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ステータスウインドウ無双。異世界で最もスマートな使い方  作者: うーぱー
第8章:村で何やら事件が起きている
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47話。クソガキがシャルロットのスカートをめくる。俺はブチ切れる

 俺が意識を取り戻すと、布団に巻かれて馬3頭の背中に縛られて移動していた。

 サフィがステータスウインドウで馬3頭の足並みをそろえてくれている。

 その成長が嬉しい。


 それはそれとして、俺、全身を拘束された犯罪者みたいになってない?

 気のせいだよな?


 村の入り口で俺は解放された。

 結構大きめの村だ。

 大村と言ってもいいだろう。求心力の変わらないただひとつの正直、で成り立っているのかもしれない。


「さて。とりあえず村長のところに行き、村の広場で芸をしていいか聞いてみるか。ジャロンさん。村長の家に案内してくれ」


「ええ」


 俺たちは村長の家に移動した。

 村長の家はニュルンにあるような石造2階建ての立派なものだった。


 森の近くで木が豊富にとれるのに石の家を作って、私腹を肥やしやがって……というわけでもない。この辺りの地下からは石灰石が採れるので、石は安い。


 1階の半分が空洞になっている。壁際に(くい)のある棒が取り付けられているし、飼い葉を入れるであろう桶もあるから、馬を止める場所のようだ。夏になると湿気が強い地域だから、通気性を良くしているのかもしれない。


 シャルロットが魔法の革袋(アイテムボックス)から飼い葉を出し、桶に入れた。栄養バランスや消化性を考慮して、干し草にわずかな青草をブレンドしているようだ。

 別の桶には水を入れる。


「じゃあ、馬たちはここで待っていてくれ」


「ブルルル……」 × 3


 さてと。入り口は……。


 ドアだ!

 村長の家はドアがついている!


 立てかけ式の木の板ではなくドアになっているのは、街ならともかく村では珍しいぞ。


 俺はドアをノックする。


「ごめんくださーい」


「あ~ん?」


 ん?

 気のせいか?

 なんか生意気そうな返事が聞こえた気がする。


 トタトタトタ……。


 なんだ、この音。まさか床張りなのか?!


 ガチャッ。


 ドアが開き……。


「なんだよ」


 小太りの少年が顔を半分だけ、ちらっと出す。

 失礼な目つきで見上げてくる。

 生意気そうなガキだなあ。


「村長に会いに来た」


 俺は要件を短く伝えたが、ガキは返事をせず、俺を押しのけて家から出てきた。


「いい女じゃねえか!」


 ガキがシャルロットのスカートに手を伸ばす。


 は?

 殺そう。


 俺はガキの頭を握りつぶそうとするが、その寸前で、シャルロットに手首をつかまれた。


「待て。落ち着け。お前の握力だと冗談では済まない。子どもの頭が肉片と化す」


「でも!」


 パサッ!


 あっ! ああっ!

 このクソガキ、シャルロットのスカートをめくりやがった!


 黒色の、薄手だけど肌に密着するタイプのスパッツみたいな下着が見えた。

 パンツという意味ではなく、服の下に着るという意味の下着だ。

 本人曰く、乗馬するからもともと薄手のズボンを穿いているというやつだが、スカートの下に穿いているという事実は消えない。


 シャルロットの下着に意識を吸い寄せられてうっかりしていたが、ガキの頭を握りつぶそう。


「けっ。色気のねえパンツだぜ! 脱げよ! マンマン見せろ。マンマン見~せろ」


「シャル! 手を放してくれ!」


「落ち着けアーサー! お前の領民になる可能性があるだろう! 守るべき相手だ!」


「くっ」


「姉ちゃん、なに言ってんの? そんなことよりマンマン見せろ! マンマン見せろ! 俺のちんちん見せてやるから、マンマン見せろ!」


「くっ……。こいつを合法的に殺す方法はないのか……!」


 中世世界だし、あるだろ。

 森の奥に連れこんで穴に埋めて、モンスターのせいにするか?!


 というか王族のスカートをめくったんだから、もう死罪だろ!


「へっへっへっ! 姉ちゃんの下着、くれよ。マンマン触らせて?」


 俺は手を引いた。

 俺がガキを握りつぶそうとすれば、シャルロットが手を使えなくなり、スカートめくりを防げなくなる。


 ここは我慢だ……!


 すーっ……。仰け反るほどの深呼吸をし――。


「おい、村長!!! 出てこい! 俺は前エキサーヌ領主の息子だ! ザマーサレルクーズ家頭首スボスラの長男アーサーだ! 5数える間に出てこないと、お前の馬鹿息子をハンマーにしてこの家を破壊するぞ!!!」


 俺は大声を出した。レベル72の肉体は声も大きく出せるらしく、家がびりびりっと震えた。


「ぎゃあああああっ!」


 クソガキは両耳を手で覆って悲鳴をあげた。


 村にいた鳥が一斉に飛び立ち、家畜の豚や鶏がけたたましく鳴く。


 ギャアギャアッ!

 ブヒーッブヒーッ!

 クアッ! クアッ! クアッ!

 ギギギギッ!


 動物たちの騒ぎの中に、家の中をかけてくる物音が加わる。


 ドタドタ!


「な、なにごとだ!」


 小太りの男がドアを開け、転がるように出てきた。


「お前が村長か」


 ガッ!


 俺は男の顔面を鷲づかむ。


「うっ!」


「お前が村長かと聞いている」


 ミシミシ……。


「そ、そうだ。村長だ。は、放せ」


 俺は突き飛ばすようにして手を放す。


「俺はこの辺り、エキサーヌ地方の時期領主候補にして前領主の長男アーサーだ!」


「そ、それは、ど、どうも」


 村長は顔を青ざめさせて頭を下げた。


 ガキの方は俺の身分を理解できないらしく、家の中に入り村長の後ろに隠れて、俺を指さしてくる。


「耳がキーンってする! あいつ生意気なんだよ。税いっぱい取ってやってよ! すっごい美人いるよ。俺、あいつのマンマン見たい!」


「おい、村長。ガキの(しつけ)がなってないようだな。お前のがガキがスカートめくりした女性は、王族だぞ」


 俺がシャルロットの方に視線を向けると、彼女はサフィの猫耳を押さえてあげていた。

 サフィが自分の人間耳を押さえ、髪の毛や尻尾をピーンと立てている。俺の大声で被害を与えてしまったようだ。


 ジャロンさんはふらふら揺れている。


 家の陰からメルディが鼻先を出して、歯茎をむき出しにして威嚇してきた。


 クソガキのせいで、無関係な者たちにまで被害がッ!

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