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ラストリモート〜失われし読書魔法(リーディング・マジック)と金髪幼女で挑む迷宮配信〜  作者: 神崎 ライ
第九章 初めてのエリアボス戦

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第5話 音羽の暴走Return

 瑛士が怪訝な顔で音羽に抱かれている翠を見ていると、視線に気が付いた音羽が話しかけてきた。


「どうしたの? そんな怖い顔して……は! まさか翠ちゃんに私が取られると思って嫉妬してるの?」

「なんでそうなるんだよ!」

「だって、こんなにモフモフで可愛くて人懐っこくて……でも、安心して! 私が靡くなんてことはないから」

「何を安心するんだよ……いや、翠がお前に懐いているのであれば別に問題はないのだが……」

「そういう事ね! 翠ちゃんに()()()()()()()というこに違いないわ! もう、瑛士くんったら……これは早くお義父様にもご挨拶に伺わないといけないわね!」

「どうしてそんな解釈になるんだよ!」


 拡大解釈どころか事実すら捻じ曲げ始める音羽。思わず瑛士がツッコミを入れるが彼女の耳には届かず、妄想をどんどん膨らませていく。


「お義父様にご挨拶しなきゃいけないのに、なんで私は手土産の一つも持ってこなかったんだろ……うちの親どもは事後報告でいいとして、やっぱり瑛士くんのご家族にはちゃんと筋を通しておかないとね。そう言えば迷宮の中にいらっしゃるはずだし……ここは手料理をふるまってがっちり胃袋を掴むべきよね。食材の調達をどうするか考えないと……」

「おーい、音羽さん? 聞こえてますか? もしもーし」


 笑顔になったかと思うと急に難しそうな顔になったりと、表情が次々と変わる音羽。その様子を見て瑛士が恐る恐る声をかけるが、全く聞こえていないようで独り言をつぶやいている。どうすることもできずに途方に暮れていると、ルリが近づいてきた。


「音羽お姉ちゃん、またスイッチが入ったようじゃの。こうなってはしばらく戻ってこないのう」


 小さく息を吐き、呆れた様子で音羽を見つめていた。そして、瑛士に向き直ると真剣な顔で話しかけてきた。


「そうそう、ご主人に聞いておかねばならぬことがあったぞ」

「やけに真剣な顔してるが、どうしたんだ?」

「うむ、この後討伐に向かうエリアボスについてなのじゃが……どんなモンスターが待ち構えているのかちょっと気になったのじゃ」

「そうだった。何も説明していなかったもんな」


 ルリの真剣な表情を見て、瑛士も真剣な表情になるとゆっくり説明を始める。


「エリアボスは五階層ごとにいるというのは、以前話したよな?」

「うむ、それは聞いているのじゃ。五階層が最初のボス戦になるわけじゃな」

「まさしくその通りだ。低階層とはいえ油断していると大けがをすることになる。待ち構えているのは、鉄牙狼(ラグナ=フェンリル)と言われるオオカミ系のモンスターだ。大きさは俺の二倍近くの体格で、動きが素早い。ピンチになると咆哮を上げ、子分のオオカミを召喚してくるのがやっかいな相手なんだ」


 瑛士の解説を食い入るように聞いていたルリが、突然話を遮るように声を上げた。


「説明の途中で申し訳ないが、質問をしてもよいかのう?」

「ん? どうした?」

「ご主人の話を聞いていて、ピンチになったらモンスターを召喚してくるんじゃろ? 何度も召喚されてはこちらが疲弊してしまうんじゃなかろうか」


 ルリが困ったような顔で問いかける様子を見て、口角を吊り上げ笑みを浮かべる瑛士。


(いい着眼点をしているな……迷宮攻略を始めたばかりの初心者とは思えない)

「いいところに気が付いたな。たしかに()()()()()()()()()()()雑魚処理に追われて鉄牙狼に回復する隙を与えてしまう。ましてや手間取っていたらこちらがじり貧だ。さて、ここでルリに質問だ。極力仲間を呼ばせず、ボスを倒すにはどうしたらいいと思う?」

「む……正攻法で戦っていてはいずれ手に負えなくなるのじゃ。しかし、相手はエリアボス……地の利は向こうにあるのは明白なのじゃから……」


 腕を組み、顎に手を当てて瑛士から投げられた最適解を考えるルリ。低階層のボスとはいえ、相手は百戦錬磨のモンスターである。相手の裏をかくような戦術を見つけなければ、あっという間に仲間を呼ばれて追いつめられるのは明白だった。様々な可能性を考えていると、見かねた瑛士が助け舟を出してきた。


「ずいぶん難しく考えているようだが……()()()で戦えとは言っていないぞ? 俺や音羽もいることを忘れていないか?」

「へ? ご主人たちも一緒に戦うのか?」

「お前な……いくら何でもエリアボスを一人で撃破してこいなんて無茶ぶりするわけないだろうが」


 肩をすくめて呆れた様子で瑛士が話しかけると、ルリの顔が一気に明るくなる。


「そうだったのじゃな! わらわだけで撃破しなくてはならないと思っていたのじゃ」

「お前な……人の話はちゃんと聞けよ」

「ん? ご主人は一緒に戦うとは一言も言っておらんかったぞ?」


 不思議そうに首をかしげるルリに対し、額に右手を当てて大きなため息を吐く瑛士。すると何かを閃いた彼女が自信たっぷりに話しかける。


「三人がいるのであれば、話は別なのじゃ。すごい作戦を思いついたのじゃからしっかり聞くとよい!」

「お前が思い付くパターンって大体ろくなことがないが……まあいい、じっくり聞かせてもらおうか?」


 苦笑いを浮かべた瑛士が話しかけると、胸を張ってルリが口を開く。

 彼女が閃いたエリアボス攻略法とはどんな戦術なのか――

最後に――【神崎からのお願い】


『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非宜しくお願い致します。

感想やレビューもお待ちしております。

今後も本作を書いていく強力なモチベーションとなります。感想を下さった方、評価を下さった方、本当にありがとうございます!

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