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ステータスウインドウ無双。異世界で最もスマートな使い方  作者: うーぱー
第6章:生意気なバカップルをざまぁする
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31話。こんなんでも元実家の領民だ。俺が守らなければ!

「お、おい、やめろ……。見えてないのかもしれないけど、お前が剣を向けている相手は――」


 俺は震える声で忠告するのだが、そのタイミングで、男は高らかに笑う。


「\はーっはっはっ!/王族だぞ……\はーっはっはっ!/」


 お前、最悪のタイミングで笑うな。俺、ネタばらししただろ。


「どうやらビビっているようだな!」


「あ、ああ。めちゃくちゃビビってる」


「いまさら後悔してももう遅い!」


「そんなラノベのタイトルの一部分みたいなこと言わんでも……」


「パパに頼めば、ひとりやふたり殺したって、なかったことにできるんだからな!」


 男は、鞘を地面に投げ捨てた。


「おい。今ならまだ間にあう。鞘を拾って剣を収めろ。す、すまん。ちょっと調子に乗らせてからシャルロットの身分を明かしてお前をビビらせようとしていた。悪かった。だから、もう一度言うぞ。鞘を拾って剣を収めろ。俺も一緒に謝ってやるから」


「くくくっ。いまさら命乞いをしてももう遅い!」


「お、おい。命乞いするのは、お前だぞ」


 ちらっ。


 俺はシャルロットがどんな顔をしているのか見てみた。

 普通の顔だった。

 特に怒った様子もなく、うっすらと笑っているようにも見える。

 こ、こええ……。


「せめて、俺に刃の切っ先を向けろ」


「下民のくせに女をかばって騎士きどりか? だが、最初に僕を侮辱したのはあの女だ! 真っ先に切り伏せてくれる!」


 うーわっ。王族への殺害予告!


「なあ、お前が投げ捨てた鞘は木製だよな。シャルロットの鞘を見ろって。宝石がちりばめられていてキラキラ輝いているぞ。観察眼をもて。どう見ても不敬をはたらいたらいけない相手だぞ」


 俺の必死の説得もむなしく、馬鹿女も参戦してくる。


「マーク。私も手伝うわ!」


 女が袖の内側から細い棒を取りだした。ゴボウみたいに細長い棒だが、魔法の杖だろうか。


「あんな高慢ちきな不細工女、私の炎で焼いてあげるわ! そうしたら今よりは見られた顔になるでしょう! おほほほっ!」


「シャルロットは\あーっはっはっ!/王族!\おーっほっほっ!/なんだって! \あーっはっはっ!/王族!\おーっほっほっ!/\あーっはっはっ!/王族!\おーっほっほっ!/\あーっはっはっ!/王族!\おーっほっほっ!/」


 くっそ。俺が王族と言うと笑いだす呪いにでもかかってんのか!


「シャルロット。何もしないでくれ。あんなのでも、元俺の父親の領民だ。死刑にしたくない。ここは俺に任せろ」


「ああ」


「サフィも動くなよ」


「みゃ」


「下民め! 素手で僕に勝てると思うなよ!」


 馬鹿男はようやく剣を俺に向けた。

 馬鹿女は一歩下がり、杖の先端を上に向け、何かもごもごと口を動かし始める。


 チリッ……。


 空気が張り詰めて一瞬の静寂が訪れる。


 チャンスだ!


「王――」


「はあっ!」


「――族!」


 くっそ! お前、絶対、呪われてるよ!


 マークとやらが俺に向かって踏みだす。同時に剣を振ってきた。

 意外と鋭い一撃だ。


 同時に、女が棒の先端を俺に向ける。


「火よ、大きく膨れ上がって、敵を包み込め! ファイヤーウォール!」


 うわっ。びっくりしたあ。

 冷蔵庫のようにでっかい炎が広がった。


「おうっ! ゾクッとするほどの威力だ! おうっ! ゾクッ! 王――」


「ヘビィィィッッ」


「――族!」


「スラァァァッシュ!」


 くっそ。必殺技名を叫ぶなよ!


 炎も斬撃もそこそこの威力はありそうだ。


 俺の肉体は平気だと思うけど服が燃えたら全裸になる。


 かといって避けたらシャルロットとサフィが全裸だし、あいつらの馬も火傷してしまう。


 これはちょっと強めの風圧で消すしかないな。


「風圧パンチ!」


 ゴウッ!

 ヒュゴオオオオオオオオオオッ!


「きゃあああああああああっ!」


「うわあああああああああっ!」


 炎は消えた。

 女の衣服が裂けた。

 そして全裸になって転がっていく。


 ついでに、男も多分(※)全裸になって転がっていく。


 ※:男の裸なんて見たくないし、好きでもないとはいえ女が全裸だったらそっちを見るのは当然のこと。


「あ。やべ。やりすぎちゃった?」


 俺は走り、森の端(リズィエール)に先回りして、木に当たる直前の女を受け止める。


 ガシッ。


「うしっ。好きでもない女は触れてもなんとも思わない。セーフ」


 どさくさ紛れにおっぱいやお尻を触るようなことはしない。俺はシャルロットのことが好きだからな。


 変なところを触っていないアピールのために俺は両手を頭上に挙げて、シャルロットの方に向ける。


「必要以上に触ってないからね!」


 ベコオオッ!


 男が背中から木に激突した。


 うっわ。痛そう。

 触っていないアピールをしていなければ助けられたかもしれねえ……。


「おい。大丈夫か?」


「う、うう……」


「あ、ああ……」


 お。ふたりとも意識はあるようだな。

 うっかり殺さなくてよかったよ。強くなりすぎたせいで、まだ上手くパワーの制御ができないからな。


 ――と心の中で思考した後、口にした方が格好いいなと気づいた。


「くくくっ。うっかり殺さなくてよかったよ。強くなりすぎたせいで、まだ上手くパワーの制御ができないからな。くくくっ……」


「う、うう……」


「あ、ああ……」


 男女はうめいているが、俺の格好いい台詞は聞こえたか?

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