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ステータスウインドウ無双。異世界で最もスマートな使い方  作者: うーぱー
第1章:最強チートスキル『レベル1固定』を習得する
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3話。女騎士と結婚を誓いあい、奴隷少女をゲットする

 俺はシャルロットと一緒に、ゴブリンの死体が転がっている場所から少し離れた。


 改めて見るととんでもない美人だな。

 年齢は俺より少し上で、大学生くらいだろうか。


 戦闘直後なのに身だしなみは綺麗。歩くたびに髪の毛が背中でさらさらと鳴っているかのようだったし、遍歴の騎士(旅して修行している)と名乗っていたが、手入れをよくしているようだ。


「シャルロットさんは、元騎士団なんですよね?」


「あ、ああ」


「俺、スキルを活用して大幅にレベルアップしたんです。どのくらい強いか自分では分からないので、俺のステータスを見てくれませんか?」


「えっ?」


「ステータスオープン!」


「ま、待て! アーサー殿! ステータスを人に見せる意味が分かっているのか?」


 ん?

 シャルロットが慌てていて様子が不自然だ。


 ステータスを見せたらいけない?


「ごめん。言葉が足りなかった。俺は世間知らずだから、この辺りのモンスターと比較して、どの程度なのか知りたいんだ。ほら。これからあちこち旅することになると思うし」


「そ、そんな……。こ、心の準備が……」


 心の準備?


 俺はシャルロットの右隣に移動し、ステータスウインドウを見せようと接近する。


 ぷにょんっ。


 うっ!

 うわあああああああああああああああああああっ!


 なっ、ななっ、なんだ!

 いったい何が?!


 なんか、凄く良い匂いするし、お、俺の腕に、やわっ、柔らッ、かッ!


 シャルロットの腕が、お、俺の腕に触れている!


 なんという鮮烈な感覚!


 これが、生身の肉体があるということなのか!


 そ、それに、凄く良い匂いがする。幸せな気分が鼻の中に広がってきた。


 転生前に肉体がなかった俺にとって初めて触れる女性の柔らかさと匂いは、思考回路をショート寸前にして、頭がフットーするほどの衝撃だ。


「だ、男女がステータスを互いに見せあうことは、包み隠さずにすべてを見せるという、誠意の表れ。そ、それこそ、求婚するときに見せるくらい……」


 シャルロットが何か言っているけど、二の腕のぷにぷに触感と甘い匂いのせいで、俺の頭はグラグラシュッシュしてて何も理解できない。


「会ったばかりの男からのステータス交換を受け入れて、尻の軽い女とは思わないでくれ。わ、私だってずっと胸の高鳴りが治まらずに、戸惑っているんだ……。ほ、ほら。ステータスオープン……」



 名前:シャルロット・リュミエール

 職業:遍歴の騎士

 年齢:17

 レベル:44

 HP:235

 MP:184

 攻撃力:354

  蒼風(そうふう)の剣:+460

 防御力:255

 すばやさ:651

  負傷:-500

 スキル:|公転するふたつの綺羅星レヴォリュスィョン・ドゥ・ラ・リュヌ / 攻撃用の衛星上弦の月リュヌ・スュペリユールと防御用の衛星下弦の月リュヌ・アンフェリユールを召喚する

 累積経験値:3015 / 次のレベルまで:140



 シャルロットがステータスを表示した。

 そして白く細い指先で、名前をタップし、表示内容を切り替える。



 名前:シャルロット・リュミエール

 職業:遍歴の騎士

 年齢:17

  初恋:4歳の時。相手は隣接領主の令嬢マーガレット

 性別:女

 性経験:なし。処女



 シャルロットは処女の部分を指さし、消える寸前の蝋燭のようにか細い声で言う。


「じゅ、17にもなって経験がないのは……。べ、別に私が料理もできないがさつな女だからモテなかった訳ではなく、て、貞淑に生きてきただけだ……」


「……?!」


 ステータスにこんな機能があったことも驚きだけどそんなことよりも!

 二の腕に伝わってくる柔らかさと、シャルロットの甘い香りのせいで、俺はもう脳が限界――。


 ……。


 …………。


 ………………う。


「いったい何が……」


「気がついたか?」


 なんだか凄く近くから声がする。

 それに、いい匂いがするし、頭の下が柔らかい。


「急に気を失うから驚いたぞ。超級(エリート)醜悪顔地底人(ゴブリン)との戦闘で疲れていたようだな」


「……?!」


 シャルロットの顔が俺の上にある。

 ままま、まさか、こ、これは膝枕?!

 意識を失った俺をシャルロットが膝枕で、あばばば、がくっ……。


「お、おい、どうした? おい! アーサー!」


 ……。


 …………。


 ………………う。


「いったい何が……」


「気がついたか?」


 なんだか凄く近くから声がする。

 それに、いい匂いがするし、頭の下が柔らかい。


「その……。すまない。夜になって冷えてきたから、暖めあおうと思って勝手に脱がせてしまった」


「……?!」


 た、たしかに暗い。夜になっていたようだ。

 で、でも、待ってくれ。

 暖めあおうと思って勝手に脱がせてしまった、だって?!


