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ラストリモート〜失われし読書魔法(リーディング・マジック)と金髪幼女で挑む迷宮配信〜  作者: 神崎 ライ
第二十章 狭まる包囲網

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第4話 水面下で動く影

 顔のこわばったルリの様子を見て、瑛士が優しく声を掛ける。


「ルリ、どうしたんだ?」

「いや、下僕の声が聞こえたのじゃが……()()かどうか確信が持てなくてのう……」

「……音羽、念の為に対処を頼んでもいいか?」


 青ざめたルリの様子を見た瞬間、瑛士の表情がわずかに引き締まると音羽に声を掛ける。


「もちろんよ。ルリちゃんが心配するようなことはないけど……万が一ってことがあったらいけないからね。任せておいて」


 二人に言い残すと声が聞こえた方へ駆け出していく音羽。彼女が離れていくのを確認すると、怯えるルリの肩に右手を添えて声を掛ける瑛士。


「音羽が向かってくれたから、もう大丈夫だ。何があったのかゆっくり話してみろ」

「わかったのじゃ。実は……」


 俯いていたルリが、少しずつ先程起こった出来事を話し始める。瑛士たちを隠蔽魔法で隔離した後、下僕と思われる男性が呪われた(ツイステッド・)子供たち(チルドレン)が化けた姿であった。しかも、以前見たような子供の姿ではなく、雰囲気や声色まで何もかもが完全にコピーされていたのだ。彼女が正体を暴くと動画で見たような口調になり、存在そのものを躊躇無く消し去ろうと向かって来た。ギリギリのタイミングで駆けつけた二人によって助け出されたが、まだ周辺に潜伏しているのではないかと思うと気が気じゃないことを矢継ぎに話す。


「……もしかしたら呪われた(ツイステッド・)子供たち(チルドレン)かもしれないと思ったわけか」


 話を聞いた瑛士が、右手を顎に当てながら呟く。すると、慌てて顔を上げたルリが必死に訴えかける。


「そうなのじゃ……ヤツラは相手の姿に化けて近づいてくるし、魔法を使っていなかったら見抜けなかったのじゃ! それに先程の結界のようなものもヤツラの仕業かもしれん……下僕の姿をしたまま逃走している可能性だってあるわけじゃし……」

「……なるほどな」


 声が徐々に小さくなるルリに対し、瑛士が優しく語りかける。


「もう安心していいぞ。ヤツラが化けるのは不可能だからな」

「は? 化けることができないじゃと?」


 言葉を聞いたルリが目を見開いて聞き返す。すると、瑛士は小さく息を吐き、説明を始める。


「そうだ。ヤツラが他人に化けるには()()()()()があるんだ。それは……相手が意識を失っている状態かつ、特殊な結界に閉じ込めておく必要がある。どちらかの条件が崩れた瞬間に、変身が解けるという仕組みなんだ」

「は? 二つの条件が揃わないといけないじゃと?」


 瑛士の言っている意味がわからず、呆気にとられるルリ。


「まあ信じられないよな。音羽が止めを刺しに行った時、子供の姿に戻っていたらしい。しかもその時、『結界の破壊を確認、そして対象が覚醒……存在の維持が不可能となり、緊急脱出モードを発動します』と言っていたらしい」

「な、なんじゃと? その話からすると()()が結界を破壊して、人質を救出したじゃと……」

「ああ、間違いないだろうな。誰の仕業かわからないが……」


 大きく息を吐きながら話す瑛士に対し、口を開けたまま固まってしまうルリ。そんな彼女のことを気にする様子もなく、淡々と話し続ける。


「そういうことだから、声をかけてきた人物は間違いなくお前の下僕である張本人だろうな。だから安心していいと思うぞ」

「そうじゃったのか……」


 瑛士の言葉を聞いて我に返ったルリが、安堵した表情を浮かべると膝から崩れ落ちて地面に座り込む。すると、男性を連れた音羽が二人に声をかけてきた。


「お待たせ……って、ルリちゃん、どうしたの?」

「ああ、音羽お姉ちゃん……ちょっと安心したら力が抜けただけじゃよ」

「それなら良かった。そうそう、私たちに話したいことがあるみたいよ」


 音羽が後ろに立っていた人物に話を振ると、申し訳なさそうな顔をした男性が口を開く。


「ルリ様……この度は本当にありがとうございました! そして、申し訳ありませんでした!」


 ルリの姿を見るやいなや両膝をつき、頭を地面に擦り付ける勢いで感謝と謝罪の言葉を口にする男性。


「ちょ、ちょっと待つのじゃ! 頭を上げてくれなのじゃ!」

「いえ、滅相もございません……自分の不注意から皆様を危険に巻き込んでしまったかもしれず……」

「何がなんだかわからないと言っているのじゃ! そもそも、ちゃんと順を追って話してくれないと何もわからないのじゃ!」


 男性との会話が成立せず、思わずルリが叫び声を上げた時だった。二人のやり取りを静かに聞いていた音羽が割って入る。


「ルリちゃん、落ち着いてほしいの。彼と話したんだけど、ずっとこんな感じで何かに怯えているようなのよ。だからあまり大きな声を出したり、急かしたりしないでほしいな」

「う……わかったのじゃ……」


 音羽から諭すように話しかけられ、肩を落として返事をするルリを見た瑛士が口を開く。


「なあ、ちょっと場所を変えて話をしないか? ここで話してもいいんだが……誰がどこで聞いているかわからないからな」


 話し終えた瑛士が視線を送ると、音羽が顔を傾げながら問いかける。


「場所を変えるって言ってもどこに? 観光エリアの方は人でいっぱいだし、ゆっくり話せるような場所なんて……」

「あ! いい場所があります! 良ければご案内いたします!」


 勢いよく顔を上げた男性が瑛士と音羽に対し、目を輝かせて提案を口にする。


「そうだな。俺たちより詳しいと思うし……お願いしても大丈夫でしょうか?」

「はい! 任せてください!」


 瑛士の言葉を聞いて、一気に表情が明るくなる。あまりの変わりように少し不安になる三人だが、男性の期待に満ちた目を見て何も言えなくなる。

 彼の言ういい場所とは一体どこにあるのだろうか?

最後に――【神崎からのお願い】


『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非宜しくお願い致します。

感想やレビューもお待ちしております。

今後も本作を書いていく強力なモチベーションとなります。感想を下さった方、評価を下さった方、本当にありがとうございます!

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