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ラストリモート〜失われし読書魔法(リーディング・マジック)と金髪幼女で挑む迷宮配信〜  作者: 神崎 ライ
第十章 三人に迫る因縁

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第5話 瑛士VSルナ 第一ラウンド

 音羽とルリがタブレットを見ながら盛り上がっている時、瑛士とルナの緊張は最高潮に達しようとしていた。


「降伏するなら今のうちだぞ?」

「キュー、キュキュ」

「あ? それはこっちのセリフだと? お前ごときが俺にかなうと思ってるのか?」

「キュ、キューキュキュ」

「弱い犬ほどよく吠えるというもんだって……この野郎! 言わせておけば言いたい放題言いやがって!」

「キューキュ」

「上等じゃねぇか……思い上がったその鼻をへし折ってやる!」


 ヒートアップしていく二人の様子に、配信を見ているリスナーのコメントはどんどん盛り上がる。


 《チャットコメント》


『いいぞwwwもっとやれwww』

『この勝負……俺はルナちゃんの大勝利で終わると予測w』

『ここはご主人の威厳を見せるところだぞw』

『こんなボーナスステージが見られるとはwww』

『ルリ様たちの予想も知りたい!』


 配信画面を見ていた二人は、次々と投稿されるコメントを見ながら必死に笑いをこらえていた。


「ル、ルリちゃん。この勝負の予想を聞きたいって。ぷぷっ」

「笑うのは反則なのじゃよ……わ、わらわの予想は……あはは! もう無理なのじゃ!」

「あー! もう我慢できない! あはは! こんなの予想しろって無理があるじゃないの!」

「そうなんじゃ! 勝負する前から勝敗なんて決まっておるのじゃ!」


 我慢の臨界点を越えた二人が声を上げて笑う様子が映し出され、コメント欄はさらに盛り上がる。


 《チャットコメント》


『ルリ様が爆笑しておられるぞ!』

『ミルキーさんもつられて笑っておられるという事は?』

『これは決定だなwww』

『間違いないwwwご主人、今までご苦労だったな』

『ルナちゃんの勝利確定演出www』

『最初から分かっていたけどなwww』


 あまりに辛辣な書き込みに対し、二人が爆笑していると目の前に人影が現れる。


「おーまーえーらー! 人をなんだと思ってるんだよ!」


 二人が恐る恐る顔を上げると、鬼の形相をした瑛士が腕を組んで立っていた。その迫力は先ほど怒っていた時とは比べ物にならないほどの覇気をまとっていた。


「げっ、ご主人に見つかったのじゃ!」


 なんとか話を逸らそうと試みるルリだったが、今の瑛士には一切通用しない。


「ほうほう、見つかってマズいようなことでもあったのか?」

「ええっと、それはじゃな……」


 滝のような冷や汗を流し、目をそらしてしどろもどろに答えるルリを見て、音羽が横から助け船を出す。


「……ところで瑛士くん、もう決着はついたのかしら?」

「決着か……さあ、どうだろうな? それよりもクソデカボイスでゲラゲラ笑っている奴がいたもんでな」

「へ、へえ……そんな()()()()がいるのね」


 瑛士から鋭く睨まれると、明後日の方向に視線を逸らす音羽。


「そうなんだよな。しかもどうやら配信までしていたようだしな? ずいぶん盛り上がっていて、楽しそうだな?」

「そうね……今も結構盛り上がってるみたいだし?」


 目を逸らした音羽が苦し紛れに言葉を濁した時、コメント欄がさらにお祭り騒ぎとなる。


 《チャットコメント》


『おいおい、バレたwww配信事故くるぞwww』

『逃げろルリ様! 我らが盾になるのだ!』

『考察班、今の表情スクショして! ご主人の眉、ピクって動いた!』

『お納めください、ご主人www生贄ポイントMAXwww』

『ルナちゃんの勝利演出どころか、これは炎上案件www』

『いやこれ、神回の予感しかしないんだが』

『#ご主人の逆襲 トレンド入り確定w』


 盛り上がり続けるコメント欄を見て、瑛士の怒りはリスナーにも火を噴き始める。


「テメーら……黙って見ていれば好き勝手言いやがって!」


 画面を睨みつけながら怒鳴る瑛士に対し、音羽とルリがため息をつきながら呟く。


「ご主人……タブレットに向かって叫んでも意味がないのじゃ……」

「気持ちはわかるけど、リスナーに向かって怒鳴ってもねえ」

「間違いないのじゃ。また玩具にされるのが目に浮かぶのじゃ」


 タブレットを握りしめ、映し出される自分の顔に向かって大声で怒鳴りつける瑛士。その様子を見たリスナーが、面白がって煽るようなコメントを書き込みだす。その様子をあきれた様子で眺めている二人。


「人間って怒ると周りが見えなくなるって言うけど、ホントだったのね」

「自分に向かって怒鳴りつけるなんて芸当、なかなかできないと思うのじゃ」

「そうね。本人はリスナーに向かって文句を言ってるつもりみたいだけど……カメラって頭の上を飛んでいるドローンだもんね」


 音羽が視線を向けた先にいたのは、空中でホバリングしているドローン。録画用の赤いLEDが点滅しながら瑛士を映し続けていた。


「ん? 目の錯覚かのう?」


 撮影用のドローンを見ていたルリが、左手で目をこすりながら奇妙なことを言い出した。


「どうしたの? 何かおかしなことでもあった?」


 首をかしげて不思議そうな顔をしているルリに対し、音羽が声をかける。


「あのドローンの少し上の辺りなんじゃが……なんか、()()()()()()おらんか?」


 ルリの言葉に音羽が目を細めた視線の先、水面が揺らぐように不自然な空間が現れていた。


「……なるほどね。私を欺こうなんて、いい度胸してるじゃない」


 音羽の声が、先ほどまでの柔らかさを失っていた。


「ルリちゃん、今すぐ下がって」

「え? わ、わかったのじゃ……!」


 笑顔で話していた音羽の表情が急に真剣なものに変わり、周囲の空気が一気に冷たくなる。ただ事ではない事態に気が付いたルリが、困惑した様子で数歩後ろに下がると無言で柄に手を添える。次の瞬間、一筋の光が空中に走り、すると金属がぶつかり合うような音が響く。


「やっぱり……」


 空間が斜めにずれ始めた隙間が広がると、配信用とは比べ物にならない大きさのドローンが姿を現した。

 いったい誰が何の目的で擬態させていたのか? その答えはすぐに明らかになった……

最後に――【神崎からのお願い】


『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非宜しくお願い致します。

感想やレビューもお待ちしております。

今後も本作を書いていく強力なモチベーションとなります。感想を下さった方、評価を下さった方、本当にありがとうございます!

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