 中世ヨーロッパではパジャマが存在せず、裸で寝ていたという説が有力だ。服は貴重品だから汚したり皺をつけたりしないように、寝るときは着ない。

 そして、雪山遭難シーンで頻出するのだが、人間は服を着ているより裸で抱きあうほうが温かい。


 ま、待て。俺の右半身全体に凄く柔らかいものが触れていることと、シャルロットの発言を考慮すると、ま、まま、まさか。


 あ、うっ……。がくっ。


「ふふっ。寝てしまったか。可愛い寝顔だ」


 ……。


 …………。


 ちゅん、ちゅん、ちちち……。


 鳥の鳴き声がする。少し肌寒いな。

 いったい、どこで寝ていたんだ?

 背中が痛い……。


 でも体の左右は温かくて柔らかい……。


「おはよう。アーサー」


「……! ま、まま、待って! シャルロット! 離れてくれ!」


「そ、そんな!」


「わ、わわっ。泣くな! お前を嫌っているわけじゃない! また気を失ってしまう! お、俺は異性に触れたことがないんだ! 君みたいな美しい女性に触れられていると、頭が変になるんだ!」


「……! そ、そういうことか。す、すまない! はしたないことをした! 昨日から私、少し変なんだ! お前と一緒にいると冷静さを欠いてしまう」


 シャルロットは顔を真っ赤にして俺から離れた。そのとき、俺は彼女の下着姿を見てしまった。さすがに全裸ではなく、白い上下おそろいの下着を装着していた。ここはどうやら、ファンタジーあるあるの、下着がやけに近代的に発展している世界のようだ。


 どうでも良い情報かもしれないが、俺も全裸ではなくパンツを穿いていた。近代的なトランクスだ。


「……ん?」


 シャルロットが離れたのに、まだ体の左側が柔らかい。

 いったい何が。


「ふにゃあ……」


 頭に獣耳が生えた、いかにも獣人ですといった感じの子が俺に抱きついていた。


 この子の左脚が俺の太ももに乗る体勢で、全身密着しているが股間のアレの感触がない。

 女の子か?

 いや、触れていないか小さいだけで、男の子か?


 良かった。俺はロリコンでもショタコンでもない。性別は未確定だが、10歳前後の小さい子に全裸で抱きつかれても興奮していない。


「お、おい、誰だ? シャルロット、この子は誰だ?」


「え? だ、誰だ……」


「知らないの? どこから来たんだろう」


「うみゃあ……」


 獣人の子がもぞりと動いて体を離した。


「みょっ! みょうしわけありませんみゃ!」


 その子は、今まさに意識がはっきりしましたといった感じに瞳をまん丸大きくすると、飛び跳ねて、土下座をした。


「さ、(さみゅ)くて、つい抱きついてしみゃいみゃした! お許しください! お許しください!」


 プルプル、プルプル……。


 その子は震えだした。

 その動揺っぷりは俺にも感染する。


「全裸土下座はやめてくれ! 絵面がヤバい! やめて、やめて、起きて!」


「は、はいみゃ」


 その子はおずおずと上半身を起こした。まるで怒られやしないかと怯えているかのようだ。


 全裸乳首丸出し。これはこれで絵面がヤバい……。男の子であってくれ……。


 ちらっ。


 俺は一瞬だけその子の股間を見たが、ぴったりと股を閉じて正座をしているから性別は分からない。


「ふむ。獣人奴隷か」


 いつの間にか服を着終えたシャルロットが俺の隣にやってきた。


「そうなの?」


「ああ。その子は奴隷魔道具の首輪をつけている」


「本当だ……」


 乳首や股間を気にしていて、全然気づかなかった。


「……とおりあえず服を着よう」


「はいみゃ」


 俺はいかにもファンタジー貴族の子弟っぽい感じの服を着た。

 獣人の子はいかにも獣人奴隷といった感じのボロい服を着た。


 ガサガサッ!


 不意に茂みが鳴ったかと思ったら、中から不審な男が5人ほど現れた。


 獣人の子がびくっと驚き、俺の背後に隠れた。


 ハゲた眼帯男が前に出てくる。


「へっへっへっ。奴隷のくせに逃げやがって。おい、お前ら、そいつは俺たちの商売道具なんだ。痛い目にあいたくなかったら、渡しな」


 獣人の子が俺の服をつかんできた。可哀想に。震えているのが伝わってくる。


 俺は小声でシャルロットにたずねる。


「あいつらをぶちのめしたら犯罪になる?」


「……ああ。悔しいが彼らが正当な手段で得た奴隷ならば、この子は彼らにとっての所有財産となる。それを奪えば我らが犯罪者となる」


「そうか。なら迷うことはないな」


 俺はポケットから宝石を出して、とりあえず1つ、男に向かって投げる。


 男はそれをキャッチした。


「おおっ! これは、魔除けの効果があるとされるサファイア! かなり大きくて質も良さそうだ」


「この子を買いたい。足りるか?」


「くっくっくっ。じゅうぶん足りる。だが、生憎と俺はボスの命令で奴隷を集めている手下のひとりに過ぎない。契約を変えて奴隷の主をお前にすることはできるが、こいつを奴隷という身分から解放することはできない」


