幕間① 動き出す黒幕
瑛士たちが迷宮の説明を受けていた同じ頃、とある建物の一室。真っ暗な部屋の壁一面に設置されたモニターには、迷宮内やその周辺の様子が映し出されていた。
「やっと見つけた……今までどこに雲隠れしていたのか知らないけど、わざわざ自分から飛び込んできてくれるとは助かるわね。リスク承知でハッキングをした甲斐があったわ」
暗闇の中、椅子に座った女性が、瑛士とルリの映し出された映像を食い入るように見つめている。
「まさかいわくつきも一緒とは……好都合ね。私の研究を台無しにしてくれた恨みは、忘れてないわ。でも、動くのはまだよ。今度こそ成功させなければならないのだから……」
モニターの光に照らされたその顔には、黒い笑みが浮かんでいた。
「迷宮攻略を楽しむといいわ。まあ、無事に帰れるとは思えないけどね……ふふふ」
不気味に笑う彼女だったが、その表情は次第に、怨嗟に歪んだものへと変わっていく。
「稀代の天才科学者の称号を手に入れるのは、私だったのに……! なんでアイツの功績になってるのよ! クソッ、わざと実験を失敗させて、迷宮の最深部に閉じ込めた意味がないじゃない!」
キーボードに両手を叩きつけ、勢いよく立ち上がった彼女は、モニターを鋭く睨みつけた。
「フフフ……このチャンスをモノにするのは、私よ! そう、迷宮を出現させた“功績”を、今度こそ認めさせるために!」
何かを閃いたかのように、その顔は憎悪に歪み、狂気を帯びた高笑いが室内にこだました。
――数か月後、瑛士たちがこの女と迷宮内で激しい戦いを繰り広げることになるとは、誰も予想すらしていなかった。
最後に――【神崎からのお願い】
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