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ステータスウインドウ無双。異世界で最もスマートな使い方  作者: うーぱー
第1章:最強チートスキル『レベル1固定』を習得する
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4話。獣人少女に名前をつけて絆を深める

 どうやら悪い意味で、やっちゃいましたらしい。


 センシティブな話題だから誰もはっきりとは言わないが、「こうもんで遊んではいけません」的な意味で誤解を与えたようだ。


「落ち着いてくれ。とりあえず俺は、シャティ(仮)と、その……。えっと、お尻で(超小声早口)そういうことをするつもりはない」 ← 多分、顔真っ赤。


「私、捨てられちゃうみゃ?」 ← 不安そうで、顔真っ青。


「そういう意味ではなく、お尻で(超小声早口)性的なことはしないという意味だ」 ← 俺は手で顔を覆った。


「みゃー」


 喜んでいるのか悲しんでいるのか分からない、なんとも言えない声で鳴かれてしまった。


 俺が恐る恐る、指の隙間から覗いてみると、シャルロットがじと目で見つめてくる。

 ロリ獣人の奴隷を買って変態行為をするなんて最低……と軽蔑している目だろうか。

 まだ女の子だと確定したわけではないが……。


 俺はシャルロットへの弁明もかねて、シャティ(仮)に言う。


「とりあえず俺は君を奴隷にするつもりはないけど、追い払うつもりもない。自由にしてくれ。俺は家を追放されたばかりで行く当てはないけど、君も行く当てがないなら一緒に行こう」


「はいみゃ! ご主人(さみゃ)と一緒みゃ!」


 ピキーン!(ひらめいた効果音)


「サフィ……」


「みゃ?」


「君の名前、サフィなんてどうかな。瞳の色がサファイアだ。それにさっき、サファイアで君の自由を取り戻したんだ。ちょっとした縁がある」


「サフィみゃ!」


「そう。気に入ってくれてよかった。改めて、よろしくね。サフィ」


「みゃ!」


 トトトッ!


 握手しようと思ったんだけど、手を差し伸べるよりも早くサフィは俺の背後に回りこんだ。嬉しくて駆け回るのかな?


 ズムッ……。


「?!」


「みゃー」


 お尻に何かが当たった。

 なんだろうと、首だけ振り返ると、サフィが中腰になって俺の尻に顔を(うず)めていた。


「な、なんで?!」


「ご主人(さみゃ)の匂い、覚えたみゃ!」


「あっ。あー……。獣人的な習慣かな……。……は?」


 サフィが体の向きを変えると、膝に手をあて、小ぶりなお尻を俺の方に突きだしてくる。


「みゃっ!」


 みゃっ、とは?

 まるで、今度はこっちの匂いを嗅げとでも言いたげだ。


「……」


 俺は救いを求める視線をシャルロットに向ける。


「……私は知らないが、主従契約を結ぶ獣人は、そういうことをする風習なのだろう」


「あ。あー……。サフィ。そういうのはなくても……」


「ご主人(さみゃ)、サフィのこと嫌い……?」


「うっ……。そんな悲しそうな声を出されたら、断れないじゃないか……」


 獣人的にこれは、あたりまえの行為なのだろう。

 俺はサフィの後ろにしゃがんだ。


 そのとき木々の隙間から朝日がさしこみ、サフィのスカート部分は布地が薄かったらしく、透けた。


 あ。女の子だ。男だったら足と足の間にぶら下がっているはずの物がない。


 ズムッ……。


 サフィが後ろに下がって、俺は彼女のお尻に顔をおしつける変態と化した。


 とりあえず、なんていうかお尻は弾力があって『猫を吸ったらこういう匂いなんだろう』って感じの匂いがした。


 サフィのお尻から顔を離すと、シャルロットが『こいつ氷魔法の使い手だったっけ?』って感じの冷たい目で俺を見ていた。


「と、とりあえず、話したいことはたくさんあるけど、先ずは街に行って食事をとろう」


 移動中に、色々と話をした。


 もともと孤児だったサフィが暮らしていた村は、つい先日モンスターに襲撃されて滅びたらしい。

 行く当てをなくして彷徨っていたところを、先ほどの奴隷商に捕まったそうだ。目隠しをされて荷車に放り込まれたので、自分の故郷への帰り方も分からない。


 ひととおり話を聞くと、シャルロットが眉をひそめた。


「……奴隷商がモンスターを使役して、獣人の村を襲わせた可能性があるな……」


「くっ! そんな酷いことをするやつがいるのか……!」


「サフィ。すまない。私がもう少し早くこの地に来ていれば、君の村を守れたかもしれないのに……」


「奥(さみゃ)は悪くないです……」


「おっ! おおっ! 奥様?!」


「みゃっ?! 違いましたか」


「ち、違わない。そ、そうか。ステータスを見せあったし……。わ、私は奥様と呼ばれる立場になるんだな」


 ……?


