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ステータスウインドウ無双。異世界で最もスマートな使い方  作者: うーぱー
第4章:巨大死体の片付けで現代知識無双?
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19話。酔っ払いどもが「キース!」連呼し始めた。誰だよキース……。何故シャルロットが目を閉じるんだ?

「ん。アーサーさん。家から追放されたと言っていたが、家族はもう牛頭巨人(ミノタウロス)の腹の中なんだろ? なら、やはりあんたが次の領主になるんじゃないのか?」


「どうなんだろう」


「領主になるなら、やっぱ、俺の妹をもらってくれ!」


「俺の娘はどうだ? 胸がでっかいぞ!」


「俺の姉はどうだ? 未亡人だから、夜はきっと上手いぞ!」


「いやいや。だったらやはり俺の娘を嫁にしてくれ。もちろん生娘だぞ!」


「おいおい。俺の手は2本だぜ。おっぱい揉む手が足りねえよ!」


 あははははっ! × たくさん


 笑いを誘えたから俺は調子にのって、立ち上がる。


「俺のち*こは1本しかないんだぜ! ドーンッ!」


 腰を曲げて、ズボンの中に突っ込んだ右拳を内側からつきあげてドーンとやる(※)。


 ※:動画配信者としても大成功しているレジェンド芸人のギャグ。ち*こがでっかくなったように見える。前世が配信者の俺は、当然、彼のギャグを知っている。


 ぎゃははははっ! × たくさん


「スゲえ! でかすぎ!」


「どうなってんだ、それ!」


「やっぱ俺の妹はやれねええっ!」


「アーサー! アーサー! アーサー!」


「いやあんっ! 俺のより大きいぃ~」


「アーサーのでっかいちんこに乾杯!」


「乾杯ッ!」 × たくさん


「ぎゃははははっ!」 × たくさん


 超絶ウケた。

 異世界人が初めて見るギャグなのだろう。

 ある者は腹を抱えて、ある者は泣きながら、またある者は手を叩きながら、笑った。


 街から脅威が去ったんだ!

 笑おうぜ!


 だが、この最悪のタイミングで――。


「随分と楽しそうだな。アーサー」


「ミャーサー……」


 ひゅっ――。


 俺は息をのみこみ、恐る恐る振り返る。


 路地にシャルロットとサフィがいた。

 へへっ。幻覚であってくれよ。


 一瞬で酔いが覚めるとは、こういう感覚か。

 脳と体が冷えてきたぜ。


 転生したばかりの俺はアルコールを飲んだのが初めてなので、想像以上に酔っていたようだ。本来の俺なら、ドーンなんて下品なギャグはしない。


 大丈夫だ。落ち着け。

 ふたりは俺の後ろから来た。

 股間ドーンは見えていなかったはずだ。


『随分と楽しそうだな。アーサー』という言葉はそのままの意味だ。他意はないはず。楽しそうな状況を言葉で表現しただけだ。『なに下品なことしてんだ、この馬鹿』という意味はないはずだ。


 ここは勢いとノリで押し切る!


「おおっ! サフィ! 可愛いな! 仕立て直ししてもらった服だな! ぴったりだ! 白いドレスに首元の赤いリボンが映える! 腰のベルト? 帯? そこについたおそろいのリボンも可愛い。ソックスも女の子っぽいし、凄く似合ってるよ! 白で統一されたコーディネートが銀髪に似合っているね!」


「みゃ! 嬉しいみゃ」


 サフィがちょっと頬を赤くした。耳がぴこぴこ動く。

 しっぽの反応は大きく、正面からでも毛先が見えるほど、わっさわっさと左右に揺れている。

 よし。サフィからの好感度は下がっていない。


「シャルロット。お疲れ様! サフィの可愛い服は、シャルロットが選んでくれたのかな? いいセンスだね! さすが!」


「……ああ」


 テンション低ッ……!


 俺は彼女の気分を少しでも高揚させようと、明るく言う。


「お酒や料理の手配、ありがとうな。みんな盛り上がってるよ!」


「サフィばっかり、ずるい……。私は褒められてない……」


 シャルロットはすねたようにそっぽを向いた。


 ん?

 いや、牛頭巨人(ミノタウロス)と戦ったときに『美しすぎて見とれていた』みたいなこと言ったら、お前照れ照れだっただろ?

 褒めまくってるだろ?

 記憶リセットされてるのか?


「アーサー様! 褒めてやれよ!」


「おい、アーサー! 褒めろ!」


「アーサー! そんな美人に何を言わせてるんだ!」


甲斐性(かいしょう)を見せろ!」


「ドーンしろ! どんな女もいちころだ!」


「アーサーのドーンで、美人を開門だ!」 ← 下ネタ


破城槌(はじょうつい)! 破城槌(はじょうつい)! 扉を貫け!」 ← 下ネタ


「聖剣! 聖剣! エクスカリバー! エクスカリバー!」 ← 下ネタ


「おいおい。エクス(外へ)カリバー(鋭い剣)は駄目だろ。岩の割れ目から抜いたからエクスカリバーだ。割れ目に挿入()れるんだから、インカリバーだ!」 ← 下ネタ


「インカリバー! インカリバー! 淫! カリ! (バー)!」 ← 下ネタ


「ぎゃははははっ!」 × たくさん


 がっ、外野め!

 完全に俺をおもちゃにするつもりだ!


 俺は外野をいったん放置して、シャルロットに言う。


「えっと……。もう何度も言っていると思うけど、シャルロットは綺麗だよ。俺はいつも君に目を奪われている」


 くぅ~っ。

 自分で言っておきながら奥歯やけつの穴がむずむずする~っ。


 周囲の野郎どもが「ひゅーっ! ひゅーっ!」とはやし立ててくる。ひゅーひゅー文化あるのかよ……!


 シャルロットはうつむき、ぼそっとつぶやく。


「……可愛いって言われたい」


 くっそ。外野がうるさくて聞こえない!

 ハワイに行きたい?

 この世界にハワイがあるのか?

 もしくは、異世界翻訳機能でハワイって翻訳されているだけで、ハワイに相当する観光地があるのか?


「キース!」


「キース!」


「キース!」


 兵士たちが手を打ち鳴らし始めた。


「……キース? いきなり誰のことだ?」


 ガ*ダムの脇役でいたよな?

 眼鏡をかけている、にんじん嫌い主人公の相棒ポジションのやつ。ゲームでクソザコ性能過ぎて攻略本に「こいつを使う理由なんてない」と書かれたやつ。


「ん? どうした?」


 シャルロットが正面から近づいてくる。


「え? あれ? シャルロットも酔ってる? 顔真っ赤だぞ?」


「べ、別に、\キース!/キス\キース!/しないと周りが収まらないだろうから、いやいや、するわけじゃないんだからな」


「キース!」「なにが?」「キース!」


「わ、私が、お前としたいからするんだ……」


「キース!」「だから誰だよキース!」「キース!」


「いい加減、落ち着け酔っ払いども! くらえ! ステータスオープン、乱れ撃ち!」


 俺は上半身をひねり、ステータスウインドウを兵士たちに向けて放つ。


「うわあっ! まぶしいっ! まぶしいっ!」


「ぐあああああああああああああっ!」


「目が! 目がああああっ!」


「ぎゃああああああああああああっ!」


「まったくもう。え?」


 シャルロットが俺の背中に腕を回してきた。

 俺の体はフリーズする。

 か、顔が近づいてくる。


 なんでまぶたを閉じるの、うっわまつげ、なっが!


 ちゅっ……。


 ?!


 唇のあたりから湿った音がして、俺は意識を失った。

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