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ラストリモート〜失われし読書魔法(リーディング・マジック)と金髪幼女で挑む迷宮配信〜  作者: 神崎 ライ
第四章 さらば平穏な日々

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第6話 爆発音と他の探索者?

「ご主人、爆発音がした方は真っ直ぐで良かったのじゃろうか?」

「ああ……ただ三階層は岩場がメインだから、真っ直ぐ向かうのは厳しいぞ。遠回りになるが、岩の間にできている道を歩いて行こう」


 瑛士が指さした方を見ると、二人がやっと通れそうな道が奥に伸びていた。


「わかったのじゃ。ところでご主人、この道はどこまで続いているんじゃろうか?」

「わからんとしか言いようがないな……攻略が進んでいるとはいえ、整備されているわけじゃない。行けるところまで行くしかない」


 険しい顔で瑛士が答えると、無言でルリが頷き、そのまま奥に続く道を歩き始めた。


「……なあ、ご主人。まさかとは思うが、さっきの爆発にルナが巻き込まれる可能性なんぞ……」

「ないと信じたい。いなくなってからそんなに時間も経っていないし、煙が見えたのもかなり奥の方だ」

「そ、そうじゃな! いくらなんでもルナがたどり着けるわけがないじゃろうし……」


 瑛士が隣を歩くルリに視線を送ると、言葉では強がっているが、今にも泣き出しそうな表情だった。


(ルリのやつ、相当無理してるな……しかし妙な爆発だった。迷宮攻略のダイジェストを見てきたが、このフロアには()()()()ような要素はない……もっと先の階層で遭遇するモンスターであれば自爆するのもいるとは聞いたが……)


 瑛士が考え事をしながら歩いていると、突然ルリが驚いたような声を上げる。


「ご、ご主人! あそこに誰か倒れているのじゃ!」


 ルリが指さした方角を見ると、先程の爆発によって発生したと思われる瓦礫から手足が出ていた。


「な……ルリ! 早く助けに行くぞ!」

「もちろんなのじゃ!」


 慌てて駆け寄ると、覆いかぶさっている岩を二人で手分けして動かし始める。幸いなことに、動かせないほどの大きな岩はなく、協力しながらどんどん片付けていった。最後の瓦礫をどかすと、折り重なるように倒れた男女の姿が明らかになった。


「大丈夫ですか?」

「う、うーん……俺は助かったのか?」


 瑛士が声を掛けると、女性を守るように覆いかぶさっていた男性の意識が戻り始める。


「良かった……ここは危険ですから、安全なところまで避難しましょう。動けそうですか?」

「ああ……なんとか動けるとは思う……」

「お連れの方は大丈夫ですか? もし怪我をされているようでしたら、お手伝いしますので」

「目立った外傷はないから大丈夫だろう。おそらく気を失っているだけだ」

「それなら良かった。俺の方に捕まってください。ルリ、女性の方に声をかけてみてくれ」

「任せるのじゃ!」


 ルリに女性の対応を任せると、瑛士は歩いてきた道を男性と一緒に戻り始める。そして、少し歩いたところで、少し広くなったスペースを見つけ、腰を下ろす。


「すまなかった……普段ならこんなヘマはしないのだが……」

「いえいえ、困ったときは助け合わないとですから。やはり先程の爆発が原因ですか?」

「ああ、歩いていたら突然爆発音がして、上から瓦礫が降ってきてな……とっさに連れを庇ってあの有様だ」


 悔しそうな表情を浮かべ、自身に起こったことを語る男性。


「まさか低階層で爆発が起こるとは予想外だった……」

「そうですね、でも大きな怪我もないみたいなので良かったです」

「君のおかげだよ。あのまま埋もれていたらどうなっていたかわからんからな、ありがとう」


 男性が優しい笑みを浮かべて右手を差し出すと、少し照れ笑いを浮かべた瑛士が遠慮気味に右手を握る。すると、奥から二人の元へ駆け寄る人物がいた。


「賢治、大丈夫? 私を守ろうとして怪我とかしていない?」

「ああ。お前こそ怪我はないか?」

「私は大丈夫よ……ごめんね、もっと早く気がついていれば……」

「気にするな。イレギュラーは迷宮に付き物だ……」


 女性が賢治と呼んだ男性に駆け寄り、無事であることがわかると抱きついて声を上げて泣き始める。瑛士は静かに立ち上がり、少し離れた位置に立って見守っていたときだった。


「ご主人、今戻ったぞ。女性の方は怪我もなく、元気そうじゃ」

「そうか、それなら良かった。二人が落ち着いたら出口まで送っていくか」


 戻ってきたルリが瑛士に声を掛ける。


「そうじゃな。さっきの瓦礫じゃがな……ちょっと気になる()()があったのじゃ」

「なんだと?」


 瑛士が聞き返すと、無言で頷くルリ。その様子にただ事ではないと察し、それ以上声に出すのをやめる。しばらくすると、落ち着きを取り戻した二人が瑛士たちの下へ近づいてきた。


「お見苦しいところを見せてしまって申し訳ない」

「いえ、二人が無事で何よりです。良ければ一緒に出口まで送りますよ?」

「そうか……すまないが、甘えさせていただこう。モンスター共が潜んでいる可能性も否定できないからな」

「本当にごめんなさい。一緒に来ていただけると助かります」


 二人が揃って頭を下げる様子に、瑛士が慌てて制止する。


「頭を上げてください! もしかしたら自分たちが同じ目にあっていたかもしれませんし……」

「ふふ、それもそうだな」


 顔を上げた二人が困惑する瑛士を見て、優しい笑みを浮かべる。その後、ルリも含めた四人で二階層へ続く階段の入口まで向かった。


「そういえば、二人の名前を聞いていなかったな。俺は桜井賢治だ」

「私は桃井遥香です。二人は私たちにとって命の恩人ですから」

「そんな……俺は川崎瑛士です。それで隣のコイツは……」


 瑛士が紹介しようとすると胸を張り、言葉を遮るように前に出るルリ。


「わらわはルリ・サラサじゃ! カリスマダンジョン配信者じゃぞ!」

「誰がカリスマだ! 自分で言うんじゃねえよ」


 いつものように瑛士がルリにツッコミを入れたとき、目の前にいた二人の様子がおかしくなる。


「え……まさか……」

「そんな……私が助けてもらったのって?」

「えっと……賢治さんに遥香さん? どうされました?」


 瑛士が声を掛けるよりも早く、ルリの前に出て膝をつき、頭を下げる二人。

 いったい二人はどうしてしまったのか?

最後に――【神崎からのお願い】


『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非宜しくお願い致します。

感想やレビューもお待ちしております。

今後も本作を書いていく強力なモチベーションとなります。感想を下さった方、評価を下さった方、本当にありがとうございます!

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