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ラストリモート〜失われし読書魔法(リーディング・マジック)と金髪幼女で挑む迷宮配信〜  作者: 神崎 ライ
第五章 失われた魔法『読書魔法(リーデング・マジック)』

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第7話 配信アーカイブの異変

「ご、ご主人……これはいったいどういうことなのじゃ……」


 コメントを見たルリが困惑した様子で瑛士に問いかける。


「……見ての通りだ……()()()()()何をしても罪に問われない。たとえ人を殺してしまってもな」

「な……そ、そんなことは許されないのじゃ! そうじゃろ音羽お姉ちゃん?」


 瑛士の言葉を聞いたルリは語気を強めながら音羽に同意を求める。


「残念だけど……瑛士くんの言う通りなの……」

「どうしてなのじゃ……そんな無法地帯になっていたら……わらわの探し物も……」


 目に涙をためたルリが声をつまらせていると、大きなため息を吐いた瑛士が静かに答える。


「無法地帯にはならねーよ。さっき俺が言った『人を殺しても』はあくまでも極論だ。そもそも迷宮内で起こったことは治外法権だが、故意に人を殺せば迷宮を出た時点で警察に捕まるぞ。さて、ここでルリに問題だ、なぜ()()にやったことが立証されると思う?」

「え? 故意にやったことが立証されるじゃと? 迷宮内であれば証拠隠滅も容易いはずじゃし……ましてや運よく人が見ていることがない限り証言する人もおらんわけじゃし……」


 腕を組みながらしかめっ面で考え込むルリを見た音羽が助け舟を出す。


「ルリちゃん、難しく考えすぎよ。もっと簡単に考えてみたら?」

「もっと簡単にじゃと? しかし、目撃者もいない状況でどうやって証言を得るというのじゃ? 犯人が自白するとは思えんし……」

「そうね。やった本人が『私がやりました』なんて馬鹿正直に言うわけは無いわ。でも、なにか大切なことを忘れていない? そうね……ルリちゃんは何をファンに見せたいんだっけ?」

「そんなの決まっているのじゃ! 下僕どもにわらわが迷宮内で無双する姿を……あっ!」


 目を見開いてルリが声を上げると、瑛士が呆れた表情で話しかける。


「ようやく気がついたか?」

「そうじゃ! 迷宮の様子は常にドローンカメラが配信しておったのじゃ。それにそんな目立つことをしていたら全部筒抜けなのじゃ!」

「そうだ。迷宮内で起こることは全世界に配信される。それに迷宮に入る前に受付をしたのを覚えてないか?」

「うむ、何やら書類を書かされたな。それと謎の機械に両手を突っ込んだのも覚えているのじゃ」

「あの機械には俺達の生体情報を登録してあるんだ。何月何日の何時何分に誰が迷宮に立ち入ったのか、いつどうやって迷宮を立ち去ったのかまで事細かにな。万が一、意図的に誰かを陥れたとしても、すべて記録して共有されるというわけだ」

「なるほどなのじゃ! 悪いことはできぬということじゃな!」


 瑛士の説明を聞いたルリが得意げな表情で納得していると、音羽がある疑問をぶつけてきた。


「ねえ、ちょっと聞いてもいいかしら?」

「どうした? そんなに怖い顔をして、なにか問題でもあったか?」


 険しい表情で鋭い視線を向ける音羽に対し、刺激しないように声をかける瑛士。


「瑛士くんの説明だと納得できないことがあってね……全世界に迷宮内の様子が()()()()()()()んでしょ? それなら三階層で起こったことの説明がつかないじゃない。私のドローンカメラには行方不明になった二人の姿、さらにはいるはずのないストーン・ゴーレムの姿もバッチリ記録されているわよ。これを見て……どう説明するの?」


 音羽がテーブルに置かれたキーボードとマウスを操作すると、画面に三階層で瑛士が賢治と話している様子が映し出される。


「なんでこんな映像が……いつの間にドローンを仕込んでいたんだよ!」

「え? 将来を誓い合った人に悪い虫が纏わりついたら大変でしょ?」

「どういう意味だよ……そんなことよりも、こんな近くを飛んでいるならさすがに気がつくぞ?」

「あ、そのあたりは企業秘密だから。まあ、介抱したのが男の人で良かったわね……もし女の人だったら……」


 俯いて何かを呟きながら、親指の爪を口に当てる音羽。やがて歯ぎしりに似た音がリビングに響きはじめる。


「ほんと命拾いしたわね、あの遥香とか言うババア……わたしの瑛士くんに近づこうものなら亡き者に……」

「音羽さーん? なにか物騒なこと言ってますが、大丈夫ですか?」

「はっ! 私としたことが……おちゃめな冗談よ、フフフ……」

「いや、めちゃくちゃ本音だろ……それよりもお前の撮った映像には二人がしっかり写っていたと言いたいんだな?」

「ええ、そうよ! これがその証拠じゃない!」


 音羽が画面を指さしながら食い下がる。すると、小さく息を吐いた瑛士が歩み寄り、彼女の肩を軽く叩いて声を掛ける。


「なるほどな……俺の口から説明するよりも実際のアーカイブを見せたほうが納得するだろうな。音羽、ちょっとマウスを借りるぞ」

「え? あ、うん……あれ? 私、瑛士くんに肩を触られちゃった? 積極的なスキンシップをしてもらえた?」


 顔を赤くし、腕を回してニヤけながら身体をくねらせている音羽。そんな彼女の様子を気に留めることもなく、瑛士がマウスを操作するとアーカイブが映し出される。


「これをよーく見てみろ……お前が記録した時間のアーカイブ映像だ!」

「は? ちょっとどういうことよ!」


 ニヤけていた音羽の表情が一瞬にして愕然としたものへ変化し、悲鳴にも似た声がリビングに響き渡る。


「わ、わらわにもわかるように説明してくれ……ど、どうして二人の姿が()()()()()()のじゃ?」


 映し出された映像には賢治と遥香の姿はなく、瑛士とルリが二人で話している様子だけが記録されていた。

 どうして二人が写っていなかったのか? そして、この後さらなる衝撃が襲いかかる……

最後に――【神崎からのお願い】


『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非宜しくお願い致します。

感想やレビューもお待ちしております。

今後も本作を書いていく強力なモチベーションとなります。感想を下さった方、評価を下さった方、本当にありがとうございます!

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