「……どういうことだ?」


 男よりも先にシャルロットが答える。


「アーサー。そいつは、主に黙って奴隷を横流しすることはできるが、この子の奴隷の首輪を外す権限がないのだ。奴隷化スキルと、魔道具『奴隷の首輪』は別の力だ」


「ほう。詳しいな。お前がこの辺りを嗅ぎ回っている女騎士か」


「さあな」


「……よく分からないが、どうしたらいいんだ?」


「アーサーがその子の主になれ。そうすれば、少なくとも奴隷商のところに連れて行かれて非道な目に遭うことはなくなる」


「分かった。そういうことだ。その子は俺が買う。サファイアだけで足りるか?」


「逆に聞くが、あとから釣りを寄越せなんて言うなよ?」


「ああ。交渉成立だな」


 眼帯ハゲ男は主に内緒で小遣い稼ぎができたことが嬉しいらしく、ゲスな笑みを浮かべた。俺は、その表情で男の本心というか性根というか、隠さない素直な感情を見た気がして、信用できた。


 なんの裏もない。

 こいつはただの小悪党だから、サファイアを対価にして、俺に奴隷を譲ってくれる。


「へへへっ! あんたの名は?」


「アーサーだ。家名はない」


「いいだろう。そっちの綺麗な姉ちゃんが証人だ」


「良いだろう。シャルロット・リュミエールがこの場の証人となる」


 彼女が名乗った瞬間、男たちが顔色を変えて軽くざわついた。


 場を仕切っている眼帯ハゲ男だけは、すぐに表情を消した。

 男は懐から何かしらの木の板を取りだす。


「奴隷商マダライは獣人シャティとの奴隷契約を解除する! シャルロット・リュミエールを証人とし、アーサーを獣人シャティの新たな主とする!」


 パキッ!


 奴隷商マダライを名乗った眼帯ハゲ男が木の板を割った。すると、不可視の霧が広がるかのように何かしらの魔法が発動した。見えない魔力がシャティを包んだ。


「へへへっ。これで契約は完了だ。随分ともうけさせてくれたからいいことを教えてやる。すぐ近くにザマーサレルクーズ家があったんだが、そこに行く途中なら無駄だぜ。引き返しな。牛頭巨人(ミノタウロス)に襲撃されて全滅だ」


 親切心で教えてくれたのだろうけど、既知(きち)の情報だからどうでもいい。男たちは森の中に去っていった。雰囲気ある退場シーンだけど、せめて道を歩けよ。

 それほど高くない山の森だけど、そんなところ行ったら迷うぞ。


 俺は獣人の子に向き直る。


「君はシャティって言うんだね? 俺はアーサー。よろしくね」


「シャティです。よろしくみゃ……」


「私はシャルロット・リュミエールだ。よろしく頼む。アーサーよ。この子に名前を与えてくれ」


「え?」


「シャティというのは、奴隷商たちの間で使われている、猫タイプの獣人奴隷を意味する言葉だ。獣人たちは匂いで個人を識別するから名前を持たない。これからしばらく行動を共にすることになるのだから、アーサーが名前を与えるんだ」


「あ。そうなんだ」


 俺はシャティを足元から上へと眺めていく。


 正面からだが、体の後ろに尻尾が揺れるのがちらっと見えた。


 ボロキレワンピースのお尻に穴が開いていて、そこから尻尾を通しているのか?

 それともスカート部分が尻尾に引っかかってめくれていて、お尻が丸出し?


 とりあえず服を買ってあげたいな。


「お尻に穴が開いているのか?」


「は、はいみゃ……」 ← 何故か顔を赤くする。


「アーサー。当たり前のことを聞いてどうするんだ?」 ← 何故かあきれ顔。


「いや、でも、必要なことだ。お尻に穴がなかったら入れられないだろ?」


「あ、穴、あるみゃ。使ってくださいみゃ……」 ← さらに顔を赤くする。


「いっ、いれっ、いれっ……! ステータスを見せあった私とすらまだなのに、こ、こんな小さな子の! 子を成さない方に?!」


 シャルロットがいきなり俺の肩を掴んで揺さぶってくる。早口すぎて何を言っているのか分からない。


「お、おう。何か誤解させたようだ。(尻尾を)穴に《《入れる》》ではなくて、(尻尾を)《《出す》》って言った方が正しいよな」


「ふみゃあ……。そういうご奉仕をしろと言われてるから、覚悟はできていみゃすみゃ……」 ← 俯いてしまったから表情はもう分からない


「そ、それは、最終的には出すのかもしれないが、そ、そういうのは、私と先に……!」 ← 慌てすぎて顔真っ赤で怒っているようにも見える


 いったい、なんなんだ。


 もしかして、俺、なんかやっちゃいました?

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