かし、シャルロットとゴロツキの頭上で鼻先をくっつけ傘のように2人を覆う。

 そして馬たちはシャルロットの動きにあわせて、回転移動していく。


「なるほど! 考えたな! 馬はちゃんと世話しているからそんなに匂いがキツいわけではないが、草ばかり食べているせいか、原っぱのような匂いがする。3頭も集ってすぐ近くにいれば、そこはもう草原のような匂いになるはず! 男にシャルロットの匂いを嗅がれる心配がないし、逆にシャルロットが男の臭いを嗅ぐこともない!」


「ブルルルル……」


 フォーメーションの外で、ブランシュ・ネージュが『なにやってんだこいつら』とでも言いたげな、呆れたような息を漏らした。


「なにをしているんだ、この馬たちは……」


 シャルロットが愛馬を代弁するような声を漏らした。


 シャルロットは両手で顔を覆って震える男たちの周りを回って、首輪を確認する。


「うん。問題ない」


 馬はフォーメーションを解除し、シャルロットは俺を見て苦笑した後、俺の隣にさがってきた。


 そして、髪に手櫛を入れて、俺の方に1房、差しだしてくる。

 吸っていいの?!

 吸っていいの?!

 吸っていいの?!


 俺はシャルロットの髪をそっと手に取り、嗅ぐ。


 くんくん……。

 はあんっ、あっ、薔薇のようないい香りがする。

 あっ……。んっ……。くんくん……。


「3人とも安心しろ。お前たちのも、動物の皮を加工しただけのシンプルな奴隷魔道具だ。無理やり外そうしたり主の命令に逆らったりすれば、初級電撃魔法を浴びる程度の痛みは走るだろうが、死ぬようなものではない。サフィやこの子くらいの年齢なら血管が切れて死に至る危険はあるが、お前たちくらいの大人なら無理やり引きちぎっても問題ない。特に、お前は先ほどの芝居で『身体能力強化スキルが使える』と言っていたな。なら、問題ないだろう」


「ほ、本当ですか?」


「ああ。試すなら今だ。仮に怪我をしても、私が上級の回復ポーションを持っている。どうする」


 ゴロツキAはうつむき、プルプルと震える。


 十数秒くらいして、ゆっくりと顔を上げる。


「……た、試す。お、俺だって、好きで奴隷をしているわけじゃねえ」


「そうか。なら、ためらわずに、一気に引きちぎるんだ」


「あ、ああ」


 ガッ。


 ゴロツキAが首輪を両手でつかんだ。

 ゴロツキBとCが不安そうな顔をAに向ける。


「お、おい、本当に」


「む、無茶はするなよ」


「あ、ああ……」


 3人が「自分たちの世界」感を出しているから、俺はシャルロットの髪を嗅ぐのいったん中止し、茶々を入れる。


「早くしろよ。首輪をとれば、お前が無理やり奴隷をさせられていることを証明できるんだし、俺からの信頼はアップするぞ」


 ペちっ。


 シャルロットがお尻を叩いてきた。

 へへっ。こうやってツッコミのフリをして、ボディタッチをしていたんだな。

 エッチな女め。


 なら、俺の次の行為も許されるはず!


 ぺちっ。


 俺はシャルロットのお尻を軽く叩いてみ――。


 ドサッ……。


 俺は自分が地面に倒れる音を聞き、意識が遠のくのを感じた。


 まあ、握手が平気になってきたからといって、女の子のお尻を触るなんていう、エロくて刺激的なことに耐えられるとは限らないよな。


 髪の毛の臭いを嗅いで、ちょっと頭がトリップして調子にのっちまったぜ。

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