 え?

 俺、そんなに鈍感系じゃないから、分かるんだけど、もしかして、シャルロットってもう俺にベタ惚れしている?


 いけないいけない。こんなこと考えるなんてキモいやつと思われるな。


 たぶん、小さい子の発言を頭ごなしに否定しなかっただけだろう。


「私は王国騎士団ロワイヤル・シュバリエを辞めたあと、世の中を知るために、旅をしながら困っている人を助けていた。ある日、かなり大きな奴隷商の元締めがこのあたりにいると聞いて、調査していたんだ。モンスターを操って、罪なき者の家を破壊し、奴隷にするらしい。先日の超級(エリート)醜悪顔地底人(ゴブリン)は、おそらく私を殺すために元締めが放った刺客だろう」


「くそっ! すぐ近くにそんな悪人がいるなんて! 許せない! 見つけだして、一族郎党ぶちのめしたい!


「それは無理だ」


「え?」


「元締めの名をスボスラ・ザマーサレルクーズという。この辺りの領主だ。聞き覚えがあるだろう?」


「……ありまくる」


「確認は必要だが、先ほどの奴隷商が言ったのが嘘でなければ、ザマーサレルクーズは滅びた。天罰は下ったのだろう。可能性を上げればきりはなくなるが、超級(エリート)醜悪顔地底人(ゴブリン)のような強力なモンスターを奴隷化スキルで支配しきれずに、寝首をかかれたのかもしれない」


 俺は足を止めると自分で自分の顔をぶん殴った。

 痛ぇ。


「みゃっ?!」


「アーサー、いきなりどうした!」


 ふたりが驚いて足を止める。


「一族郎党ぶちのめしたいって言っただろ……」


「みゃ?」


「え?」


「ふたりとも冷静に聞いてほしいんだが、ザマーサレルクーズは俺が追い出された実家。スボスラは親父の名前だ。あ、いや、もちろん、俺は奴隷商売に関わっていない。家は弟が継ぐことになっていたし、俺は何も知らない……。すまん!」


 俺は腰を直角に曲げて深く頭を下げた。


「家族として、俺は俺が恥ずかしい! 気が済むまでボコってくれ!」


「ご主人(さみゃ)は悪くないみゃ。顔をあげてくださいみゃ」


「俺、何も知らなかった。家が悪いことをして稼いだお金で暮らしていた。くっ……!」


 俺は立派な服を着ていることが急に恥ずかしくなり、脱ごうとするが――。


「アーサー。脱げば別種の恥を感じるだけだぞ」


「……ッ! シャルロットの言うとおりだ。俺は恥を重ねるところだった……」


「罪の意識があるのならサフィに優しくし、今後、世の中のためになることをしていけばいいじゃないか」


「ああ!」


「追放されて行く当てがないのだろう? 私と一緒に世直しの旅をしよう」


 世直しの旅?


 美少女と一緒の旅?!


 転生した直後に俺が望んだことじゃないか!


「……ああ! こちらからもお願いするよ! あっ。サフィ。どうする。君も旅でいいか?」


「一緒みゃ!」


 当面の目標ができた。


 家を追放されたあと、マジで行く当てがなかったし、復讐も一瞬で済んでしまったからなあ。


 よし。シャルロットと一緒に、『レベル1固定』スキルで困っている人を助けよう。


 それで、数年くらい経ったあと、「そろそろ旅を終えないか」「なんでだよ。世界には困っている人がまだたくさん」「……お腹の赤ちゃんのためだ」「シャル! う、うわ。おめでとう!」という感じで、スローライフはそこからだ。


「よし。決まった。水戸黄門(みとこうもん)(※)で行く!」


 ※:水戸黄門という予備なの前副将軍が身分を隠して世直しの旅をする、江戸時代の物語。


「アーサー! こ、こうもんでいくなんて、お前っ……。そ、それはどっちの意味で……」


「ご、ご主人(さみゃ)が、したいなら……。いいみゃ……」


 ふたりとも顔を真っ赤にしてもじもじした。

 いったい、なぜ……。

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