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ラストリモート〜失われし読書魔法(リーディング・マジック)と金髪幼女で挑む迷宮配信〜  作者: 神崎 ライ
第十章 三人に迫る因縁

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第1話 感動の再会?

「音……ミルキー先輩、落ち着くのじゃ」

「ルリちゃん、ルリちゃん……ほんとに生きているんだよね? 本当に良かったよ!」

「わらわは大丈夫じゃから! それとちょっと苦しいのじゃ」


 声を上げて泣きじゃくる音羽を落ち着かせようとルリが試みるが、一向に収まる気配はない。それどころか、体に回した両腕にどんどん力が込められて締め上げられ始める。


「ミルキー先輩、ストーップなのじゃ! 心配させたのは申し訳ないのじゃが、どんどん腕に力が……」

「え? あ? ご、ごめんね!」


 悲痛な声に反応した音羽が慌てて手を放すと、ルリは大きく息を吐いて話しかける。


「ぷはぁ……死ぬかと思ったのじゃ……」

「ルリちゃん、ごめんなさい……鉄牙狼(ラグナ=フェンリル)が放った最後の一撃が本当に危なかったから……」


 音羽が申し訳なさそうな表情で話し始めると同時に、スマホの通知が鳴り響く。


 《チャットコメント》


『ルリ様がご無事だぞ!』

『さすがルリ様! 見事帰還された! 祭りの開催だ!』

『神がかっているじゃねーよ! 神に決まってるだろ!』

『ルリ神様が誕生した! おまいら讃え崇めよ!』

『なんでお前が仕切ってるんだよwww』

『ルリ神様の第一信者はファン一号のおでがなるのだ! ぐふふ』

『通報しましたwww』

『おでが何をしたというんだ! まだ何もしてない』

『言質取ったぞwww』


 ものすごい勢いでチャットコメントとスパチャが流れていく様子に、二人は顔を見合わせて笑い声をあげる。


「何これ! みんな喜ぶのはわかるけど……ルリちゃん、神様になってる! あはは!」

「ははは! わらわはついに神の領域に達したというのじゃな!」

「ほんとに神になれるかもね!」

「ははは! さあ下僕どもよ、わらわを崇めるのじゃ!」


 二人の笑い声が一段落したとき、画面に流れたコメントのひとつに音羽の視線が止まった。


「へえ……私以外にも気がついた人がいるとはね」


 急に真剣な声で呟く音羽を見たルリが、不思議そうな顔で聞き返す。


「どうしたのじゃ? 何かおかしなコメントでもあったかのう?」

「ええ、このコメントよ。『ルリ様が突っ込みかけた時、鉄牙狼の首筋に光が走ったように見えたけど……何か関係があるのかな?』ってね」

「そうじゃった! ミルキー先輩から逃げろって言われた時に、何かがすごい速さで横切ったんじゃ。その直後、鉄牙狼の魔力が一気になくなってのう……わらわが眉間に槍を突きさすと、首が横にずれて頭と体がサヨナラしたんじゃよ。てっきり先輩が斬撃を放ったと思っていたのじゃが」

「やっぱり……その光の正体は私じゃないわ……」

「なんと!? それでは誰の仕業なのじゃ……」

「わからないわ……いくらなんでも、私でも間に合わないと覚悟を決めたんだもん……」


 二人が難しい顔をして話し込んでいると、チャットコメントは再び盛り上がり始める。


 《チャットコメント》


『あの斬撃はミルキーさんじゃないだと?』

『何のこと言ってるかわからないから、映像見てくる』

『マジか……ルリ様は突っ込んでいたし、斬撃は横から飛んでただろ?』

『今見てきた。ミルキーさんは剣を構えていたけど、斬撃を撃てるような状態じゃなかったな』

『じゃあ……あの光は?』


 視聴者たちも映像を見返したりしながら、光の正体を特定しようとしていた。しかし、どこから飛んで誰が放ったのかはわからなかった。


「映像を見てもわからないとなると、ますます謎よね」

「まさか……エリアボスに敗れた者の怨念とかじゃないじゃろうか……」

「それはないと思うわよ。そんな話は聞いたことないし」


 二人が同時にため息をついたとき、沈黙を破るように小さな鳴き声が足元から聞こえてきた。


「キュー?」

「おお! ルナではないか!」

「キュ、キュー!」

「いままでどこに行っておったんじゃ。急にいなくなったから心配したんじゃぞ」


 足元にすり寄るルナを抱き上げた時だった。音羽がルナの前足に何かの毛が付いていることに気がつく。


「ルナちゃん、前足に何かついているわよ」

「キュー」


 何気なく音羽がルナの前足についていた毛を取った時、その正体に言葉を失った。


(え? なんで鉄牙狼の毛が?)


 怪訝な顔で手に持った物を眺めていると、不思議そうな顔をしたルリが話しかけてきた。


「どうしたんじゃ? 何かおかしなことでもあったかのう?」

「え、あ、何でもないのよ……」

(いったいどういうことなの? エリアボスと戦っている様子はないし、そんな気配は全然なかった……まさか()()()()()()()のはルナちゃん? いやいや、そんなことがあるわけがないわ……)


 頭の中で様々な可能性が渦巻き、時が止まったかのように固まってしまう音羽。その様子に違和感を感じたルリが声を掛ける。


「ミルキー先輩? どうしたんじゃ? おーい」


 ルリが何度も話しかけるが、音羽から反応は一向に返ってこない。彼女が困り果てていると、草むらの奥で微かなざわめきが起こった。


「あー、ひどい目にあった……音羽の野郎……何が“ちょっと凶暴”だ……死ぬかと思ったわ」

「あ! ご主人が来たのじゃ!」


 ルリが声を上げると同時に、草むらの中から現れたのは、全身に擦り傷と噛み跡が付いた瑛士だった。


「ご主人、無事じゃったのじゃな!」

「この姿を見て、どこが無事なんだよ……」

「あら? 瑛士くんじゃない……どうしたの! 誰にやられたのよ!」


 瑛士の姿を見て我に返った音羽が、驚きの声を上げる。


「……お前のせいだろうが」


 怒りだけでなく、様々な感情が入り混じった瑛士の声が静かに響く。

 彼女たちが鉄牙狼と戦っている間、彼の身に何が起こったのか?

最後に――【神崎からのお願い】


『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非宜しくお願い致します。

感想やレビューもお待ちしております。

今後も本作を書いていく強力なモチベーションとなります。感想を下さった方、評価を下さった方、本当にありがとうございます!

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